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アンブレラ  40

陽菜

次の日の朝四人で集まりパソコンや携帯で調べてみたら
色々分かった事があった

ドナーへの助成金がある事
支援基金が沢山ある事
高額医療用制度があってかなり返ってくる事

「一度払わないといけないけどほとんど返ってくるじゃん」

「だな、優子はちゃんと調べてなかったのかな」

「あいつ諦めてたからな・・・・」

「佐江と才加で立て替えれるよな」

「俺一人でいいよ、佐江は結婚資金とか必要だろ」

「そうだけど、少しきりつめれば・・・」

「いいって、一人の方が返してもらうときややこしくないし」

「でも・・・優子ちゃん大人しく出させてくれるかしら」

「陽菜が絶対に受けさせるから・・・
秋元先生お願いします」

そう言って頭を下げると

「小嶋が先生って言ったよ・・・(汗)
これなんか裏があるな・・・うん、俺は騙されないぞ(汗)」

「才加煩い(怒)」

「うん、うん、それでこそ小嶋だ」

「・・・そう言ってもだな、佐江達だって
今まで説得してきたけどダメだったんだぞ」

でも、昨日優ちゃん死にたくないって言ってたもん
・・・・たぶん、夢じゃないならだけど・・・

それから早い昼食をとって病院に行った

病室に入ろうとすると

「だからもういいって言ってるでしょ(怒)」

「ゆっぴーは本当にそれでいいの?死んじゃうんだよ
それに今なら悲しんでくれる人いるじゃん
その子を悲しませていいの?置いて行ってもいいの?」

「大丈夫だよ、今はまだ私に好きな人がいると思ってるから
片想いのままの方がショックは少ないでしょ」

え?どういう事?片想いって陽菜の事だよね
今の言い方だと好きな人がいるって・・・え?どういう事?

必死に考えていると
誰かが頭をポンポンと撫でてくれていて
横を見ると佐江ちゃんが優しく微笑んでいて
手を離すとベットの方へ歩いて行きカーテンを開ける

「優子!」

「ッ・・・佐江」

視線は陽菜達にたどり着き目をそらす優ちゃん

「なんで悲しむ人がいないだなんて思うの
佐江達が悲しまないとでも思ってた?」

「それは・・・佐江は従兄ってだけで・・・
二人はその友達ってだけで・・・」

「佐江は優子の事を本当の妹のように接してきたよ
妹が死んで悲しまないお兄ちゃんなんていないだろ」

「佐江ちゃんの妹は私の妹になるんだから由紀も悲しいよ」

「お、お、俺は初めて会った時から優子を
優子の事を・・・たとえ優子にその気がないとしてもだ
俺は優子が好きなんだから悲しいに決まってるだろ(汗)」

「それに今じゃ両想いの可愛い子がいるじゃんか(笑)
本人は気が付いてないみたいだけど
回りから見たら優子の気持ちだだ漏れだったぜ(笑)」

「うそ・・・陽菜だけ知らなかったって事?」

「そう言う事だな(笑)」

「小嶋さん考えてみて
好きでもない相手と二人きりでクリスマスを過ごしたり
病気なのに家に呼んだりしないわよ」

「優ちゃん、そうなの?
優ちゃんの好きな人って陽菜だったの?」

優ちゃんは陽菜の顔を見ようとせず俯いたままだった

アンブレラ  39

陽菜

急に冷たくなった優ちゃんに体が動かなくて
呆然としていると誰かの手が肩に添えられ

「小嶋さん帰りましょう」

両肩を支えられ立たされた

「優ちゃん・・・」

何の反応も示さない優ちゃんにまた明日と言って病室を出た

「陽菜の荷物・・・」

「今日はもう遅いから明日にでも取に行けばいい」

佐江ちゃんにそう言われ頷き廊下を歩いていると

「ニャロ帰るんだ」

先生が違う病室から出てきて話しかけて来た

「帰れって言われたから・・・
そう言えばさっき何か言いかけてましたよね?
こつ、って骨髄移植の事ですか?」

「そうだとしたら?」

「ドナーいてるんですか?」

「さぁどうでしょ」

「そうなのか?佐江聞いてないぞ(怒)」

「医者にはね守秘義務って言うのがあって
患者さんが言って欲しくないことは言えないんだよ」

「でも、家族には(汗)」

「佐江は親戚で家族じゃないからね」

「そんなの関係ないじゃん(бвб) 」

「・・・・・そう言えば昔ドナーが見つかったのに
お金ないし面倒見る親もいないし兄妹もいないから
このままでいいって言ってきた人いたなー」

「・・・・・・・(бвб) 」

「ニャロ知ってる?今いろんな支援制度があるから
お金がなくても助かる命沢山あるんだけど
本人に生きる気力?生きたいっていう気持ちがないと
医者なんてどうすることも出来ないんだよ
悔しいよね」

「でも好きな人いるって・・・
その人と両想いになれたら生きる意味あるんじゃ」

「そうだね・・・実はもう両想いだったりして(*`ω´) 」

え?先生優ちゃんの好きな人知ってるの?

「知ってるんだったら言ってあげたら考え直すかもしれないじゃん(怒)」

「ゆっぴーは知ってるよ」

「うそ・・・」

なのに陽菜と遊んでくれてたの?

「陽菜が邪魔をしてたって事?」

「それは違うと思うけどね・・・
自分の耳で聞いてみたらいいよ(*`ω´) 」

陽菜の頭をワシャワシャ撫でて

「じゃーまた明日ね」

長い廊下を歩いて行った

アンブレラ  38

優子

目が覚めると見慣れた天井とあんまり好きじゃない匂いがして

あれ、私なんで・・・・そうか、鼻血・・・

「優ちゃん・・・」

横を見ると目が腫れていて泣いたんだってわかった

今も私の手を両手で握りしめ辛そうに私を見てる

その後ろには見慣れた三人の姿と白衣を着た先生がいた

「みんなどうしたの?」

「どうしたのじゃないよ、小嶋さんがLINEで知らせてくれたから
飛んできたんだぞ」

「大げさだなーいつものやつなのに(笑)」

でも、前の治療中には起こらなかったけどね・・・

「アハッ(-∀-`) 美人さんが台無しだよ」

しかめっ面のまま私達の話を聞いている篠田先生に冗談ぽく言うと

「ゆっぴーやっぱり体力があるうちに骨髄「先生!!」

「くっ・・・回診行ってまた後で来るから」

そう言うと背を向けて出て行った

「こじぱ、私アパートには帰れそうにないから
お家に帰ってねごめんね」

「居ちゃダメ?アパートの方がここに近いし」

「ダメだよあんなボロアパートに
若くてかわいい子を一人で居させるだなんて出来ない」

「優ちゃんだって一人で住んでたんじゃん」

「私は小さいけど強いからね
佐江、悪いけどこじぱを家まで送ってあげて」

「わかった」

「やだ、今日は泊まる!」

「ダメだって言ってるでしょ!」

つい声を荒げると

「ごめん・・・でも病院に来てもいい?」

涙を浮かべながら小さい声で聞いてくる

「いいけど、しんどくて相手してをあげれないかもしれないよ」

「いいもん、そばに居れるだけで・・・」

「勉強しないといけないから2時間だけだよ」

「っ・・・わかった」

「少し眠りたいから今日はみんな帰って」

これ以上話していると泣いてしまいそうだから
みんなに背を向けギュッと目を閉じた

アンブレラ  37

陽菜

ウトウトしてたら聞こえて来た優ちゃんの声・・・

溢れそうになる涙を必死に我慢する

きっとそれが本音だよね、死なないで優ちゃん・・・

静かな部屋に優ちゃんの寝息だけが聞こえて来る

眠れなくてぼーとしてたら

あれ?雨降って来た?

何処かにビニールがあるのかボタボタと
雨音が聞こえて来た

・・・・あっ!傘持ってくるの忘れた
優ちゃんの傘なのに・・・・

布団からそっと抜け出し
家に取に帰る準備をして
玄関に置いてあるビニール傘を借りて外に出ると

「さむっ!(汗)」

いつもは二人で出かけるから
一人だと余計に寒さが身に染みる

早く行って帰ってこよーと

家に帰ると誰もいなくて傘だけ持ってすぐ家を出る

途中、朝のパンを買ってアパートに戻る頃には
辺りは暗くなっていて雨の音だけが異様に響いていた

鍵を差し込みドアを開けようとすると

「ガラガラガッシャーン!!」

慌てて中に入るとキッチンにうずくまってる優ちゃんを見つけ

「優ちゃん(汗)」て叫ぶと

ゆっくりこっちを見て

「あ、にゃんにゃん帰って来てくれたんだ・・・」

「忘れ物家に取に帰ってただけだし」

「もう帰ってこないかなーて思ってたから嬉しい(-∀-`) 」

青い顔をしてふわっと微笑む優ちゃんが
今にも消えちゃいそうで怖くなる

傍に行くと

「ちょっとふらついちゃった
ごめんね、すぐ片づけてご飯作るから」

「今日は休んで、パン買ってきたしそれ食べよ」

その時

ポタッ・・・ポタッ

「優ちゃん鼻血が(汗)」

「っ・・・・」

ティッシュを渡すけど追いつかなくて・・・

タオルで押さえても止まんなくて・・・

「優ちゃん病院行かなきゃ(汗)」

「歩いていけないや・・ごめん救急車呼んでく・・・」

そのまま意識を失った優ちゃんを抱きしめながら
119番した
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アンブレラ  36

陽菜

たぶんお風呂に入ってる時以外ずっとかぶってるニット帽

人には見られたくないんだと思うけど
もし陽菜に見せてくれたら優ちゃんの特別になれる気がして
恐る恐る言ってみたんだけど・・・

その日の夜のお風呂上り頭に手を置きながら

「頭がスースーする」てはにかむ優ちゃん

「いっその事全部なくなってくれたら出家できそうなのにね」

て自傷気味に笑う

「小坊主みたいで可愛いよ(бвб)」

「小坊主かー」

て苦笑いしながら頭を撫でてる

どんな優ちゃんも可愛いし大好きだもんとは言わない
て言うか言えない

その日から外に出る以外はかぶらないようになった

といっても買い物以外はほとんど外に出ない

まだ免疫力の少ない優ちゃんに風邪やいろんな菌は天敵だから

陽菜は受験生らしくお勉強!ちゃんとしてるもん

「ここわかんない(бвб)」

「どれどれ・・・あーここはこうして・・・こうやって解いてみて」

「えーと・・・・こうでいい?」

「そう!にゃんにゃん凄いじゃん」

「陽菜出来る子<`〜´>」

難しい問題を解いたらナデナデシテくれるから頑張っちゃう
ここ三・四日で陽菜天才になったかも(笑)

「そろそろ休憩しようか、紅茶入れるね」

立ち上がろうとした優ちゃんがバランスを崩し倒れそうになった
何とか持ちこたえたけど急に顔色が・・・

「大丈夫?」

「アハッずっと座ってたから立ちくらみだよ」

言葉とは裏腹に動かない優ちゃん

「陽菜が入れるから座ってて」

「ごめんね、でもちょっとだけ横になるから
にゃんにゃんだけ飲んで」

「陽菜もいらない、布団敷こうか?」

「少し横になったら大丈夫だからにゃんにゃんは勉強してて」

しんどそうな優ちゃんを目の前にして勉強なんて出来るわけないじゃん

「陽菜も眠くなってきたから布団出すね」

テーブルを端に寄せクローゼットを開け布団を出す

「お昼寝しよう二人の方があったかいでしょ」

「ありがとう」



優子


普通に立ち上がろうとしたらめまいがして倒れそうになったけど
ここで倒れたら陽菜が心配すると思って何とか持ちこたえた

でも気分も悪くなってきて起き上がる事が出来ず
横になる事に

陽菜が布団を敷いてくれて
私の為に昼寝をすると言ってくれた

二人で向かい合うように布団に入ると・・・

「にゃんにゃん(汗)」

「陽菜の体には癒しの力があるんだよ
だから優ちゃんにも分けてあげるね」

そういって抱きしめられてる年上の私
どっちが上かわかんないね(笑)

陽菜の体は柔らかくていい匂いがする
同じシャンプー使ってるのにね

ぐっと引き寄せられると顔に胸がぁ〜(汗)

でも体は少し楽になった気がするんだけど気のせいかな?

少しするとスースーと言う寝息が聞こえてきた

寝るの早すぎるし(笑)


癌を告知された時でも半分あきらめていたのに


この時初めて死にたくないと思った・・・

そう思うと涙が出てきて

「死にたくないよにゃんにゃん」

自然とそう呟いていた


陽菜と生きていきたいそう思ったんだ

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