「陽菜!こっちこっち(ΘωΘ) 」

「凄い人だかり(笑)」

「誰がここに集合しようって言ったんだろうね」

「みんな来てるの?」

「殆ど来てるよ後は先生と優子と陽菜を待ってたんだけど
陽菜一人?」

「あ、うん・・・・優ちゃん用事あるみたいで
迎えに行けないって昨日言われたの」

「陽菜を一人で来させるなんて珍しいよね
急用だったのかな?」

「さあ?」

「みんな揃ってるかー」

「優子がまだ来てません!」

「大島は来ないぞ」

「うそ・・・・・なんで?」

「みんな聞いてなかったのか?
親の転勤でフランスについて行くから
今日の昼の飛行機で出発したぞ」


みーちゃんを見ると首を振っていて
仲の良かった才加や佐江ちゃんも顔を見合わせ驚いていたから
みんな知らなかったんだと思う


「陽菜」


みーちゃんに腕を掴まれみんなから少し離れた所へ連れていかれ


「これ、昨日の帰り、陽菜に謝恩会が終わって
帰る時に渡して欲しいって頼まれたんだけど今の方がいいかなって」


そう言って差し出された封筒


「自分で渡しなよって言ったら
恥ずかしいからって照れながら言うから
そういう手紙かと思ってたんだけど違うのかな(汗)」


そういう手紙ってどういう手紙の事なのかわからないけど
みんなに見えないように封筒を開け中の手紙を読む




親愛なる小嶋陽菜様


何も言わずに行ってしまう事を許してください

先生には恥ずかしくて両親の転勤と言いましたが
にゃんにゃんには本当の事を知っておいてもらいたいから言うね


私が写真を撮るのが大好きなのはみんな知ってると思う
でも本当に撮りたいのは普通の写真じゃなくて・・・
綺麗な写真じゃなくて・・・
貧困な国の現状や戦争に巻き込まれた人々の姿を撮りたい

そう思いだしたのはある雑誌を見た高校二年の夏ごろ
その写真家にずっと手紙を書き続け、熱意が伝わり
それほどまでに言うなら、と
弟子にしてもらえました
その人は世界中を飛び回り日本には年に数回しか戻って来ない人なのに
私の高校卒業の為に戻ってきてくれていたので
もう一日待ってくださいとは言えず
謝恩会に出席することは叶いませんでした

最後にみんなとバカしたかったなー

にゃんにゃんは楽しめましたか?
楽しかった後にこんな手紙を渡され
無理やり読ませてごめんね

でも、どうしても陽菜には知っておいて欲しかった

そして十年後

まだ私の事を覚えていたなら
少しでも気にしてくれていたなら
私の事が少しでも好きだったなら

十年後の今日、駅の近くにあるあの公園に

陽菜と少しでも一緒に居たくて
変なことばかり言って笑わせていたあの公園に

桜の花びらが鼻の先に乗って笑いあった
あのベンチに座って待っていて下さい

それまで・・・・バイバイ


大島優子



「バカじゃないの、その日雨が降ったら座っとけないじゃん(涙)」

「陽菜?」

「居ない人は仕方ないんだからみんなで楽しもう(бвб)」

「う、うん・・・」


今度は戸惑うみーちゃんの腕を陽菜が掴み
みんなの方へ戻った