工事は明日からで
バイトは三日後から

でもこれ、始まったらバイトできない感じじゃん

店の中だから誰もいないと上にあがり放題で
何か取られたりしても分からない・・・

信用してもいいけど、女性の一人暮らしだからやっぱり怖い

階段にドアつけてもらおうかな
そしたら鍵かけて出れるよね?

大工さんに電話をすると明日は無理だけど明後日ならと言われ
それまですることもなく予定もないから家でのんびり

次の日工事が始まったけどまだ出ていくことが出来ないから
テレビを点けっぱなしでニュースを見ていると

優ちゃんのニュースが流れていた


”大島優子入院が長引く模様”


見つからないのかな・・・もしかして陽菜のせいなの?

そんな事を考えていると


「小嶋さん、お客さんが見えてますよ」


大工さんが下から声をかけてくれた


だれだろう・・・優ちゃんかな?

急いで降りていくと
見たことのある顔の三人が立っていた


「えーと・・・あなた達は」

「あのう・・・優子ちゃんどこへ行ったのか知りませんか?」


三人共切羽詰まった顔をしていた


「二階で話しましょうか」


これ以上大工さんに会話を聞かれたら困るから
二階へ上がって貰う事に


「お邪魔します・・・」


今に通すと
一人の子が端に置いてあった物を見つけ


「あのスーツケース優子ちゃんのじゃない?」

「そうだ、優子ちゃんのだ」

「やっぱりここにいるんですか?」

「説明するからとりあえず座って」


三人を落ち着かせ
お茶を入れテーブルに出しながら


「大島さんは荷物を置いたまま出て行ったのよ」

「嘘です!あれはすごく大事にしてるスーツケースだから
他人の家に置いたまま消えるなんてあり得ません」

「そう言われても本当の事だから・・・」

「お姉さんが陽菜さんですよね」

「どうして私の名前を」

「優子ちゃんツアー中ずーと陽菜さんの話をしてました」

「信用できる大人に出会えたって嬉しそうに」

「一度会っただけなのに信用なんて・・・」

「自分は人を見る目があるからって
陽菜さんは絶対にいい人だって毎日私達に言ってたんです」

「料理もすごく美味しくて
いつかお店にみんなを連れて行ってあげるとも言われました」

「その時に大体の場所を聞いていたので・・・」

「あんな嬉しそうで楽しそうな優子ちゃんを見たことなくて」

「私達と居るときあんな顔して笑うことなんてなかったのに・・・」


「でもテレビでは笑顔で楽しそうに・・・・(бвб)」


「あれは演じてるんです
いつかはアイドルじゃなくて女優さんに成るために
演技をしてるんだって言ってました」

「そんな・・・・」

「優子ちゃんは人に甘えるのが苦手みたいで・・・
でも私達には凄く優しくて・・・・・」

「年齢も少し離れてるっていうのもあるんですけど
なにか悩んでる様子でも絶対に言わないし
決して弱味を見せないし弱音を吐かない人だった」


私にはあんなに甘えてきてたのに・・・・・


「連絡が取れなくなった日
私達のグループラインに一言
ごめん、とだけ送られてきて
それっきり連絡が取れなくなりました」

「陽菜さんなら心あたりがあるんじゃないですか?
優子ちゃんが行きそうな場所知ってるんじゃないですか?」

「優ちゃんが行きそうな場所・・・・・・」


女将さんの所かも


「心あたりがあるんですね!
教えてください」

「みんなはお仕事あるんじゃないの?」

「四人揃っての私達なんです
三人でなんて出来ません」

「そう・・・・・でもその場所は他の人に知られたくなさそうだったから・・・」

「でも陽菜さんは知ってるんですよね」


連れて行ってもらったから・・・・とは言わないほうがいいよね


「私が連絡取って探してみるから
みんなは仕事に戻って
優ちゃんは入院してることになってるんでしょ?
あなた達まで仕事を放棄したらおかしくならない?」

「そうですけど・・・・」

「私なりに探してみるから」

「連絡いただけますか?」

「誰に連絡すればいい?」


三人は顔を見合わせ


「さっしーに任せる」

「わかった、私とLINEを交換してください」


さっしーさんとLINEを交換

よろしくおねがいしますと頭を下げ三人は帰っていった