人生が変わる分岐点 14

東京に戻ってから二日後の夕方優子が目覚めたらしいと連絡があった

すぐに駆け付けたっかったけど
今取り掛かっているのを置いていくことができず
会社に残り徹夜で仕上げ
朝電源が入ると同時に会社を出て家に帰り
シャワーを浴びて身支度を整え車に飛び乗る

途中どうしても眠くなり1時間だけ仮眠

優子の家に着いたのは11時を過ぎていた

そこにいた優子は顔色が良く元気そうで
何も変わっていなかった

ただ一つ、記憶がないのを除いては・・・・


どなたですかって言われたとき
何を言ってるのかわからなかった

放心状態の陽菜をおばさんが察したのか優子を部屋へ戻し
居間で説明してくれた


記憶がない?
陽菜のことだけじゃなくおじさんおばさんのこともわからない?

これって・・・・チャンスじゃん

いつも妄想していたことをあたかもやっていたかのように説明し
優子を東京に連れて帰ることに成功

記憶がないせいか車の中で話が弾む
いつもだったらこんな風に話してくれなかったから嬉しくて
どんどん出てくる嘘

そして

「にゃんにゃん」


優子の声で久しぶりに聞くにゃんにゃんという言葉になつかしさがあふれ出す

もう引き返せない

記憶が戻り陽菜の事が嫌いだったころに戻るまでは
幸せに浸っていたい

たとえその後部屋から出て行ったとしても・・・・


東京に着いたらバイト先へ行くという優子に又嘘をつく


「それなら陽菜が電話しておいたからもう行かなくても良いよ」


とっさに出たうそ、連絡先は知ってる
優子のことは全部把握してるから

食い下がる優子に遊ぶお金だけ稼いでいたと言った
まだ倒れるかもしれないから陽菜が全部出すとも


途中SAに入り軽食をとっている間に
バイト先に電話をし事故にあったため辞めると伝えた

多分携帯に連絡が来てたはずだけど
壊れてるから何も残っていないはず
壊れてくれてありがとう

優子は自分でって言ってるけど機械音痴なの知ってるよ
だからマンションに帰る前に携帯屋さんに寄って
新しい携帯を購入していたらマンションに着いたのが20時過ぎ


Uberを頼むと言ったら作ると言ってくれたけど材料がない

次の日買い物に行くというからいつものように一緒に行くとまた嘘をつく

優子の手料理が食べられるなんて夢みたい
何度もチャンスはあったのに断り続けたのは陽菜自身

だって一度甘えてしまったら我慢できなくなると思ったから


だからかな記憶のない優子に甘えて歯止めが利かなくなり

一緒に寝ていたと言って寝室に入れ
毎日眺めていた優子からのプレゼントを見せたのは・・・


陽菜が中二、優子が小五の時
陽菜の部屋に久しぶりに笑顔でやってきた優子
初めてお小遣いをためたお金で買ったかわいい猫の絵が描かれたハンカチを
誕生日プレゼントだと言ってくれた

その時たまたまいた友達がダサいと笑ったとたん
私の手からハンカチを奪い取り走って部屋から出て行ってしまった

友達の手前追いかけ無かったことを後悔したのは

夕食の時お母さんから優子が泣いて帰っていったと聞いた時だ


それ以来陽菜の誕生日に優子からプレゼントをもらう事は無くなった





人生が変わる分岐点 13

お給料も年齢より沢山もらっつていたから
大き目のマンションを借りていてよかった

じゃないと優子を住まわせてあげれなかったからね


でもどうしよう・・・緊張する

いつもは親がいるから会話しなくても済んでたけど
二人っきりで無言は耐えられないから会社へ行くことにした

仕事も必ず最後の人と一緒に帰るようにして早すぎる時は
時間をつぶせばいいかって思っていたのに

優子のほうがバイトで帰ってくるのが二時を過ぎるし
朝は大学へ行くのが早く土日は一日中バイト

きっと陽菜に会うのが嫌なんだと思う
そんなに嫌われてるのかな

たまにかわす言葉もよそよそしいし
名前を呼ぶときは小嶋さんだし・・・

そう思うとこっちもそれなりの対応になってしまって悪循環


「来た時より痩せてるじゃん」


寝てるときは爆睡で少々物音を立てても起きないからありがたい
昔からそうだったっけ・・・
陽菜でも目が覚める物音がしてもすやすや寝てたもんね(бвб)


「働きすぎだよ馬鹿・・・ちゃんと勉強してるの?」


一方通行の会話でしか優しくできない陽菜


それでもまだ講義があるときは早めに帰って来てたのに
夏休みに入ると本当に寝るだけのために帰ってきてるかのように
働きづめでほとんど合わなくなっていた


「お盆はちゃんと帰ってきなさい」


お母さんのありがたい言葉

この言葉があるから仕方ないなーと言いながら
優子に会いに帰れていた


そして今年もまたこの言葉をきくけど
優子はここにいるから今年はどうしようか迷っていたら

優子も帰って来いと言われたみたいだったっから帰ることに

一緒に帰りたかったけどどうしても休めない打ち合わせがあり
泣く泣く次の日に帰ることにしたんだけど


まさかあんな事故が起こるなんて思ってもいなかった



前日から降り続いた大雨で土砂崩れが起こり
優子が乗った列車が巻き込まれたと連絡を受け


終わりかけだった打ち合わせをすぐ済ませ
車で現地へ向かった

東京は晴れていたのに現場に近づくにつれ
雨が激しくなり車のスピードも落ちる


「優子・・・無事でいて」


少しするとお母さんから
救出され病院に運ばれて検査中だとLINEが入った


こんなに早く助け出されるってことは
土砂に埋まってなかったってことだよね?


少し安心はしたけど検査が気になる


詳しく聞きたかったけど車の運転中だし
とりあえず病院へ向かうことに


病院に着くころには雨はやんでいた



「おじさんおばさん」

「陽菜ちゃん来てくれたのね」

「優子は?」

「まだ検査中でわからないの」

「大丈夫なんですか?」

「先生が言うには打ち身や切り傷はあるものの
大きなけがはないって」

「じゃーどうして検査なんか」

「それが頭を強く打ってるみたいで意識がないのよ」

「そんな・・・・優子・・・」


どうしよう、もしこのまま意識が戻らなかったら
今日までの態度を悔やんでも悔やみきれない



それから3日間ずっと優子のそばにいたけど意識が戻る事はなかった


「どうしても行かないとだめですか?」

(当たり前でしょ、海外から来られるのよ)

「わかりました・・・」

「帰るの?」

「陽菜がいないと成り立たないから・・・
意識が戻ったら絶対に連絡してよ」

「わかってるわよ」

「夜中でもだよ」

「はいはい」


後ろ髪をひかれながら東京へと車を走らせた




人生が変わる分岐点 12

陽菜の家は田舎でも少し都会のほうで
同時期に引っ越してきたお隣さんとは
年代も近かったせいか両親がすごく仲が良く
必然的に私たちも仲良くなった


陽菜が三歳の時に優子が生まれ
一人っ子だった陽菜は妹ができたようにうれしくて
毎日見に行ってたっけ

ミルクだって飲ませてあげてたし
離乳食だって陽菜がこぼしながら食べさせてあげてたんだから(笑)

そのせいか優子は陽菜にすごく懐いて
どこへ行くにもついてきて
公園にだって連れて行ってあげていたから
初めのころ公園にいた子供達は私達を本当の姉妹だと思っていたっけ(笑)

小学校へは一緒に行っていたからか
陽菜が中学生になったとき一緒に行くって泣きじゃくる優子を見て
陽菜も泣くのを我慢するのに必死だった思い出

中学校は三つの小学校から集まっていて
今まで知らなかった人達と友達になった

その中でもその子は二年前に都会から越してきた子で
おしゃれであか抜けていて陽菜が知らないことを沢山知っていて
尊敬してた

その子の前では陽菜も取り繕っていたんだよね

だからかな
あの日優子がいつものように遊びに来た時

にゃんにゃんと呼ばれ笑われて
恥ずかしくなって初めて冷たく追い返してしまった
その時の優子の顔が今も頭から離れないでいる


次の日何事もなかったかのように遊びに来た優子が
どうしてにゃんにゃんて呼んだらダメなのってっ聞かれ
説明することができず

ダメって言ったらダメなの!てまた強くいってしまって・・・

それくらいからかな、塾へ行きだした陽菜と優子の時間が合わず
遊びに来ることがなくなり

優子が中学生になると陽菜は高校生
優子が高校生になると陽菜は東京の専門学校へ

勿論両親が仲がいいから一緒に食事をしたり
お盆と正月はどちらかの家に集まったりいしていたけど

後ろめたい陽菜は優子をちゃんと見ることができず

どうしてあの時すぐ謝らなかったのかと会うたびに後悔していた


ある日お母さんから優子が東京の大学に合格したと聞き
どこに住むのか聞くと合格したのに東京行きを反対されてると聞き
陽菜の住んでいるところ空き部屋があるんだけどなーと
お母さんにそれとなく吹きこむと
案の定おばさんから連絡が来て即承諾したよね

作業部屋だった部屋を片付け優子の部屋にして
会社に作業室を作ってもらいそこにすべて移動させた


「小嶋さんが会社で作業してるなんて珍しい(笑)」

「今日から毎日出勤するのでよろしく」

「どういう風の吹き回し?」

「会社のほうが何かと便利だから」


陽菜はデザインの仕事をしている
だから会社に行かなくても出来るし
なんなら家のほうがうっくり出来ていいアイデアも浮かびやすいし
時間関係なく試作品も作れるから在宅ワークが許されていた
でも許可された極めつけは


「ここのビル0時に電源切れるんだから気を付けてよ」

「わかってまーす」

「心配だわ」



入社して半年頃かな
作業していていきなり電気が切れることが多々あった


そうなるとエレベーターも止まって帰ることができず
階段も面倒だから仕事場に泊まりる
真っ暗だと怖いから
電池で付く明かりをかってきてつけると
作業ができるから朝まですることも


そんなことが続いたある日

ビルの別階にあるテナントの人がわざと帰らず残っていて
非常階段を使いここへ降りてきて陽菜を襲おうとした


その日はたまたまもう一人いたから良かったけど
いつものように一人だったらと思うと足がすくみ少しの間会社に行けずにいたら
社長が家で出来るなら在宅ワークにしてみたらって言ってくれて

会社へ行くのは会議や試作品を持っていくだけになっていた


人生が変わる分岐点 11

「かわいい(бвб)」

「え?」

「その寝間着可愛い」


びっくりした寝間着か(;´-∀-)」


「適当にあるのを着たんだけど良かったかな」

「あそこにあるのは全部優子のだから何着ても良いよ」

「そ、そうなんだわかった」


やっぱり私のだったんだ・・・
誰かにもらったのかな・・・
いや、でも上のほうにあったから忘れてたわけじゃないと思うんだけど

私本当に記憶喪失?


「ん?どうかした」

「ううん(;´-∀-)あぁぁ〜眠い早く寝よーと」


少し寒いくらいの室温に掛布団んがちょうどいい


緊張して眠れないと思っていたのに久しぶりのいいにおいが
睡眠を促すように眠気が襲ってきた

懐かしいにおい・・・これは陽菜の匂いだったんだね

あと少しで落ちると思ったとき事件は起きた


「にゃんにゃん(;´-∀-)」

「ん?」

「あ、あのう・・・これはちょっと(;´-∀-)」

「だーめ、いつも陽菜が抱き着いて寝てたんだから今日もするの」



いやいやいや・・・陽菜から抱き着いてきたことありましたっけ?
記憶をさかのぼること十数年
そんな記憶は全くなく私から抱き着いていた記憶しか出てこない


「で、でも今日は一日目だしちょっとこれは行き過ぎかと(;´-∀-)」

「どうして?記憶がなくなったら陽菜のこと嫌いになった?」


先に嫌いになったのは陽菜さんあなたですけどぉぉぉぉ
と叫ぶこともできず心臓だけがドクンドクンと叫んでいた

・・・・あれ、私のリズムじゃないリズムが腕に伝わってくる
これってもしかして陽菜の鼓動?
それも私と同じくらい早いってことは陽菜もドキドキしてるって事?


「にゃんにゃん」

「ん?」

「にゃんにゃんもドキドキしてるの?」

「・・・・そうだよ、陽菜は優子のことが大好きだから」

「うそ・・・」

「優子だって陽菜のことが好きだったんだよ」

「えーともしかして両思いだったとか?
そんなわけないか、妹として大好きだったんだよね(-∀-`) 」

「違う!」

「え?」


そういって顔を陽菜のほうに向けたとたんやわらかいものが私の唇をふさいだ

何が起きているのか頭が理解する前にそれは離れてしまい

ごめん、とひと言いうと部屋から出て行ってしまった陽菜


少しの間放心状態だった私

今何が起きた?落ち着いて整理してみよう(;´-∀-)

まず陽菜が私を抱きしめて・・・
次に大好きだって言って・・・・
そして唇がふれて・・・キス・・・そう!キスされたよね?
私からキスしたことはあっても陽菜からはなかったのに?
あ、もちろん小さい時の話だけど

この年になって陽菜から私にキスをするなんてどういうこと?
それもあんなに冷たかった陽菜がだよ?

何が何だかわかんない
あ、もしかしてショック療法で記憶を取り戻そうとしてるのか

でも、もし戻ったとしたらまたあの冷たい生活の戻るって事?

いやだ、このままがいい・・・
でも、これ以上陽菜につらい演技をさせるのもつらい・・・


どうしたらいいんだぁぁぁ

なーんて悩むことどれくらい?・・・・・それにしても陽菜遅いな

いきなりキスをして顔を合わせにくいのかな?
小さいとき何度もしてるから気にしなくていいのに・・・

あまりに遅いから迎えに行くことにした


「にゃんにゃん・・・・にゃんにゃんどこ?
怒ってないから出てきて・・・にゃんにゃん?」


探したけどリビングにもトイレにもバスルームにもいなかった

人生が変わる分岐点 10

「ふあぁぁぁぁ!!」

「もう寝る?」

「うん、そうしようかな私はどこで寝れば良い?」


部屋は知ってるけど知らないふり


「着替えは玄関入ってすぐの部屋にあるけど
寝るのはあっちの部屋」


指さされたのは入ってはいけないと言われていた陽菜の寝室


「え〜と・・・にゃんにゃんはどこで寝るのかな?」

「え、一緒の部屋だよいつも二人は一緒に寝ていたんだから(бвб)」


今世紀最大の大嘘(;´-∀-)

入ったこと無いからベッドなのか布団なのか知らないし
どれくらいの広さなのかも分からない

「で、でも覚えてないからそのう・・・
緊張して寝れないかもしれない(;´-∀-)」

「そんなこと言わないで、それに今までと同じ事をしてないと
なかなか記憶が戻らないと思うの」


一緒に寝た方が戻んないでしょ(;´-∀-)


「先に部屋の中を見ても良いかな?」

「どうぞ」


そんな簡単に見せてくれるなら
今までの拒否はなんだったの?


先に部屋へ入り電気をつけてくれた



「失礼します・・・・」


そこにはダブルのベッドとその横にナイトテーブル

壁には大きな飾り棚が



「アレは何?」

「本当に覚えてないんだね・・・
あれは陽菜の誕生日に優子がくれたプレゼントなのに」



覚えてる覚えてるけどそれは小さいときに作った折り紙とか
絵とかおもちゃのペンダントだよ


「二人の思い出の品なの」


もしかしてこれが置いてあるから入るなって言ってたの?


「大きくなってからのは無いんだね」

「それは・・・・色々あって・・・」

「ごめん、言いたくないこともあるよね気にしないで
もしかして私がお金が無くて何もあげられなかったのかもしれないし
物じゃなくて食事とかだったのかもしれないよね」


「・・・・・・・」

「にゃんにゃん?」

「ごめんね、優子が思い出した時にちゃんと言うから」


私に冷たくしていたのには理由があったって事?


「取敢えず着替えてこようかな(;´-∀-)」


いたたまれなくなってそこから逃げた私


自分の部屋に入ると・・・
あれ、私の布団が無い(;´-∀-)


「にゃ・・・」


ダメダメ布団があったことを知ってるのはおかしい(;´-∀-)


クローゼットを開け普段着ないようなかわいい系の寝間着・・・
私こんなの持ってたっけ?


忘れるくらい着てないんだったらこれだな
だっていつもの恰好ではおかしいもんね

でもどうして一番上にあるんだ?


「コンコンコン・・・失礼します」


ドアを開けると陽菜はベッドにいて携帯を触っていた


「優子はこっちね」


自分の左側をトントンして促す陽菜


「お邪魔します」


意を決してベッドに上がった






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