陽菜

たぶんお風呂に入ってる時以外ずっとかぶってるニット帽

人には見られたくないんだと思うけど
もし陽菜に見せてくれたら優ちゃんの特別になれる気がして
恐る恐る言ってみたんだけど・・・

その日の夜のお風呂上り頭に手を置きながら

「頭がスースーする」てはにかむ優ちゃん

「いっその事全部なくなってくれたら出家できそうなのにね」

て自傷気味に笑う

「小坊主みたいで可愛いよ(бвб)」

「小坊主かー」

て苦笑いしながら頭を撫でてる

どんな優ちゃんも可愛いし大好きだもんとは言わない
て言うか言えない

その日から外に出る以外はかぶらないようになった

といっても買い物以外はほとんど外に出ない

まだ免疫力の少ない優ちゃんに風邪やいろんな菌は天敵だから

陽菜は受験生らしくお勉強!ちゃんとしてるもん

「ここわかんない(бвб)」

「どれどれ・・・あーここはこうして・・・こうやって解いてみて」

「えーと・・・・こうでいい?」

「そう!にゃんにゃん凄いじゃん」

「陽菜出来る子<`〜´>」

難しい問題を解いたらナデナデシテくれるから頑張っちゃう
ここ三・四日で陽菜天才になったかも(笑)

「そろそろ休憩しようか、紅茶入れるね」

立ち上がろうとした優ちゃんがバランスを崩し倒れそうになった
何とか持ちこたえたけど急に顔色が・・・

「大丈夫?」

「アハッずっと座ってたから立ちくらみだよ」

言葉とは裏腹に動かない優ちゃん

「陽菜が入れるから座ってて」

「ごめんね、でもちょっとだけ横になるから
にゃんにゃんだけ飲んで」

「陽菜もいらない、布団敷こうか?」

「少し横になったら大丈夫だからにゃんにゃんは勉強してて」

しんどそうな優ちゃんを目の前にして勉強なんて出来るわけないじゃん

「陽菜も眠くなってきたから布団出すね」

テーブルを端に寄せクローゼットを開け布団を出す

「お昼寝しよう二人の方があったかいでしょ」

「ありがとう」



優子


普通に立ち上がろうとしたらめまいがして倒れそうになったけど
ここで倒れたら陽菜が心配すると思って何とか持ちこたえた

でも気分も悪くなってきて起き上がる事が出来ず
横になる事に

陽菜が布団を敷いてくれて
私の為に昼寝をすると言ってくれた

二人で向かい合うように布団に入ると・・・

「にゃんにゃん(汗)」

「陽菜の体には癒しの力があるんだよ
だから優ちゃんにも分けてあげるね」

そういって抱きしめられてる年上の私
どっちが上かわかんないね(笑)

陽菜の体は柔らかくていい匂いがする
同じシャンプー使ってるのにね

ぐっと引き寄せられると顔に胸がぁ〜(汗)

でも体は少し楽になった気がするんだけど気のせいかな?

少しするとスースーと言う寝息が聞こえてきた

寝るの早すぎるし(笑)


癌を告知された時でも半分あきらめていたのに


この時初めて死にたくないと思った・・・

そう思うと涙が出てきて

「死にたくないよにゃんにゃん」

自然とそう呟いていた


陽菜と生きていきたいそう思ったんだ