「あ、あのう・・・好きです
初めて会った時からずっと好きでした」

「・・・・・・・・・・」

「もし嫌じゃ無かったら私と付き合って下さい」

「私、このお店が一番大切だし一番好き」

「はい・・・・」

「それに勝てる物も、人もいないし
これからも店以上に好きになる事は無いと思うの」

「っ・・・うっ・・・くっ・・」

「それでもいいならいいよ」

「そうですよね、こんなチビでオシャレからほど遠い
ましてや女なんかと付き合えないですよね」

「・・・・話聞いてる?」

「へぇ?」

「だからいいよ」

「いいよ?付きあうってその辺に行くって事じゃないですよ」

「わかってる」

「や、や、やったー⊂^⌒⊃_д_)⊃ 」


大島優子、25歳にして初めての春が来ました♪



て、なったのが半年前の話で・・・


「お昼休憩行ってきまーす♪」

「ゆっぴー、帰りにスタバのコーヒー買ってきて
みんなの分もね」

「了解でーす」

私をゆっぴーと呼ぶこの人は

背が高くておしゃれでモデルみたいな顔と体型を併せ持つ
私とは真逆と言っていいくらいなんでも持っている
この店のオーナーでもありカリスマ美容師の篠田麻里子

通称麻里ちゃん、後輩のさっしーと北りえは麻里子様と呼び
私と同期の才加は一人だけ篠田さんと呼んでる

「フフ、フンフン♪フフフン♪」

鼻歌を歌いながら階段を下りていると

「あ、大島さん、サボってちゃダメじゃん」

「こ、こ、小嶋さん(汗)違いますよ、今からお昼休憩です
小嶋さんも一緒にどうですか?」

「ごめん、もう食べちゃった」

「そうですよね・・・」


お昼は交代で行くから今一時半、そりゃ食べ終わってるよね・・・


「今日早番なんですけど夕飯食べに行きませんか?」

「ん〜・・・いいよ、お店7時までだけど大丈夫?」

「待ってます(-∀-`) 」


やった、小嶋さんと食事なんていつぶりだろう・・・

付き合ってるのに未だにさん呼びと敬語でしか話せない
自分のヘタレぐあい・・・情けないなぁ・・・


同じビルの二階にある美容室と一階にある
小嶋さんのお店

こんなに近くにいるのに休みが違うし時間帯も違う
から半年でデートはたったの二回だけ

それも、小嶋さんの買い物に付きあって
荷物持ちしてご飯食べて帰ると言う・・・・
だからまだ手も繋いだことない

キスなんて何年先になるのやら

これってデートなの?

でも一日一緒にいれるだけで今は嬉しい

ランチを食べて戻ろうとしたら

「あ、優子さんお昼食べてはったんですか?」

「うん、みるきーは何してるの?」

「うちはお客を釣りに来ました(笑)」

「うわーみるきーに釣られたら買っちゃうよ(汗)」

「やったーじゃー戻ったら買って下さいね」

「でも、私に似合う服ないから・・・」

「そんな事ないですよ、優子さんに似合いそうなワンピース
入ってますよ、あれ着はったら可愛いんちゃいます?」

「そんな事言ってくれるのみるきーだけだよ
なんでも奢っちゃう」

「やったー、じゃー今度ランチ奢って下さいね」

「時間が合えばね」

「小嶋さんにお願いするから大丈夫です」

みるきーこと渡辺美優紀ちゃんは小嶋さんのお店で
バイトしてる大学生
関西から東京の大学に来てるらしくて
たまに出る関西弁が可愛い

話しながら一緒に戻ってきたら

「ただいま戻りました」

「お帰り、あれ?コーヒーは?」

「あ・・・すいません、忘れてました(汗)
急いで買いに行ってきます」

「もういいよ、もうすぐご予約のお客様いらっしゃるでしょ」

「すいません・・・・(汗)」

「どうせ小嶋さんの事でも考えてたんじゃないですか(笑)」

「ち、違うよみるきーと一緒に話しながら戻って来たからつい」

「えー優子ちゃんみるきーと仲いいんですか
指原が挨拶してもおはようだけしか言ってくれないのに」

「莉乃ちゃんは下心ありありで話しかけるからだよ」

「だってアイドル好きなんだもん
みるきーてアイドルっぽくないですか?」

確かに・・・・

「オーナーの小嶋さんもいいよね
色っぽいと言うか美人さんだし
あれは絶対に男いるね
もう一人のマリアちゃんもモデルさんみたいだし
あのお店は美人ぞろいだってビル中の男達が
狙ってますからね」

「なんでさっしーがそんなこと知ってるの?」

「さしこは聞き耳立てるのがうまいからだよね(*`ω´) 」

「麻里子様(汗)」

スタッフたちは私が小嶋さんを好きなのは知ってるけど
付き合ってると言うのは知らない

どう見ても付きあっているようには見えないからね
唯一知ってるのが・・・

「いらっしゃいませ、あ、小嶋さん(汗)」

「麻里子ちょっといい?」

お店をオープンした時期が同じだったらしく
公私共に仲のいいオーナー二人

小嶋さんのヘアーも麻里ちゃんが担当だし
お店についての相談なんかもしているみたい・・・


「あの二人って仲いいですよね」

「そうだね」

「二人が並ぶとモデルさん同士みたいでお似合いだし」

「そうそう、身長も高いしお似合い」

「それに小嶋さんの時はシャンプーから麻里子様がするし
絶対に髪を触らせないぞオーラがいつも出てますもんね」


「そうかな・・・・」

「優子ちゃん、頑張ってアピールしないと
負けちゃいますよ」

「う、煩いな」

負けるも何も小嶋さんの恋人は私なわけで・・・
恋人だよね?

確かにああやってるとお似合いな二人・・・

あっ、今笑った・・・・

あんな顔私と二人でいる時には見せてくれたことないのに・・・

やっぱり付き合うって言うのは
食事や買い物に付きあうって事だったんだろうか・・・