私がいても何も出来ないとわかり帰ることに

部屋を出てエレベーターに乗ると脇腹が痛みだしてきた


「くそっ痛み止め切れてきた」


家に帰れば貰った薬があるけど
なるべく飲まないように言われてるから我慢しなきゃ

玄関ホールを通り抜けようとした時


「お送りいたします」

「柏木」


ずっと待ってたのか・・・・


「ありがとう」

「いえ、役目ですから」


お姉ちゃんはみんなを愛してたと言った
私は?
みんなに迷惑をかけ守ってもらってるだけだ

キングになるんだったらみんなを守り愛さなきゃいけない

そのためにはまずみんなを知ることから初めなきゃだよね



帰り道自転車を押しながら

「柏木って何処に住んでるの?」

「・・・・・江東区です」

「えぇーそんなところからわざわざ来てくれたの(汗)」

「近くに居たので」

「そっか助かったよありがとう(-∀-`)」

「いえ・・・・キングを守るのは当たり前ですから」

「柏木は下の名前何ていうの」

「・・・・・・由紀です」

「可愛い名前だね(-∀-`)

「あ、ありがとうございます」


お、照れてる顔、可愛いぞ


それから家に着くまでいろんな事を聞いた


「ありがとうまた明日ね」

「おやすみなさいキング」

「アハッおやすみ」


挨拶するやいなやあっという間に消えていった


こんなに話したの初めてだったけど凄く可愛い人だったなー
普段無口だから全然わからなかった

やっぱり話してみないとわからないことが沢山だ



その夜お姉ちゃんに電話をかけた


「クイーンのことなんで教えてくれなかったの」

(それは優子が自分で気づかないといけない事だからよ
前もって知っていたら決して心には届いてこないから)


そうかもしれない、知っていたらなるべく力を使わせないようにして
どんなに酷いか知らないまま卒業させてたのかもしれない
みんなとも上辺だけの仲間として付き合い
何もないままみんな卒業して行ってたんだ

「どうしたら愛せる
お姉ちゃんはどうやって何人も愛せてたの?」

(アハハハどうやってとか言ってる間は無理
ただヒントとして人をよーく観察しなさい
答えは自然と出てくるから
あ、あの人が呼んでるからもう切るわね
頑張って優子)

そう言い残し電話は切れた


観察か・・・・・確かに全然見てなかったかも


明日から観察日記を書き始めようかな

だって書いておかないと忘れちゃうから




「うっ・・・・・早くねよ(汗)」


痛む脇腹を庇いながらベッドに入った