優子



入学試験の教室の一番前のドア側の席だった私

早く着き過ぎ教室には2,3人しかまだきてない

復習のためにノートを見ていたら
フワッといい匂いがして目線を上げると
ストレートの長い髪の女の子が通り過ぎようとしていて
目で追っていると2つ向こうの席に座った


「横顔綺麗・・・」


今まで見たことのない綺麗な顔立ちに
少しの間目が離せなかったんだけど

試験に集中しなくちゃと自分に言い聞かせ
また視線を下にうつす

試験が終わる頃にはそんな事も忘れ
入口近くだから一番に試験会場を出た



入学式の日

同じ中学の佐江とクラスが離れ
何なら同中の子が一人もいない教室にまたもや早く着き
話し相手もいないから
今度は入って来る子達を眺めていたら

見覚えのある横顔が通り過ぎ席に座った
私の席が前から四列目だったから匂いはさすがにしなかったけど
あの子だってすぐに分かった

絶対に友達になる!と心に決め朝と帰りの挨拶は絶対に欠かさず
懐に入るチャンスを狙っていたんだけど
中々スキがなくて・・・

ゴールデンウイークの一日だけでも会って貰えたらと思い
決死の覚悟で声をかけたら意外にあっさりとOKを貰えて
家にまで行く約束をしてしまった大島さんは空高く
飛んで行ってしまうんじゃないかって言うくらい浮かれていた


「優子ごきげんじゃん」

「アハッわかる(´-∀-)」

「気持ち悪い位ずーとニヤニヤしてるんだからわかるよ(笑)
どうせ小嶋さん関連でしょ」

「それしかないよね(-∀-`) 」


人と話すのが苦手なのか
小嶋さんから話しかけてるのを見た事がない

でも声をかけられると嬉しそうに話してるから
早く話しに行きたかったんだけど

タイプが全然違う私には共通の話題が思い浮かばなくて
やっと出た言葉が被写体になって下さいだった


そこからはとんとん拍子に仲良くなり
私の友達とも交流を深め
みーちゃんとなんて私よりも好きなんじゃないかって思うほど
仲良くなっていた

まあ、当たり前だけど
好きと言われたことは一度もない・・・

小嶋さん、大島さんからにゃんにゃん、
優ちゃん呼びになったのは夏休み中

私が小嶋さんの家に初お泊まりした日だったかな

もちろんベッドの下に布団を敷いて貰って寝たんだけど
寝息を聞いてるだけで心臓がバクバクしちゃって
殆ど寝れなかったのはいい思い出

奇跡的に三年間同じクラスで
朝一番におはようと言いたいがために毎日家まで迎えに行った

帰りも送って行きたかったけど
送る理由が見つからず
仕方なく駅近の公園のベンチで毎日必死に話題を作り
少しでも長くいれるように頑張っていた

その間何度も告白しようと思った
でも私達は女の子同士だから

小嶋さんに訪れる未来の幸せを私が奪う事は出来ないから
一番の親友でいようと自分に言い聞かせた

そしてその関係は大人になっても続くものだと思っていたけど

高校二年生の時ある写真を見て衝撃を受けその道に進みたくて
自己流で勉強しながらコンタクトを取り続け
それが叶う事になった時
小嶋さんとの関係をこのまま続けていくのは難しく
諦めなければいけないんだと気づいた日、一晩中泣いた


でも私は弱い人間だから

保険を残す


少しでも私の事を好きだったのなら
あの手紙でわかってくれたはず・・・・

約束の日に来てくれるはずだと・・・・



そして約束の日