「麻里子、こじぱは何してるの」

「学校には来てたみたいだけどデートがあるって帰って行きました♪」

「引き留めろよ」

「無理でしょ、機嫌を損ねてやめるって言われても困るし」

「だからって練習が進まないだろ」

「とりあえずニャロの場面は飛ばしてしていくしかないね」

「はぁ・・・・まったくあの猫は」

「猫は気まぐれだから(*`ω´) 」

「気まぐれすぎるだろ」

「じゃー役を下ろせば?」

「それは・・・・・まあいい
飛ばしてシーン5からやるから」


困ってる秋元さん
でも私はもっと困ってる
だってあれから四日たつのにまだ採寸出来てないから(汗)

それに篠田さんから聞いたんだけど
小嶋さんは古いのは着ない主義らしい

と言う事は一から作らないといけないわけで・・・
そんなの絶対に無理(涙)

私作れません、と言ったら
じゃー買ってくるしか無いねって

部費で出るのか聞いたら

もちろん出ないよって涼しい顔で言われた


「どうしよう・・・佐江手伝って」

「佐江はセリフ覚えるのに必死だからごめん」

そうだよね、一年生で唯一出てるもんね

「うちが手伝おうか」

「たかみな、いいの!?」

「自分の分はもう終わったし
裁縫得意やから」

「有難う!助かる」


たかみなは家政科のある大学に行こうと思ってたらしいんだけど
知り合いがこの大学に居て
ここを受けろって言われたから受けたらしい


「そう言えば知り合いの人って誰なの?」

「誰にも言わんといてや」

「うん、言わないよ」


あまり知られたくないのかな


「敦子」

「・・・・いや、下の名前だけ言われても(汗)」

「そうだよね・・・・前田敦子」

「前田・・・敦子って前田さん!?」

「そう、親同士が仲良くて小さい時からよく遊んでた」

「そ、そうなんだその事他には誰が知ってるの」

「一年生は優ちゃんに言っただけで
先輩はわからない」

「そっか・・・・」

たかみなの担当に前田さんがいるって事は
秋元さんは知ってるかもそれと同い年の篠田さんあたり



その日の練習が終わり帰りがけに


「大島、帰りにこじぱの所へ寄って採寸してきて
いつ来るかわかんないから」


そう言って住所が書かれた紙を渡された

地図で調べたら帰り道とは逆方向

はぁ・・・家に帰ったら何時だろう、お腹すいたな

電車を降り駅から10分歩いたところに小嶋と書かれた表札を見つけた


「うん、間違いないこの住所だ」


インターフォンを鳴らし少し待つ


「・・・・・・・」


おかしいな電気は点いてるのに

もう一度ならしてみるけど返事が無くて
そのまま帰ればよかったんだけど
せっかくここまで来たんだからって門の中に入り玄関のドアを握ると

「開いた・・・」


ゆっくり開け中に向かって


「すいません・・・誰かいませんか
ごめん下さーい」

そう言って耳を澄ますと


「んっ・・・・やぁっ・・・・」


苦しそうな声が聞こえてきたから
玄関にあった傘を持ち声の方へ急ぎ勢いよく
ドアを開け

「やめろー!!(汗)」


と叫ぶ


静まり返る部屋
注目を浴びる私・・・・


「なんだお前、出て行けよ」

「ご、ごめんなさい(汗)」


靴の後ろを踏みこけそうになりながら
家から飛び出した