『優子誕生日おめでとう』

『優ちゃんおめでとう』

『ありがとう、お兄ちゃん、にゃんにゃん
そっか、にゃんにゃんとお兄ちゃん付き合ってたんだ』

『しっ、バレたらやばいから外では言うなよ』

『そうだよねお兄ちゃんはまだ駆け出しだけど
にゃんにゃんは今売れっ子さんだもんね
サインもらっとこうかな、なんか遠くに行っちゃったみたい』

『そんな事ないよ、陽菜達は幼馴染なんだから
有名とか有名じゃないとか関係ないでしょ』

『そうだよね、にゃんにゃんはにゃんにゃんだもんね』

『そう言う事(笑)』



また夢を見た・・・なんであの頃の夢ばっかり見るんだろう・・・

お兄ちゃん達と再び会えたのは私の16歳の誕生日だった

ドラマにたまに出るくらいの俳優の卵だったお兄ちゃんと
読者モデルから専属モデルに昇格し
コレクションのランウェイにも出るようになっていた陽菜
が付き合ってると聞かされたのもこの時だった

小さい時にゃんにゃんと結婚するの!
て言っていた私
女の子同士結婚できないって知った時すごいショックだったなー

お兄ちゃんとならお似合いだ!て言い聞かせようとしたけど
いきなり離れて以来雑誌でしか見れなかった陽菜を
生で見た時、あまりにも綺麗になっていて・・・
お兄ちゃんにも渡したくないって思ったもん

それになんかわかんないけど嬉しそうなお兄ちゃんとは対照的に
どこか影があったにゃんにゃん・・・

でも、笑ってるしお兄ちゃんなら幸せにしてくれると思うから
おめでとうって言った


お兄ちゃんは持ち前の優しさとカッコよさで
たった二年で今を時めく男優に
にゃんにゃんはパリコレに出れるほどの
スーパーモデルになっていたのに
2人して私の高校卒業をお祝いしてくれたっけ・・・・

まだあの頃はやさしくて大好きだったのに

私が20才の誕生日を迎えるころ
にゃんにゃんには別の呼び名が付いていた

スーパーモデルとも言われていたけど
クールビューティとも言われ笑わないモデルになっていた・・・

恋人だと噂されていた二人
その頃になると破局説が流れ
陽菜が変わったのはお兄ちゃんのせいだと言われることもあり

そんな事あるわけないだろ!
二人が別れるわけないじゃん!
ていつもテレビに向かって叫んでたっけ

二十歳の誕生日も二人でお祝いしてくれて
撮影があるからって少しだけいて帰って行ったお兄ちゃん

「にゃんにゃんは仕事大丈夫なの?」

「ん」

「あ、だから飲んでるのか(笑)」

「・・・・・」

「えーと・・・お兄ちゃんと上手く言ってないの?」

「・・・・」

「ほら、雑誌とかテレビで好き勝手言ってるじゃん
でも私は信じてるから」

「・・・・・あんまり上手くいってない」

「なんで?もしかしてお兄ちゃん浮気したの?」

「陽菜達の事は別にいいから」

「そ、そうだよね・・・ごめん・・・」

私はその日初めて飲むお酒に酔っちゃっていた

「優子仕事どう?」

「私はまだまだだよ、毎日怒られてばっかだし・・
やっぱダメだなー私・・・
お兄ちゃんやにゃんにゃんに到底追いつけないよ・・・」

スーパースターの二人と下っ端の自分
こうやって話してくれるだけでもすごい事だよね
自分が情けなくなって涙がこみ上げて来そうだったけど
ぐっと我慢した

「・・・・・・出ようか」

「あ、そうだね今日はありがとね
今度はいつ会えるのかなー二人共遠くに行っちゃったしなー 」

酔った私を支えながら無言で歩く陽菜

「ここでいいよだいぶ酔い冷めたし電車で帰るから」

「プレゼントがあるから」

そう言うと私の腕を掴みタクシーを拾うと押し込まれた

「にゃんにゃん明日仕事は?」

「休み、優子は?」

「私も丁度休み、誕生日なのに今日仕事だったから
明日休み貰ったんだ(-∀-`) 」

それからは一言もしゃべらずずっと窓の外を見てるにゃんにゃん
タクシーが止まり歩いて行く先を見ると

「凄い・・・」

目のまえには高級マンション

さすがスーパーモデル凄いセキュリティなんだろうなー・・・
それに比べて私はアパートに毛が生えたような
小さなワンルームマンション

違いをまざまざと見せつけられたみたいでまた悲しくなった

プレゼントをもらったらすぐに帰ろう、そう思ってたのに