「あっちゃん月曜からお弁当もう一つ作ってくれる?」

「え?にゃんにゃん二つも食べるの」

「そんなわけ無いでしょ
バイトみたいなものかな」

「もしかして臨時収入の人?」

「正解(бвб)あっちゃんすご〜い」

「お金貰ってるのなら仕方ないねいいよ
あ、お弁当箱どうしよう」

「その辺のタッパでいいよ」

「お金貰ってるのにそんな訳にはいかないでしょ
百均行って買ってこなきゃ、あ、お箸も」

「陽菜今週の土日はバイトだからお願いしても良いかな」

「にゃんにゃんばかり働かせてごめんね
私も高校生になったらバイトするから」

「あっちゃんは気にしなくていいの
双子の面倒見てくれてるし
陽菜の苦手な家事も全部してくれてるんだから」

「でも・・・」

「陽菜は勉強嫌いで働くのが好きだから
高校卒業したら就職するし
後一年と少しやりくり頑張ってねあっちゃん」

「にゃんにゃん・・・」

「そんな顔しないのほら、もう寝よう」

ふた部屋しかないアパートの奥の部屋に布団を三枚敷いて
姉妹四人で眠る

プライベートなんてまったくないけど
すやすや眠る妹たちの顔を見ると
嫌なことも忘れちゃうから
毎日気分をリセットできる

陽菜は三人を守る義務がある
親が放棄したなら
長女が育てて行くのが当たり前でしょ?




陽菜が中学を卒業し高校生になった三日後
パパが帰ってこなくなって
一週間後ごめんと一言だけ書いたハガキが届いた

どうして良いかわからず先生に相談したら
児童福祉課?みたいのところから人がやってきて
三人を施設に入れると言われた

陽菜は高校生だから入れないんだって

私と離れたくないと泣く双子を泣きながら諭すあっちゃんを見て
姉妹は離れたらダメだって心のなかの警報が鳴った

「私が三人を育てます!」

「高校生が育てるなんて無理よ」

「高校をやめて働きます」

「だめ!お姉ちゃんが高校行かないなら私達は施設に行く(∵)」

決意した目で陽菜を見つめるあっちゃん

「お父さんが通帳は置いていってくれてるので
バイトしながら育てます」

妹たちのためにと貯めていた貯金は手を付けずに
残していってくれたお父さん
少しは親らしいことしてくれたのかな(笑)

それからは学校は一応行ってるだけ
先生も事情を知ってるから少し優遇してくれて助かる

少しずつ減っていく貯金
来年はあっちゃんが高校生だからお金がいるのにどうしよう

早く卒業したいけどまだ二年生だし・・・

そこで現れた救世主?な大島さん
お金的にだけどね

陽菜が我慢して付き合えばお金の面で
今までより楽ができそうだけど女の子だし・・・

あ、女の子だから良いのか?
男の子だったらお金で買われてるみたいだから

でも女の子でもそうなるのかな?

う〜ん・・・ま、いっか
その時はその時でなんとかなるよね
陽菜運だけは良いんだから(бвб)