もし陽菜が結婚しちゃったら
私はどうするだろう

独身を通し戻ってくるのを待つ?


私には無理だ
きっとカメラを手に国外へ逃げ
情報が入ってこないようにして
一生会わないだろう

じゃないと心がもたないから


いつのまにこんなに好きになってしまったんだろうか


「どうかなさいましたか?」

「いえ・・・このお酒美味しいですね」

「それは地酒でおかげ横丁の近くで作っているんですよ」

「え、今日行ってきたのに気づきませんでした(;´-∀-)」

「これは日持ちしないのでお土産には向きませんが
別のも美味しいので次来た時には寄ってみてくださいな」

「明日は近くの神社も回ろうと思ってるので
行ってみます」

「もうどこへ行くのか決めておられるんですか」

「いえ、これから調べようかと(;´-∀-)」

「穴場をお教えして差し上げたら」

「そうですね・・・お待ちになって下さい」

「明日の朝でもいいですよ(;´-∀-)」

「おばあちゃんになると物忘れも酷くなるので
明日の朝には忘れてるかもしれませんから(笑)」


そう言うと女将さんは部屋を出て行った


「私は彼女より3歳若いんです」

「分かります、若いなーと思ってました」

「彼女とは家が隣同士で
一人っ子だった私が良く遊びに行っていて
大好きで勝手に懐いてたんです」

「そうだったんですね」

「でも彼女からしたら私は可愛い妹でしかなくて
19歳の時にお見合いで結婚しちゃいました」

「早いですね・・・・」

「昔ですからね(笑)
私も結婚させられそうになったんですが
どうしても彼女以上に好きになれると思えなくて
逃げちゃいました」


ふっとハニカム彼女が綺麗に見える


「大変だったんじゃないですか?」

「大きな食堂で住み込みで働かせてもらって
そこで料理を覚え小さいですが自分の店を持ちました
そこへひょっこりと現れて
旦那が死んだから一緒に民宿をしようて
何十年も会ってなかったのに
一言目がそれでしたからビックリしましたよ(笑)」

「凄いですね(;´-∀-)」

「昔と何も変わってなくて・・・
あぁ・・・好きだなぁーて
即OKしちゃった私も相当変ですよね(笑)」

「なんか・・・・わかります」


私もきっとそうなるんだろうなー(-∀-`)


「だから大島さんも頑張ってくださいね」

「へぇ?」

「やっと見つけた、
iPad使ったらちゃんと元の位置に置いておいてくれないと
捜すの大変なんだから(怒)」

「ごめんなさいね(笑)」

「全然申し訳ないと思ってないでしょ(怒)」

「私は熱燗のおかわりでも入れてこようかね」

「すぐ逃げるんだから」


お水も持ってきますねと言って行ってしまった料理長さん


「あまりしゃべらないから面白くないでしょ」

「そんな事無いですよ
色々教えていただきました(-∀-`) 」

「私の気持ちの方が強くてね
悪い事したなーと後悔してるんです」

「どういう事ですか?」

「彼女の料理美味しいでしょ」

「はい、とても美味しいです」

「お店も持っていたし
もしかしたら有名になってたかもしれないのに
私のわがままでこんなちっぽけな民宿の料理を作る人に
させてしまったんです・・・」


辛そうに話される女将さんを見ているのが辛い


「風の便りで小料理屋をしてると聞いて
居ても経ってもいられなくてね
はじめはひと眼だけ見て帰ろうと思ってたんですよ
なのに顔を見たら気持ちを押さえられなくてねぇ
咄嗟に民宿をしよだなんて口走ってました(笑)」

「どうして結婚されたんですか?」

「親の言う事は聞くもんだと育てられましてね
決められた日には泣くことだけしか出来ませんでした
でも世の中は変わってきて
今は好きだと堂々と言える時代ですものね」


フフフと笑う女将さん


「あのう・・・・」

「お待たせしました」


お酒を持って入ってきた料理長


「お二人はそのう・・・・」

「大島さんと同じですよ
今は幸せに暮らしています」

「・・・・・?」

「お客様が来ない日は暇でしょ
だから二人でワイドショーや
ニュースばかり見ているんですよ」

「お名前をうかがった時は気づきませんでしたが
お顔を見てすぐわかりました」

「お相手がアイドルさんとだと大変ですね(笑)」


「恥ずかしい(;´-∀-)」

「お二人共いい顔してらっしゃいましたよ」


キスの写真も見られてるって事かな(;´-∀-)


「世間に負けず、頑張ってくださいね」

「ありがとうございます(。-∀-)」


その後何を話したのかは覚えていない
気が付いたら布団で寝ていたから


LINEを交換して回る場所を送って貰った

そして


「今日も泊まるって言ってましたけど
キャンセルさせてもらってもいいですか?」

「良いですが写真は撮られないんですか?」

「今度彼女を連れて泊まりに来ます
その時はもちろん貸し切りで(-∀-`) 」

「まあ、楽しみだ事」

「その時はまた新鮮なおさかな仕入れて
自慢の料理でおもてなしさせてもらいますね」

「そして四人で飲みましょう(-∀-`) 」

「早めのお越しをお待ちしておりますね
老い先短いですから(笑)」


三人で写真を撮ったから送るというと
今度四人で撮ったのを欲しいと言われた

じゃー二人だけの写真をというと
恥ずかしいから嫌だと逃げようとする料理長の腕を掴み
有名になったら撮って欲しくても撮って貰えなくなるんだから
今のうちよと言い聞かせられ素直に従う料理長


今度来た時に
お互い自分の方だけが好きだと思ってる二人に
昨日聞いた話をしてあげよう

だから早く来なくちゃね(-∀-`)