「ゆう・・・ちゃん」

「ズッ・・・つうぅ・・・私も・・・
私だってそうしたかった、でも・・・無理じゃん
どう考えたってそんなの夢のまた夢の物語だよ」

「なんで?陽菜と優ちゃんが望めば出来たはずだよ」

「そんな事世間が許さない
陽菜は・・・みんなの陽菜だったんだから
同期からも後輩からも好かれて頼りにされて
いろんな人から可愛がられて愛されて・・・・そんな陽菜を
私だけのものにする事なんて出来るわけないじゃん」


「違うよ、陽菜はずーと優ちゃんの陽菜だった
キスするのも体を重ねるのも優ちゃんだけだったのに」

「それでも陽菜が変な目で見られるのを
私のせいで世の中の人達から白い目で見られるのがわかってるのに
自分のものにすることなんて出来なかった、だから私は逃げたんだ」


「優ちゃん・・・」


「もちろん初めのうちはちゃんと勉強して
オーデションも沢山受けてた
でもね、陽菜がいろんな人と笑顔で撮った写真を
見る度にどうしようもなくなって
一人でいるのが辛くて好きでもない人と・・・
わかるでしょ私裏切ったんだよ」


「・・・・・」

「そんな私が何事もなかったように陽菜の前に現れられると思う?
誤魔化してもすぐ見破っちゃうでしょ」

「・・・・・」


確かに優ちゃんの変化はすぐわかっちゃうけど・・・


「だから予定していたことがすべて終わると旅に出たんだ
もちろん事務所もちゃんとやめたよ
ありがたいことにお金はあるから生活には困らないし」


「今も旅してるの?」

「ううん、6年もあったんだから世界一周しちゃったし
いまは落ち着いてる・・・かな」

「どこにいるか聞いていい?」

「聞いてどうするの?
陽菜には優輝君がいるんだよ
それに愛しの旦那様も」

「好きだけど・・・愛しいとは違うの
心はずっと優ちゃんだけだった
だから愛してるって言われるたびに
心の中で謝ってた・・・これって裏切りだよね
だったら陽菜も同じだよ
優ちゃんを思いながら他の人に抱かれていたんだから」


「陽菜・・・
あぁぁーもう・・・・私の決心がボロボロだよ」



「どういう・・・事?」

「さよならも言わずに消えたから
ずっと佐江と才加に怒られてたんだ
ちゃんとにゃんにゃんに言ってやれって
じゃないとにゃんにゃんが吹っ切れないからって
で、会ってちゃんとおめでとうを言って
サヨナラしようと思ってたのに・・・・
これじゃー火に油じゃんか」


そう言って笑った顔に見慣れた笑窪が見えて

心の奥に閉じ込めていた気持ちが
愛おしさがどんどん込み上げてきて
我慢することができなかった


「はる・・・な(汗)」

「ずっとこうして抱きしめたかった
優ちゃんの体温を、匂いを嗅ぎたかった」


そう言うと優子の手が陽菜の背中に回り


「私だってそうだよ
陽菜の匂い・・・忘れたことなんてない」

「優ちゃん・・・好き・・・好きなの!
だからもうどこにも行かないでよ(涙)」

「だめだよ、陽菜には・・・」

「分かってる、わかってるけど・・・
一緒にはいれなくても近くに居て欲しい
日本に帰ってきて欲しい」


「はぁ・・・・どうしてこんなに弱いのかな
陽菜にお願いされたら私の決心なんてすぐ揺らいじゃう
だから何も言わずに消えたのに・・・・」

「知ってるよ、だからアメリカに旅立つ時
陽菜は何も言わなかったんだから・・・
行かないでって言ったら悩んだでしょ」

「バレてたのか・・・
何も言わないからてっきり捨てられたと思ってたのに」

「捨てるわけ無いじゃん」

「ねえ、キスしていい?」

「聞くなバカ」

「アハッ懐かしい(-∀-`)」


その夜は今まで離れていた分を取り戻すかのように
いつまでもキスし続けた