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月の女神 30

「北川謙二様のご家族は
お二人が駆け落ちした次の日には
代々勤め上げて来た大島家から
誰もいなくなったと聞きました」

「おじいさんからクビにされたんですか?」

「いえ、クビにされる前に辞表を出し
出て行かれたそうです」


そうだったんだ・・・・


「もしかして駆け落ちするの知ってたんじゃない?」

「どうしてそう思うんですか?」

「だって何処かへ旅に行くのに
着いて行ってるだけかもしれないでしょ」

「確かに・・・そうですよね」

「一家が何処へ行ったのかを
その頃お屋敷にいたお手伝いや庭師に聞いたのですが
誰も知りませんでした」

「行方不明?」

「先々代の頃からの執事でしたので
田舎が無く行くところが
わからないというのもあったと思います」


やっぱり私にはもうおじいさんしかいないのか・・


「でも見つけたんだよね(бвб)」

「はい、必ず見つけてきてとのご命令でしたので」

「もったいぶらずに早く話してあげて」

「御一家は引退した執事仲間や
学生時代のご友人を頼り各地に散らばり
生活されていたようです」


「今どこにいるかわかったんですか?」

「曾御爺様御婆様はすでにお亡くなりになっておられ
御爺様御婆様は北海道に
大島様の叔父さんにあたるお父様のお兄様は長野に
叔母様にあたる妹様は東京にいらっしゃいました」

「ありがとうございます
会えなくても血の繋がった親戚が
いるとわかっただけで嬉しいです」


「卒業したら会いに行けばいいじゃん」

「行けませんよ、
お父さんのせいでみんなバラバラになったんですから」

「・・・・・・・」

「何か隠してるよね・・・・どうして行方がわかったの」

「大島様のお母様麻衣さまは北川様に内緒で
ずっと金銭的支援をされていたのです」

「お母さんが?」

「はい、初めは返金されたりお断りになっておられたようですが
将来ご自分の家族に何かあったときは
助けてあげてほしいと言われたそうで・・・」


「お母さん(。-∀-)」

「でも、優ちゃんがひとりぼっちになったとき
誰も引き取りに来なかったんでしょ」

「大島姓の優子様を引き取ることは出来ずにいましたが
そばで見守ってはおられました」

「そばで?どういうことですか
施設の職員さんとか?」

「妹様が嫁がれたのは宮澤家です」

「宮澤?・・・・・・宮澤佐江!?」

「はい、大島様とは従姉妹に当たります」


「佐江が従姉妹・・・・
じゃーわざと近づいてきたって言うの?
偽りの心友だったてこと?」

「ご本人には何も知らされていないと聞いておりますので
偽りではなかったと思います」

「佐江・・・・・」

「優ちゃん大丈夫?」

「私に従姉妹が・・・・それもすごく近くにいました(。-∀-)」

「うんうん、よかったね(бвб)」


小中とずっと一緒だった佐江が親戚だったなんて
じゃーあの優しかった佐江のお母さんは私の叔母さん

私のことすごく可愛がってくれて
お泊まりだって何度もして
一度佐江が自分より優子を可愛がるって
やきもち妬いてたっけ

そっか・・・・叔母さんだったんだ(。-∀-)


「で、そんな細かく調べられたのって
何か繋がりがあるからだよね
じゃないと絶対にわからないはず」

「私からはこれ以上申し上げられることはありません」

「誰なら教えてくれるの?」

「それは・・・・・・」

「昔の執事仲間の所へ行ったのだったら
陽菜様の執事さんの所にも
もしかしたら噂が来てたんじゃないですか?」

「・・・・・・・・」

「どうなの?」

「父が知っていました
しかしそれ以上は教えてはくれませんでした」

「明日ここへ来させて」

「それは・・・・出来ません
ここへ入れるのは私だけです」

「じゃー陽菜を連れて行って」

「ここから連れ出す事も出来ません」

「なんとかして(怒)」

「誰が知っていたとかもういいです
卒業したら佐江に会いに行って
おばさんに聞きますから」

「まだ二年以上あるよ」

「約十年も一人だと思ってたんですから
後二年くらい待てます」

「優ちゃんがいいならいいけど・・・」

「ご馳走様でした、美味しかったです(-∀-`) 」

「ありがとうございます」

「今日は早めに戻りますね」

「え、泊まっていかないの?」

「今日は授業を休んでしまいましたから
宿題や連絡もあるかもしれないので戻ります(;´-∀-)」

「むぅ・・・毎日ここから通えばいいじゃん」

「それはできません、私は一般生ですから」

「校則変える」

「そんな事で変えたらダメです(;´-∀-)」

「そんな事じゃないじゃん、大切なことじゃん」

「執事さん何とかしてください(;´-∀-)」

「お嬢様、大島様には大島様の生活がございます
強要してはいけません」

「あと数カ月で陽菜のわがままは終わるのに・・・・」

「お嬢様・・・・
あまり深入りされますと
辛いのはお嬢様です」

「そんな事言われなくてもわかってる(怒)」

「申し訳ございません口が過ぎました」


一礼して出て行こうとするから


「最後に一つだけ、
卒業してからお母さんと陽菜様のお母さんは
会えたんでしょうか?」

「それは私ではわかりません」


「私では?」

「お母様の執事は湯浅の父親だもんね」

「はい」

「明日全部聞いてきて
なんだったら動画撮ってきてくれて良いから」

「お約束は出来ませんが伝えます」

「だめ!絶対に聞き出さないとクビだから」

「・・・・・・肝に銘じます」


もう一度一礼して出て行った


「私の為に執事さんを困らせないであげてください」

「優ちゃんの為だけじゃない
陽菜だって知りたいから」


だよね、私が知りたいんだから陽菜様だって知りたよね


「私もこれで失礼します」

「やっぱり帰るんだ・・・・・」

「すみません、おやすみなさい」

「おやすみ」


私の顔を見ず一言だけいうとベッドに腰掛ける陽菜さんに
後ろ髪を引かれながら部屋を後にした




「ただいま」

「お帰りなさい、今日も戻ってこないのかと思ってました」

「勉強遅れちゃうから・・・・」

「板野さんがプリント持ってきてくださったので
机の上に置いてます」

「ありがとう」


そこには今日どんな勉強をしたのかや宿題、どんなことがあったとか
細かく書かれていて几帳面なともちんに笑みがこぼれた


そうだよ、私の世界はこっちなんだ
陽菜様達と一緒にいると勘違いしそうになるけど
ちゃんと身分をわきまえなきゃ

じゃないと・・・・・戻れなくなってしまいそうになるから


「大島さん、悩み事があるならいつでも言ってください」


「ありがとう、でもまだ大丈夫」


そう、まだ大丈夫・・・・・だと思っていた私は愚か者だ

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