鳴りやまない拍手と歓声

何回ものカーテンコール


私の目からは涙が止まらなかった


凄いよ・・・ほんと凄い

ライトを浴び何度もなん度も挨拶する先輩たち

私もあの中にいたかったな・・・

ふと頭をよぎったけどそんな事あり得ないから
例え立てたとしても真ん中ではなくこのそでに一番近い場所


「はぁ・・・もういいじゃん」

「だめ、去年は6回やったから今年は記録更新します」

「むぅ・・・・・」


タイ記録の6回目のカーテンコール
最後に出て行った小嶋さんが

「みんな〜陽菜疲れちゃったからこれでおしまーい」


ドッと笑いがおきる

「あ、黒子ちゃん達も出ておいで」


黒子ちゃんて私達の事かな


「は、や、く!」


慌てて出て行くと


「この子達裏方さんにも盛大な拍手をお願いしまーす」


今日一番の歓声と拍手を私達にプレゼントしてくれた小嶋さん

私も隣にいたたかみなも緞帳が降りてもずっとお辞儀をしていた
だって涙で顔がクチャクチャだったから

そうしたら誰かが私の頭を撫でて通り過ぎて行った
顔をあげてないけどドレスの裾が見えたから分かる

小嶋さんだ


なんなんだよあの人は・・・意味が分からない
きつかったり優しかったり・・・
近づこうとすれば引き離す癖に
近寄らなければ近づいて来るんだから

後片付けは佐江も手伝ってくれて6人でセットを倉庫まで運ぶ

先輩たちもう着替えちゃってるよね・・・
思い出に写真撮りたかったな

「佐江一年生で写真撮ろう」

「今?」

「違うよ、私達は私服に着替えるから」

「だよね、みんな真っ黒なのに佐江だけ衣装だなんて変だもんね」

「部室へ戻ると峯岸さんしかいなくて」

「裏庭で全体写真撮るから黒子たちは着替えて早く来るように」

「はい」



嬉しい・・・・最後の思い出に二人で撮りたいな
怒られても撮るんだ
だってもう怒られることはなくなるんだから・・・


着替えて中庭へ行くと凄い行列が出来ていた


”ツーショット写真一人一回500円”

大きな立て看板

「何これ・・・500円て何?」

「やっと来たよ、ほらあそこの乱れてる列
ちゃんと並ばせて撮影代わって」

「は、はい」

今写真を撮ってるのは野呂さんとか脇役の先輩たち
で、列が出来てるのは主役の二人はもちろん
秋元さん、前田さん、柏木さん、そして

「写真撮ってください」

「え、佐江?」

佐江ちゃんの前にまで列が出来てる

私達は列をまっすぐに並ばせ
撮影を先輩と代わり


「はいチーズ」


スマホを預かり写真を撮って行く


私はたまたま篠田さんの担当になった


「有難う、また来てね」


そう言ってハグまでするサービスぶり
そうすると女の子はまた後ろに並んで順番を待つ

うん、流石ですね篠田さん

人が代わる合間に佐江を見ると

初めはガチガチだったのにノリノリになって
篠田さんの真似してハグまでしだしたから
大物になるなって思った(笑)


「今ならんでる人で終わりにします」

秋元先輩が大きな声で叫ぶ

ふぅ・・・・いったい何枚撮ったんだろう


やっと終わり最後に全員で集合写真を撮った
もちろん私達は後ろの一番端
チビだからきっと顔しか見えてないと思う
もしかしたら鼻から上だけかも(汗)


「あ、あのう・・・」

「なに」

「最後に写真撮ってください!」

「・・・・・・・」

「お願いします」

スマホを突き出してプロポーズでもしてるかのシチュエーション

「・・・・・500円」

「はぃ?」

「一回500円」

「あ、はい・・・あ、でも今財布部室なので後からでもいですか」

「無理」

「すぐ取ってきます(汗)」

「今すぐじゃなきゃムリ」

「うぅ・・・」


やっぱりむりだった


「はい、500円」


目の前に差し出された500円硬貨


「峯岸さん・・・・」

「陽菜も意地悪しないで撮ってあげなよ」

「スマホ貸して、篠田が撮ってあげる(*`ω´) 」

「いえ・・・そんな事、た、たかみな(汗)」

「たかみなちゃんはあっちゃんのお世話中(笑)」

「あ、え・・・佐江(汗)」

「佐江ちゃんは他の先輩と撮影中(笑)
ほら早くしないと撮ってもらえなくなるよ」

「お願いします・・・」


素直にスマホを渡し


「失礼します」


小嶋さんの隣に並ぶ


「そんなに離れてたら小さくしか写らないよ」


でもこれ以上近づいたらドレス踏んじゃう、どうしよう


「はぁ・・・・もう」


また怒らせてしまった(涙)


「ほら、こうすれば大丈夫でしょ」


そう言うとドレスを手繰り寄せ
私の腕を掴み引き寄せる


「わぉ〜いいねぇ(*`ω´) 」


腰に手を回され密着するからだ・・・・

カシャカシャカシャ


「何連射してるの(怒)」

「いいじゃんどれかいいのを保存すればいいんだから
ねぇゆっぴー」

「・・・・・あ、ありがとうございました」



二人に頭を下げその場から離れた