陽菜

優子からメールが来た

丁度撮影の合間で携帯を触ってたから
名前を見ただけで顔がほころぶ

”今どこにいますか”

どういう事?会いたいって言う事?

撮影だと送るするとすぐ

”今日会いに行ってもいいですか”

忙しくお正月以来会ってなかったから
凄く会いたかったけど悟られてはいけないから

”何時に終わるかわかんない”

今日は日付が変わる前には帰れる予定だったけど
そっけないように打ち込むそしたら

”鍵で入って待っててもいいですか”

ダメに決まってるじゃん
だって雑誌を机に開けたまま置いてきちゃったから

引き延ばしてもらった写真を貼ってあるから・・・

ダメ!と送ると返事が返ってこなくて・・・

休憩が終わろうとした時またメールが来た

”終わったらメールください”

”出来るかわかんない”

今日は会えない、だからそう返したのに


仕事を終えマンションに送ってもらったのが後五分で日付が変わるという時間

「もう寝てるよね」

メールを送らずエレベーターを降りた時

「なんで・・・・」

陽菜の部屋の前に座り寝てる小さいの

逢いたかった可愛い人・・・

ほころぶ顔を引き締め

声をかけた

「優子・・・優子こんな所で寝ないで」

「ん・・・んん・・・にゃんにゃん?」

久しぶりに聞く言葉に目頭が熱くなりかける

「何してるの迷惑でしょ」

「あ、ごめん・・・」

慌てて立ち上がりドアから離れる優子

「どうやってここまで入ってきたの?」

「えーと・・・出て行く人と入れ違いに・・・アハッ」

「オートロックの意味ないね」

「そうだね・・・・えーとねお礼が言いたくて」

「もう遅いし近所迷惑だから」

「そうだね・・・・今日はかえ「ちょっと待ってて」

「え?」

鍵を開け中に入り写真と雑誌をクローゼットに隠してから
優子を中に入れる

「お邪魔します」

台所へ行き冷蔵庫からお水を出しながら

「お礼って何?」

「あ、これ」

カバンからさっきまで机にあったのと同じ雑誌を取り出し
ページを開いて陽菜に見せてくる

「こんなに沢山使ってくれてありがとう(-∀-`) 」

「陽菜が選んだわけじゃないから」

うそ、陽菜も選んだんだよ

「それでも・・・小嶋さんが嫌がったら載らなかったでしょ?」

あいつの写真は嫌だったけど仕方なしに載せた

「・・・・・何でもよかったから」

「っ・・・それでも、私が好きな写真だったから嬉しかった」

「もういい?そうだ、鍵返してよね」

「あ、そうだね長い間持っててごめんなさい」

カバンから取り出し机に置き

「もう少しだけ話してもいい?」

「なに?もう遅いんだから早く言って」

「うん・・・あのねこの写真を見た時小さい頃の事思い出したんだ」

「・・・・」

「私が小嶋さんの事、にゃんにゃんて呼んでたあの頃の事」

「なんで?どこにも小さい子写ってないのに」

「なんだろ、昔の・・・ううん
小嶋さんの本当の姿はこれなんじゃないのかなって
上手く言えないんだけど
今の小嶋さんはきっと無理してるんじゃないのかなって」

「優子に何がわかるって言うの(怒)」

「わかるよ、だってここには私が好きだったにゃんにゃんがいるんだもん」

「・・・・・・」

「ずっと好きだったにゃんにゃんが・・・
陽菜がこの中にいるんだもん」

そう言って泣きだす優子

「自分が撮ったからそう見えてるだけじゃないの」

「陽菜は何も思わなかったの?今これ見て何も感じないの?」

思わないわけないじゃん感じないわけないじゃん

こんなに愛が詰まった写真今まで見たことなんてない

そう叫びたかった

でも汚れた陽菜には・・・優ちゃんを傷つけた陽菜には
そんな言葉を言う資格はないから・・・・

「もういいでしょ、帰って」

そんな言葉しか口からは出てこなかった