陽菜

優子が出て行ってから何とか体を動かし
リビングのソファーにもたれていると携帯が鳴った

一瞬優ちゃんからかと思ったけど着信音が違うから
ほっておくとしつこい位鳴っていたから
手に取り画面を見ると麻里子からだった

どうやら優子は才加の家に行ったらしい
そこに麻里子もいたんだとか

迎えに行くと言って電話を切り
帰って来たままの格好だったから鞄を持ち
車に乗って気が付く

「陽菜、才加の家知らないじゃん・・・」

ふと可笑しくなり笑った

優子の心友なのに何にも知らないって・・・
優子の事全然わかってなかったし知ろうとしていなかったかも

麻里子にメールして住所を送ってもらいナビに入力

「結構近かったんだ・・・」

でも歩いたら陽菜の足だと30分はかかりそうだから
車で行く事にした

近くのパーキングに止め入口の呼び出しを鳴らすと
後ろでギャーギャー騒ぐ優子の声が聞こえた

部屋の玄関のチャイムを鳴らすと麻里子がカギを空けに来てくれて

「ゆっぴー頑なに拒否してるよ」

何が楽しいのかニコニコしながらそう言ってくる麻里子
修羅場を楽しむS気質

リビングにはいると
才加に羽交い絞めにされこっちを向いて座ってるんだけど
首だけ横に向け目は下をじっと見ていた

「優ちゃん帰ろ」

「・・・・もう別れた」

「陽菜は別れたつもりないんだけど」

「それはそうだよ始めから付き合ってないんだもん」

「陽菜は付き合ってるって思ってたんだけど違った?」

「私は初めから好きだったけど小嶋さんは違うでしょ
告白されたから取り合えづ付き合ってくれたんでしょ
同性だし友達感覚だったんでしょ!」

「始まりはそうだったかもしれないけど
好きでもない人と旅行に行ったり
一緒に住んだりしないよ
陽菜ってそんなに軽い女だって思われてたの?」

「思ってないけど・・・
他の人に体触れられてるのに笑顔でいる
小嶋さんを見ていたくない・・・」

「あれは仕事関係の人だから仕方なく・・・・
それにちゃんと恋人がいますからって
仕事以外の約束はお断りしたよ」

「モテる女は辛いね(*`ω´) 」

キッと睨むと肩をすくめ舌を出す麻里子

「陽菜の恋人は優ちゃんだけでしょ」

「うっ・・・・」

「お家に帰ろ」

「ごめんなさい・・・(涙)」

「もういいから、麻里子も才加もごめんね
ありがとう」

「こういうのは大歓迎(*`ω´) 」

「もう・・・・二人が修羅場になっても
うちには来ないでよね」

「え〜つれないなー」

「今度才加だけ食事に招待するね」

「篠田は?」

「麻里子はたまたまここにいただけでしょ
優ちゃんが頼ったのは才加だけだから
それに誰かさんのおかげで事が大きくなってないとも
言いきれないしね」

「鋭い・・・(汗)」

もう一度お礼を言って二人で玄関を出た