昨日、ううん朝がたまで撮影が続き
寝たのはみんなが動き出す頃だった

♪  ♪  ♪   ・・・・・

特別な音楽が鳴り響く

何時もの音なら出ないけどこの音だけは別

「はい」

知らない子の声がして周りが騒がしい

「マチガエマシタスイマセン」

片言のようなしゃべり方だけどあのしゃがれた声を聞き逃すはずが無い

電話はすぐに切れたからまた目を閉じる

♪  ♪  ♪

まただ・・・今日は何?

どうやら酔ってるみたいで意味不明な事ばかり言ってくる

でもそれが優子の本音なんだろう・・・

今日は仕事が休みだからまた目を閉じた

夕方に起きだしお風呂に入って出てくるとまたあの音

流石に四回目だしあの時間からずっと飲んでるとなると
相当酔ってるはず

「楽しいー」

本当に楽しそうで・・・・無性に逢いたくなった

一応有名だからサングラスをかけて行ったんだけど

(あれってスーパーモデルの小嶋陽菜じゃない?)

(そうだよ、なんでこんなところにいるの?)

(優子知り合いなの?)

お店に入り出るまでひそひそ話が全部耳に入ってくる

こんな時大きい耳なんていらなかったって思う

部屋に入ると上半身ブラ一枚で走り回ってる優子がいて
イラついた

何見せてんの、意味わかんないし(怒)

着ていたコートを脱いで優子に巻きつけ車に乗せるように指示

お金は全員分払ってもおつりが出るだろう金額を置いてきた

一応口止め料のつもり

地下駐車場から優子を何とか部屋に運びベットに寝かす

上は脱いでるから簡単に裸に出来た

「優子・・・・」

意識の無い優子の薄い唇を指でなぞり
そっと舌で舐めキスをする

だめだ・・・

こんな姿の優子を前にして我慢できるはずが無かった

あとは・・・・目が覚めた優子を何度も抱き
また意識を飛ばした優子をそっと抱きしめる

夢を見ているのかにゃんにゃんと何度も呼び手を伸ばすから
その手を握り手の甲にキスをおとす

目を覚ます直前に慌てて手を離し少し距離を取った

「帰って」

ずっとここにいて欲しい

「お兄ちゃんに抱かれてればいいじゃん」

私は優子が優子の方が・・・・・・好き

「仕事出来なくしてあげる」

心で思ってる言葉は一つも出てこなくて
優子を傷つける言葉しか出てこない


手を伸ばせば捕まえられる位置にいるのに・・・

なんで陽菜は女なんだろう・・・

なんで優子は男じゃなかったんだろう・・・

なんで陽菜は優子が好きなんだろう・・・

今の陽菜は部屋を出ていく優子の背中をそっと見送るしかできなかった