私、篠田由紀、アイドルに憧れる中学三年生
お隣の陽菜ちゃんとあっちゃんとは年は違うけど
小さいころから仲が良くていつも一緒に遊んでいた
陽菜ちゃんもアイドルが好きで話が凄く会う!
あっちゃんは食べるのが大好きで
アイドルには一切興味がない(笑)
秋元家の末っ子佐江ちゃんは3歳離れた幼馴染・・・・
佐江ちゃんは逢う度に
「りんちゃん今日も可愛いね」
とか
「スキ!」
とか言って来る・・・どこまで本気なんだか(汗)
私も好きだけど・・・相手は小学生だし犯罪者にはなりたくない(汗)
だから私の気持ちは抑えて佐江ちゃんが中学生になるまで我慢・・・
あっ!でもそしたら私は高校生になっちゃうんだ・・・
これってやっぱりいけない事なのかな(汗)
泣き疲れて寝てしまった優子ちゃんと麻里ちゃんに抱かれて
気持ちよく眠る珠里奈を座布団を並べて寝かせた
二人並べると年下なのに珠理奈の方が大きい
「叔父さん結婚してたんだね・・・」
「奥さんは優子ちゃんが1歳になる前に病気で亡くなったらしいよ」
「お父さんんもお母さんも居ないなんて敦子達と一緒だね」
「でも、陽菜には麻里ちゃんとあっちゃんがいたから・・・」
「そっか、この子はホントに一人ぼっちなんだ・・・・・」
暗い雰囲気になっていると隣の部屋から言い争う声が聞こえてきた
「うちは二人の受験生を抱えてるから無理だわ」
「俺のとこだって子供3人もいるし面倒見きれねえよ」
「俺のとこは子供居ないけど共働きだし今更小さいこの来られても困る」
「保険金が下りてくるしこの家も売っちゃえば結構な金になるぜ
」
「三家族でとりあえず一か月ずつ見てさ、金も分けてあの子には少しだけ残して
後は施設に入れちゃえば良いんじゃないか
」
「一週間で十分だわ!あの子・・『バン!!』
」
障子を思いっきりあけて
「いい大人が揃いもそろって最低
陽菜が面倒見るから一切手を出さないで
」
今迄出した事がないくらいの低くて大きな声と障子を開けた音で
ビックリして起きてしまい泣き出した二人
珠理奈は麻里ちゃんが優子ちゃんを私が抱き上げて背中をトントンしてあげる
「ごめんねびっくりしたよね」さっきとは全然違う優しい声であやす
「ねえ優子ちゃん陽菜の家に来る?」そう言うと陽菜の顔を見て首をかしげる
「陽菜と一緒に暮らそう
」
「ずっといっちょ?」 「そうだよずっと一緒!」
「いっちょにねんねちゅる?」 「するよ
」
「ごはんもいっちょ?どこにもいかない?」
「んー仕事は行くかなー
」
「パパもお仕事行ってたよ優子ね先生とかちこくまってた
」
「そっか、偉いね
」頭を撫でてあげると、えへへって笑う顔に笑窪があった
初めて笑った顔見たかも・・・目もクリクリで凄くかわいかった
家の中に入ると
「優子ちゃんどこに言ってたの
もうすぐ始まるからいらっしゃい」
おばさんが腕をつかむと「やっ
」 陽菜にしがみついてきた
「私がが連れて行きますから」そう言うと
「早くしてね
」と言って部屋に入って行った
二間続きの部屋には親せきしかいないようで
麻里ちゃんもあっちゃんも座っていて「陽菜こっち」
手招きされたけど、この子のお父さん何処なんだろ?
「優子ちゃん・・・・だっけ?お父さん何処?」
「あちょこ・・・」指さす方を見ると・・・祭壇?まさかね
するとさっきのおばさんが「こっちに来なさい!」
一番前の席から呼んでる
「前にいこっか」
「やだ
」どうしよう・・・
「私と一緒に座らせてもいいですか?」
「仕方ないわね
」そう吐き捨てて席に戻って行った
私と珠理奈の間に座らせる
式の間中、下を向いていた優子ちゃん、小っちゃい手をギュッと握りしめて
何かに耐えているようだった
出棺の時間になってお別れのに花を入れていく
「行こっか!」陽菜の服を掴んでついて来る
小さいから抱き上げてあげると
「パパ!パパ!起きてよ
お姉たんパパ起こちて
」
そう言いながら大声で泣き出した
やっぱりおじさんの子供だったんだ
そのまま陽菜の方に向けて
抱き締めると首筋に顔を埋めてわんわん泣いていた
その後も陽菜から離れない・・・
斎場で最後のお別れの時
「お姉タンパパもう起きないの?いなくなっちゃうの?行っちゃやだ
」
棺から離れようとしない優子ちゃんをおじさんが無理やり引きはがして
手足をバタつかせながら抵抗している姿を見て何もしてあげれない
自分の無力さが情けなくなった
パパーパパーて泣き叫ぶから「外に連れて行って!」
外に連れ出されたから陽菜も外に出た・・・ひどい、最後なのに・・・
下におろされると座り込み膝を抱えて泣く優子ちゃんを後ろから抱きしめる
「ごめんね、起こしてあげれなくて
」
ゆっくり振り向いて陽菜の顔を見ると細くて短い腕を精一杯伸ばして
抱きついてくる・・・
そんな優子ちゃんを抱きかかえて帰りのバスに乗り込んだ