最寄り駅についたのは3時過ぎ

もういないかもしれない
でも行くところがなければまた旅館に戻るかもしれない

それとも・・・・・


だめ、変なことを考えたら(汗)
そんな事あってはいけないんだから


もう一度旅館へ連絡を入れてみたけどやっぱり戻ってなかった


「あのう・・・この辺で歩いて行けて
景色が良くって癒される場所ってありますか?」


年配の駅員さんならわかるかもしれないから聞いてみる


「景色のいい所ですか・・・・
そこの山のハイキングコースを1時間ほど登ると
高台があるから景色は良いんだが
その恰好では・・・・」


あの時浴衣と下駄だったのに行こうとしてたんだから
山ではないと思う


「この格好でもいける場所はないですか?
何かを見れるとか、何かに囲まれるとか」

「そうだねぇ・・・・
そこの温泉街を抜けてすぐの角を右に曲がって
そうさな・・・10分ほど歩くかな・・・・
そこに古くて小さなプラネタリウムがあったんだが
まだやっとってかな
最近客足も少のーて辞めるとか言うとったんだけど」

「プラネタリウムですか・・・・
ありがとうございます行ってみます」


夜にならなくても星を見れる場所ならいる確率は高いと思う
どうか開いててください


自然と早足になり普段運動しない陽菜は息が荒くなってくる


「はぁはぁ・・・・ふぅ・・・営業中だ(бвб)」


本当に小さくて、なんなら看板も消えかけていて
普通の会館みたいで気にして見ていないと通り過ぎてしまいそうだ

ドアを開け中へ入ると受付があるけどそこには誰もいなくて


「すみません・・・・誰かいませんか?」

「・・・・・・・・」


少し身を乗り出しもう一度奥に向かって声をかけると


「はいはいはい・・・
ごめんなさいねおやつ食べてウトウトしてたわ(笑)
お一人かしら」


初老のおばあさんがニコニコしながら出て来た


「あのう・・・今日若い女性が来ませんでしたか?」

「あら、お嬢さん優子ちゃんのお友達かい」

「はい!優ちゃん来たんですね」

「優子ちゃんはお得意さんでね温泉へ来た時は必ず来てくれるんだよ
それもお茶菓子とお土産を持ってね(笑)」

「そうなんですね・・・・」

「さっきも一緒に三時のおやつ食べてたのよ(笑)」

「それでどこに(汗)」

「朝から四回目の上映見てると思うわよ
寝てなければね(笑)」

「大人一枚お願いします」

「今日はもう営業終了だからタダでいいわ(笑)」


そう言いながら営業中の札を裏返し
また奥へ入って行ったおばあさん


「ありがとうございます」


見えなくなるまで頭を下げ中へ入るドアに手をかける


「ふぅ・・・・よし」


大きく深呼吸してゆっくりドアを開け中へ

中は30人ほどの席しかなくて
でもその席には誰も座っていなくて・・・・

まさか入れ違い?
恐る恐る
入口から奥へ入って行くと仰向けで床に寝ころんでる人発見

目を閉じていて口は半開き
どう見ても寝てる(笑)

気づかれないように近くまで行きその横に同じように寝ころび
優ちゃんの手をそっと握った