可愛い恋人 U   44

優子

念入りなリハーサルも終わり明日のコンサート&総選挙
そして明後日の卒業コンサートを待つのみ

外は大雨・・・はあ・・・また雨なのかな

一人でいると気がめいりそうになる

ニャンニャンの所に行きたいけど
あんまりネガティブな部分を見せたくない・・・

そう思ってたのにニャンニャンからラインが来て

(今日オムライス作るから遅くなっても食べに来てね(бвб) )

なんでわかっちゃうんだろう・・・

明日の用意をしてタクシーに飛び乗った

ピンポーン・・・カチャッ・・・

「いらっしゃい、早かったね(бвб) 」

「うん・・・チビ優は?」

「最近テンション高くて疲れて早くねちゃうの(笑)」

「そっか・・・・」

「お腹すいてない?すぐ作ろっか?」

私をソファーに促してキッチンに行こうとするニャンニャン

「あんまりすいてないかも・・・ 」

「ちゃんと食べなきゃ体力持たないよ(бвб) 」

「うん、そうだね 」

すぐばれちゃう・・・私ってわかりやすいのかな(汗)

「サラダとスープなら食べれるでしょ?」

「うん、ありがとう 」

一人だと何も食べる気にならなかったけど
ニャンニャンのおかげで体と心が少し蘇った気がする

「ご馳走様でした(-∀-`) 」

片付けようとしたら

「いいよ、お風呂まだでしょ?」

「うん」

「入っておいで、パジャマ出しとくから」

「ありがとう・・・」

チョットしたやさしさに涙が出そうになる
やばい、私だいぶ参ってたみたい

バレない様に急いでバスルームに向かった

気持ちを引き締め笑顔を作りリビングへ

「ハァーさっぱりした(-∀-`) 」

ソファーに座っていたニャンニャン

「優子、おいで!」

やさしく微笑みながら両手を広げる

・・・そんなことされたら我慢できないじゃんか・・・

せっかく我慢してたのに涙がどんどん溢れてくる

ぐちゃぐちゃの顔になりながら膝に座り胸に顔を埋めると

「陽菜には強がらなくてもいいよ、弱い優子をいっぱい見せて」

「ううぅぅ・・・・ニャンニャン・・・寂しいよ 」

自分が決めた事だけど
前だけ向いて歩こうと決めたけど
たった一人の楽屋は寂しくて・・・
ここ数日のリハーサルの楽屋が楽しすぎて
心が悲鳴をあげそうになっていた

「陽菜と優ちゃんがずっとそばに居るよ(бвб) 」

ずっと欲しかった言葉

「AKBにだって遊びに行けばみんなに逢えるし
ファンのみんなだって応援してくれてるし
優子は決して一人じゃないよ 」

背中をさすりながら諭してくれる

「ニャンニャン・・・」

にゃんにゃんの顔を見上げると

微笑みながらやさしいキスをくれた




記憶の中に   30

「野呂は覚えてるよな」

「今もショムニ課にいるしこの前会った」

「そうか・・・パパと野呂とリクは学生のころからの親友でな
結婚してからも家族ぐるみで付き合っていて
パパのおやじ、優子のおじいちゃんが残してくれた
小さな会社を手伝ってくれて
あいつらがいてくれたから今の大きな会社に
することができたんだ」

「だったらなんで野呂さんをあんな地下に追いやってるんだよ(怒)」

「慌てるな!話は最後まで聞きなさい」

はやる気持ちを落ち着かせもう一度パパの
言葉に耳を傾ける

「野呂は経理にたけていて、リクは商品開発や企画
パパは営業、三者三様で凄くうまくいって
会社はどんどん大きくなり忙しい毎日だったが
毎週必ず三家族が集まって食事をしたり旅行に行ったり
子供たちも仲が良くて
しっかり者で年上の野呂の子供
ふわふわしてお人形さんみたいなリクの子供
優子は一番小さいくせに
一番活発で二人を振り回してたっけ・・・」

「そうね、麻里子ちゃんや陽菜ちゃんも優子の事が
大好きで何をしても怒らないから
優子はわがままばかり言ってたものね」

「ちょっと待って・・・今、麻里子と陽菜っていった?」

「そうよ、野呂さんの子供は麻里子ちゃん
リクさんの子供は陽菜ちゃん
優子、まだ思い出せない?」

「ちょっと待って・・・私・・・
小さい時はずっと一人で・・・
パパもママも忙しくて全然お家にいなくて・・・
寂しい時いつも野呂さんが会いに来てくれて・・・
でも、子どもなんて連れてきてなかった!
絶対に野呂さんだけだった!」

「そうだな、あの頃は野呂が一人で
会いに来てくれてたと思う」

「なんで5歳から三人の写真がないの?
リクさんは今どこにいるの?」

「リクは・・・もう、この世にはいない」

そういえば陽菜が両親は事故で死んだって言ってたっけ

「夫婦で交通事故にあったの?」

「そう!でもその車には三人乗っていたんだよ」

「はる・・・な?」

「陽菜ちゃんは祖父母の家にいたのよ」

「じゃー誰が乗ってたの?
その人も死んじゃったの?」

「事故にあった日はな・・・」

パパがまたゆっくり話し始めた

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