次の日の朝、目が覚めると隣に
陽菜の姿はなくて少し寂しかった

何事もなかったかのように朝食を食べ
数少ない電車の時間に間に合うように家を出る


「駅まで送らないから」

「いいよ、また来るから」

「うん・・・バイバイ」

「バイバイ、おばあちゃんも元気でね」


手を振り歩き出す


(私を東京へ連れて行って)


その言葉を思い出し今度東京へ呼んであげようと思い


「陽菜」


振り返るとおばあちゃんしかいなくて


「あれ?陽菜は?」



「陽菜ちゃんをよろしくね・・・・・・」


「えっ・・・・・・・・・・・・・・・・・嘘でしょ(汗)」


薄くなり消えてしまったおばあちゃん

呆然とそれを眺めていると


ブッブッブッ

ポケットに入れてあった携帯が振るえた

あれ?圏外だったはずじゃ・・・


「はい・・・」

「お前、三日間も連絡つかないとか、何してたんだよ
心配しただろ(怒)」

「ちゃんと会社に休みだして田舎「お前陽菜ちゃん覚えてるか?」

「え、だから今」

「今危篤らしいぞ」

「はぁ?何言ってるの怒るよ」

「今年の二月に家が火事になっておばあちゃんは
逃げ遅れてダメだったみたいなんだが
陽菜ちゃんは何とか助け出されたのに
ずっと意識が戻らないままで入院していたらしい」

「入院・・・」

「しかし容体が急変してだな、身内を探してたみたいなんだが
あいつは男作って出て行って何処にいるかわからないし
親戚もいなかっただろ、誰も看取る人がいないし
どうしようかってなっていたそうなんだが

たまたま父さんの会社の近くで
村の近所に住んでいた人に会って、火事の話を聞いて
昨日慌てて病院に電話して分かったんだよ
俺は今から行くけどお前はどうする」


「行くに決まってんじゃん、どこの病院?」


ここに来た時から変だったんだよね
8年前と変わらないなんて今の世の中あるわけないじゃん
いくらこんな田舎だって少し位は変わるよね

それに近所の人にもあわなかったし・・・・

陽菜は年寄りばっかりだから家にこもってるって言ってたっけ・・


「はるな・・・」


タクシーを拾い町の病院へ

お父さんは東京からだからまだまだ来ないだろう


”小嶋陽菜”

町と言っても東京都比べると小さな病院
部屋はすぐに見つかった

病室の名札を確認してドアを開けようとしたら
勝手にドアが開き白衣を着た男性が出て来た

「あのう・・・はる・・小嶋さんは」

「どちら様ですか」

「義理の姉です」

「そうですか・・・少し遅かったですね
小嶋さんはたった今・・・・・」


うそ・・・嘘だよね

陽菜・・はるなぁー!!