「おはようゆっぴー(*`ω´)
朝から篠田を、それもマンションに呼び出すなんて
珍しいじゃ(笑)何?朝からやっちゃう(笑)」

「冗談はいいからそこに座って」

ソファーに座らせ紅茶を入れテーブルに置く

「どうしたの?いつになく真剣な顔してるけど」

「麻里ちゃんはなんで篠田なの?」

「ん?どういう事?」

「本当は野呂でしょ」

「・・・・・そっかー・・ばれちゃったのかー
実は・・・結婚してるの(*`ω´)」

「だから、冗談はもういいって(怒)」

「アハハそんなに怒んないでって(笑)
篠田はね母方の姓」

「なんで、野呂さん離婚してないでしょ?」

「そうだね、篠田の本名は野呂麻里子」

「何故篠田を名乗ってるの?」

「会社に入るとき野呂だと色々面倒だしさ、
ほら重役クラスって野呂と言えば!みたいなとこあるじゃん」

「同性かもしれないじゃん」

「結構珍しい名前だしバレたら親の七光りとか言われるし
特にゆっぴーには、ばれたくなかったからさ」

「顔見たら思い出すかもしれないじゃん」

「昨日まで思い出さなかったでしょ」

「そうだけど・・・」

「お父さんは裏方に回ってダメ課長を演じながら
社長を、あっ、今は会長だね
会長をずっと支えてきたんだよそんな姿を見てきたから
篠田も次期社長であるゆっぴーを支えたいと思ってね(*`ω´)」

「麻里ちゃんは全部覚えてたんだよね」

「そうだよ、ニャロもゆっぴーも忘れてるのに
篠田だけが覚えてて・・・
あんなに楽しくて幸せだった日々を
覚えてる方が苦しいってどういう気持ちだったかわかる?」

「それは・・・ごめん・・・
でも、私が陽菜の事好きだったの知ってたのに
なんで私を受け入れて体の関係になったの?」

「ゆっぴーが佐江と付き合いだしたのを聞いて・・・
どこかでゆっぴーが昔を思い出して・・・
ううん、昔の事が少しでも残っているなら
戻ってきてくれると思ってたけど・・・
真剣に愛してたじゃん・・・陽菜の事そんなもんだったのかなって
振られたと聞いて
陽菜じゃなくていいのなら篠田が貰ってもいいかなって
だって篠田だって優子の事が・・・・」

麻里ちゃんが私の事を・・・・

「優子は陽菜しか見てなくて陽菜も優子しか見てなくて
だから篠田はいつもそばで見守っていた
この二人なら!て思ってた
なのに陽菜じゃない人を愛して
弱ってる優子に手を差し出したら掴んできたのは優子でしょ」

「あの時は・・・一人が耐えられなくて・・・
でも麻里ちゃんだからだよ、他の人とはそんな関係には
ならなかったと思う」

「でも、あれだけ一緒にいてそんな関係にもなって
それでも愛してくれなかったのに
陽菜と出会って一瞬で恋に落ちたと知った時は
どんなに辛かったか優子にわかる?
覚えてないはずなのにやっぱり心が求めてるんだなって・・・
篠田は優子にとってそれだけの存在でしかなかったんだなって・・・
あの頃はずっと三人でいたのにさ」

どんなことがあってもポーカーフェイスの麻里ちゃんが
涙を流し顔をくしゃくしゃにして叫んでる姿を見るのは初めてで
どうしていいかわからなくなる

「これだけはわかって、本当に麻里ちゃんだったからだよ
あれが才加やほかの親友の子でも絶対にすがってなかった
だから麻里ちゃんの事も心の奥に残ってたんだと思うんだ」

「・・・・・」

手を握り締め肩を震わせながら俯く姿に
私の目からも涙があふれて止まらなかった