「で、どうだったの?」

「父は陽菜様のお母様、真子様が小嶋家に嫁いでこられて以降
ご夫婦専属の執事として仕えていました」

「そんな事知ってるし」

「陽菜様がお生まれになるまでの三年間
週の二日ほどしか屋敷にお戻りにならないご主人様でしたが
奥さまが一人でお出かけになるのを嫌がられ
どうしても出たいのであれば
週の一日だけ執事付きで出かけてもいいが
何処へ行っていくら使ったかを報告しなければいけなかったそうです」

「酷い・・・・・」

「その大切な一日をある時期から
毎回同じ方とお会いされていました」

「・・・・・・」

「ご主人様にはどなたと会っているのかを報告していましたが
毎回同じ方でしたので不審に思われ何をしているのか聞かれると
奥様はただ一緒に遊んでいただけと答えられ
父も聞かれましたが車で待っていたので
何をしてるかはわかりませんと答えたそうです」

「本当は何をしてたの」

「それは・・・・奥様と相手の方しかわかりません」

「だったらどうして会わなくなったの」

「お買い物やランチの後は必ずホテルへ行っていたと知られ
何故ホテルへ行ってるのか問い詰められると
聞かれたくない話をしていたからだとお答えになったとか」

「・・・・・・・」

「そんな話しか出来ないやつとは会うなと言われ
それ以来一度も会えなかったそうです」

「そんな・・・・・酷い」

「じゃー・・・・あの絵本はどうやってお母様の手に?」

「陽菜様がお生まれになったお祝いにどうしても送りたい
しかし奥様の郵便物はすべてご主人様が確認します
なので父が北川様から直接預かり
お母様にお渡ししたそうです」

「見つかってたら取り上げられるだけじゃすまなかったじゃん」

「はい、細心の注意を払いお渡ししたと申しておりました」


「だったら駆け落ちして連絡が途絶えてしまい
私が産まれた事は知らなかったんじゃ・・・」

「大島様のお母様のお好きな花は何でしたか?」

「お母さんは・・・・ヒマワリが大好きで
物心ついた時には庭に沢山咲いていて
形見の品になってしまいましたが
身につけていたひまわりのペンダントを私の五歳の誕生日に
大切にしなさいってくれたんです」

「そのペンダントは真子様が
大島様の誕生のお祝いに送られた品です」


陽菜様と目を合せ固まっていると


「私は麻衣様に一度だけお会いした事があるんです」

「どうして?」

「中学一年生の夏休みが終わる最後の日に
一枚の紙と小さな紙袋を渡され
そこへ行き絵本を買って一番最後に並びサインしてもらいなさい
その時に真子様からですと言って紙袋を渡しなさいと」

「私はもう産まれてたんですか?」

「いいえ、お腹の大きな麻衣様が真子様と言う名前を聞いて
泣きそうな顔をしてお腹を撫でながらありがとうと一言だけ言われ
中身を見てからゆっくりと絵本にサインをされ
その下にはメッセージが書かれていました」


「ちょっと待って・・・・絵本がもう一冊あるって事?」

「ありました」

「ありました?あるじゃなくてどうしてありましたなの?」

「それは・・・・奥様の棺に一緒に入れたからです」

「どうして・・・・この絵本はあるのに
どうしてその絵本は残してくれなかったの!」

「その絵本は陽菜様にと送られたもの
あの絵本は奥様に送られた物だからです」

「・・・・・なんて書いてあったの」

「言えません」

「他に知ってる人は?」

「私以外に居ないと思います」

「お願いします、教えてください」

「大島様」

「お願い」


土下座した私を見て同じように
土下座する陽菜様


「陽菜お嬢様おやめください(汗)」

「じゃー教えてよ」


「・・・・・あの時の事は今でも鮮明に覚えています
微笑みながら涙を流されていて・・・・・・

”月と太陽は一緒には居れないけれど
必ずどちらかが子供達を照らし続けれます
必ず交わる時期もある月と太陽
いつか親子で相見えることを願います”

そう書かれていました」

「お母さん・・・・(。-∀-)」

「お母様・・・(涙)」


会いたいのに会えなかった二人・・・・

四人で会う事は叶わなかったけど
私達二人がこうやって出会えたのは
お母さん達の思いが強かったからなのかもしれない


「お母様たちの思いを陽菜と優ちゃんで受け継ごうね」

「でも、卒業されたら陽菜様は・・・」

「陽菜の婚約者ひと回りも上なんだよ酷いと思わない(怒)」

「ひと回り・・・・・」

「中学生だった陽菜を見てニヤニヤしててキモイし
おじさんと結婚なんかしたくない(怒)」

「しかしご主人様が決められた縁談です(汗)」

「年に数回しか会わないお父様の言う事なんて聞かない」

「私は後二年ここから出れなくて・・・・
陽菜様を守れないのが悔しいです」

「優ちゃんが卒業するまでここにいるから大丈夫(бвб) 」

「え・・・・どうやって?」

「留年したっていいしたとえ卒業させられてもここに住んで
この学園をぶっ壊して改造する
だってお父様はここには入ってこれないから
連れ戻すことはできないでしょ(бвб) 
だから優ちゃんも手つだってね」


女神さまは眠れる獅子だったみたい(;´-∀-)


「麻里子達にも手伝わせるとして
色々作戦とか計画を立てないといけないから
もう向こうには帰れないね(бвб) 」

「何故ですか?」

「夜中にいいアイデアが浮かんでもすぐ言わないと忘れちゃうでしょ」

「メモか何かに書いておけば(;´-∀-)」

「陽菜がそんなことすると思う?」

「思いません・・・・・(;´-∀-)」

「今から優ちゃんの引っ越しをしまーす(бвб) 」

「陽菜様(;´-∀-)」

「執事は向こうに入れないから・・・・・
手伝いを才加に頼もうか?」

「い、いえ一人で大丈夫です(;´-∀-)」

「早く行って早く帰って来てね優ちゃん」


(はぁ・・・・今日から毎日夜が楽しみ)


心の声が漏れてますよ陽菜様

さっきの感動を誰か返してぇ〜(。-∀-)




おしまい