(恋人ができた)

そうLINEが来たのが撮影チームとのランチ中
LINEを開かなくても画面の真ん中をその文字は
占領していた


途端に食欲がなくなり何も食べる気になれない

「こじま大丈夫?」

「少し気分が悪くなっただけだから大丈夫」

半分以上残してしまったパスタ

まだ午後からの撮影が残ってるけどこなせるだろうか・・・


それでも自分で選んだ道

二人で話し合い選択した道だから
どうにもならない事はわかってるけど

現実を目の前に突きつけられると
息ができなくなるほど苦しい

「明日にしようか?」

首を横に振り

「出来ます」


感情を押し殺し撮影を続ける


「お疲れ様でした」

夕飯もみんなで行く予定だったけど

「やっぱり体調良くないので
夕飯はパスしていいですか」

「明日も撮影だからゆっくり休んだ方がいいね
こっちは気にしないで」

「すみません」


もうこれ以上笑ってるのは無理だった
ううん、上手く笑えてるのかもわからない

こんなにも好きだったなんて・・・



優子は陽菜以外に本気になることはないって
高をくくっていたのかもしれない
だから留学するって聞いた時

「陽菜は離れてても寂しくないの?」

「どうして寂しいの?日本に居ても毎日会ってるわけじゃないし
休みになれば帰ってくるんでしょ?」

「そうだけど、会いたい時に会えないんだよ」

「会いたくなったら会いに行けばいいじゃん」

「相変わらず冷めてるよね」


みーちゃんは優子が留学すると言った時しつこいくらい
根掘り葉掘り聞いていたけど
陽菜は何も聞かなかった


ホテルの部屋に戻りスマホを開くと


(おーいまだ寝てるの)
(にゃんにゃーん)
(見たんでしょ)
(ちゃんと突っ込んでよ)
(はーるな〜もしもーし)


これでもかっていうくらいの優子からのLINE

昼に送ってきたくせに寝てるわけ無いじゃん
それに突っ込んでよってどういう事?

陽菜が卒業して堂々と?付き合い始めれるはずだった
なのに

”いつ帰って来るか決めてない
陽菜を縛っておきたくないからいったん別れよう”

その言葉に陽菜も賛同したんだから怒る筋合いはないんだけど


《もう別れたんだからいちいち報告してこないで》


それだけ打ち込みベットにスマホを投げ
もう一つのベットに寝転ぶと同時に携帯が鳴った

(優ちゃん)

画面に大きく映し出された名前

声を聞いたら泣いてしまいそうだから無視してるのに
切れても切れてもなり続ける呼び出し音

ピッ

画面をタッチすると

「もしもし陽菜!・・・・ねえ聞いてるんでしょ
もしもし・・もしもーし!!」

「うるさい(бвб)」

「ねえもうお昼過ぎてるよ、冗談だよね(汗)」

「はぁ?お昼?冗談て何」

「今日4月1日だよ、エイプリルフール!(;´-∀-)」

「・・・まだ3月31日なんだけど」

「違うよ、私今日本にいるから時差は関係ないよ(汗)」

「陽菜ハワイにいるんですけど!(怒)」

「うそ・・・・・」

「インスタ見ろ、バカ!(怒)」

ピッ・・・・・


ありえないんだけど(怒)
ふざけないでよね

陽菜がどれだけ苦しんだと思ってるの(怒)


・・・・・・そっか日本に帰ってるんだ
そう言えば四日間だけど帰ってくるとか言ってたっけ・・・

また鳴り始めるスマホ

「なに?」

「ごめん(;´-∀-)」

「もう遅いよ、
今ハワイのイケメンさんと部屋でうっくり中だから
もう電話してこないで」

「ウソだよね(汗)ねえ、にゃんにゃんそんなことしないよネ(汗)」

「そんなに疑うなら写真撮って送ろうか」

「ヤダヤダ見たくないし聞きたくない(涙)」


電話の向こうで号泣しだした優ちゃん


「陽菜だって泣きたいくらい苦しかったんだからね(怒)」

「だって既読つかなかったんだもん
付いたらすぐうっそーて送ろうと思ってたのに(泣)」


ここはまだ31日で日本はもうお昼すぎてるから
嘘ついちゃいけないんだけど
明日まで待ってられないから仕方ない

「じゃー恋人と仲良くねバイバイ」

「待って、日本にいると思ってたの(汗)
恋人なんていないよ
私が陽菜一筋なの知ってるでしょ」

泣きながら必死に訴えてくるのが可愛くて顔が緩むけど
優子には見えてないわけで

「好きなの!遠くにいても毎日陽菜の事思い出してるし
友達にも英語で陽菜の素晴らしい所毎日語って
鬱陶しがられてるし
写真に毎日おはようとおやすみのキスしてるし
なんなら妄想しすぎて大変なことになってるし
知り合いからきわどい写真送って貰って
穴が開くほど見入ってるし」

「ちょっと待って、きわどい写真て何?
知り合いって誰」

「それは・・・言えません」


「言ったら今日の嘘許してあげる」

「でも言ったらもう二度と入手できなくなるじゃん(汗)」

「・・・・・もう一度だけ聞くけど、誰」


まあ、大体は犯人の目星は付いてるけど


「・・・・・・みーちゃんです」


やっぱり・・・

「私が頼んでやって貰ってるからみーちゃんは悪くないよ」

「わかってるじゃーね」

電話を切りLINEを開く


全てがわかると人間て正直な生き物で
お腹が急に空いてきたから

(体調戻ったので合流します)

マキさんにそうLINEをして
用意をしているとLINE音が鳴った


マキさんからの返信だと思って画面を見ると


(どんな陽菜も愛してる)

もちろん優子からで

(知ってる)

そう返しておいた



で、部屋に戻って寝ようとしたら
今度はみーちゃんから電話がかかって来て

「なに、盗撮魔さん」

「・・・・・その話は帰って来てからゆっくりするとして
優子が号泣しながら電話してきたんだけど
何を言ったの」

「エイプリルフールで嘘つかれたから
怒っただけだよ」

「その割にはにゃんにゃんが私のせいでー
て泣いてたよ」

優ちゃんのせい?・・・・・
あぁ・・・そう言えばウソだって言ってなかったっけ

「もう飛行機乗ったの?」

「さっき今から乗るってLINE来てたから」

「わかったありがとう、あ、日本に帰ったら
覚えといてよね」

「私今からコンサートだし
覚えてられないじゃーねバイバイ」

慌てて電話を切ったみーちゃん


はぁ・・・・・仕方ないなぁ


次の日お昼に撮影が終わり約束していた買い物を断り飛行機に飛び乗った