陽菜

優ちゃんの部屋に入って言葉を失った

綺麗にしてるって言うか・・・ほとんど何もなかったから

そこには決して大きくないテレビと三段ボックス
そして立てかけているテーブルしかなくて・・・

ここには帰ってくるつもりはなかったんだと
陽菜でも分かるもん・・・

クローゼットから座布団と掃除機を取だし
陽菜を玄関の近くに座らせ掃除機をかけだした

そんなに広くないからすぐ終わってテーブルを真ん中に置く
たまった埃を濡れタオルで拭いて陽菜を手招きした

「紅茶でいい?」

「うん」

三畳くらいのキッチンに行ってお湯を沸かし始めた

カーペットも敷いてなくて座布団だけだから凄く寒い
元々ないのかそれとも捨てたのか・・・

「ごめんね寒いでしょエアコン入れるね」

「いいよ、お金かかるし」

「でも(汗)」

「いっぱい着込んでるから大丈夫(бвб) 」

カップを二つ持ちテーブルに置くと
ブランケットを出してくれた

「何にもないから一週間もいたら退屈するね」

そう言って苦笑いする優ちゃん

陽菜はゆうちゃんと一緒にいれるだけでいい・・・
そばに居て何も話さなくても
寄り添ってテレビを見てるだけでいい

そう言いたかったけど恋人でもないのに言えなかった

ケーキを出すと潰れちゃってってショックだったけど
凄く喜んでくれてデコろうって言ってくれた

一緒に買い物に行って献立考えて
お菓子やジュースも買って・・・

これ好き!とかえーこんなの食べるのーとか
まるで恋人みたいだね

偽りでもいい・・今が幸せだから思うぐらいはいいでしょ?

アパートに帰って来て帰り道のパン屋さんで買った
パンを昼食にして食べテレビを見ていると
上瞼が落ちてきそうになる

テーブルに肘をつきウトウトしていたら

「眠い?」

「・・・少しだけ・・・」

「布団敷こうか?」

「えーいいよ(汗)」

「床だから横になれないし暖房入れてないから
布団に入るとあったかいよ」

そう言ってテーブルをずらし布団を敷いてくれた

「優ちゃんも入れば?」

「わ、私はいいよ(汗)」

「なんで?二人で入ればあったかいよ(бвб) 」

「そ、そうだけど眠くないし(汗)」

「寝ころんでテレビ見ればいいじゃん(бвб) 」

「うっ・・・」

「はいどうぞ」端によって前を開けてあげると

「お邪魔します(汗)」

お邪魔しますってへんだよーて言うと
そうだよねって照れ笑いする優ちゃん

横を向きテレビを見てる・・・

この隙間が寒いし・・・

陽菜も横を向き優ちゃんを背中から抱きしめると

「にゃっ、にゃんにゃん(汗)」

「抱き枕だし(笑)この方があったかいでしょ(бвб) 」

「っ・・・そうだけど(汗)」

「お休み―(бвб) 」

湯たんぽみたいに温かい優ちゃんの体温を感じながら
目を閉じた