いよいよ本番当日
初めての舞台と言うだけでも緊張が半端ないのに
キスのことを考えたら


「どうしよう・・・・ドキドキして口から心臓が出そう」

「優ちゃんはいいやん、私なんて鼻から出そうやわ」







優ちゃんはあの日、一回でもキスしてるからまだいいやろって
うちなんか一度もしたことないのに本番でするんやでって

たかみなが興奮しながら言ってきたのは昨日の夜の電話

もちろん小嶋さんの前では出来ないから
外に出て電話してた




初衣装合わせの時


「わぉ〜ほんとに双子みたい(*`ω´)」

「そうかな全然違うけど(бвб)」

「そうだよ、違うよ(∵)」

「双子なんだからそっくりな方がいいんだよお二人さん」

「じゃーさ陽菜達姉妹なのに似てないじゃん」

「腹違いの姉妹にしとく?」

「ややこしいだろぅ(怒)」

「アハハアドリブでさ間違えて逆にキスしても面白いんじゃない」

「全然似てないから間違えるわけないし(怒)」

「そうだそうだそんなに言うなら
麻里子と野呂ちゃんがキスしろよぅ」

「それは・・・・・ごめんなさい(*`ω´)」

「なんか私が傷つけられてる(涙)」



で、一度逆にしてみようってなって
前田さんが私に迫ってきた時
たかみなが何故か私に抱きついてきて

「優ちゃんはキスし過ぎや!」


と言って私が怒られたという・・・・

ニヤニヤしてる篠田さんと少し嬉しそうな前田さん
小嶋さんは・・・・眉間にシワを寄せてたっけ

で、逆パターンはお蔵入りになっての帰り

たかみなにごめんと謝られた




電話が終わり中へ入ると


「風引いて舞台に穴あけないでよね
それと家の中で出来ない電話はしないでほしいんだけど」


そうだよね、気分悪いよね


「すみませんでした・・・」


「明日早いからもう寝る」

「私もお風呂入ったらすぐ寝ます」


冷え切った体にお風呂のお湯は熱いくらいだったけど
自分が入った後は必ず追い焚きを押してあがって来てくれる
小嶋さんの気配り
一緒に暮らしてみて小嶋さんの良いところがどんどん見えてきて
もっともっとみんなに知ってほしい
小嶋さんの素晴らしさを知ってもらいたいって思ってるんだけど
もっと人気が出て私の事を相手してくれなくなったらどうしよう・・・

て、考えるようになって・・・・
まだみんなに言えないでいる私は最低かもしれない・・・


部屋に行くと間接照明だけ点いていた

真っ暗にしないと寝れないっていつも言ってるのに
こう言うところが優しい

起こさないようにそっとベッドに入ると
逆を向いていた小嶋さんが寝返りをうち私に抱きついてきた


これがいつもの体勢なんだけどね
私は抱きまくらの代わりだから

でも小嶋さんのぬくもりと甘い匂いにいつも睡魔がやってきてすぐ寝ちゃう

今日は無理だろうな、絶対に寝れないだろうなって思ってたのに


「大丈夫だから」


そう囁いて背中をトントンと叩いてくれる小嶋さん

今まで起きて待っていてくれたことも嬉しかったけど
大丈夫と言う言葉と声に涙が出そうになって
いつもは絶対にしない行為

ギュッと抱きしめ返し


「ありがとう陽菜ちゃん」


そう言葉を返すと
頭に温かい何かが触れた、きっと唇だと思う


そのままギュッと目を閉じたらいつの間にか眠っていた