陽菜

(なーなー、俺さ昨日体育の時間腹痛くてさ
トイレ行ってて遅れただろ)

(ああ、先生に怒られてたよな)

(トイレから出て手を洗ってたらさ水着姿で廊下走ってる
大島見たんだよ)

(女子プールだったもんな、なんで走ってたんだ?)

(知らねえけど体小さいのに胸でかくてびっくりした)

(まじか!)

(腰とかもくびれててお尻も小さくていい体してたぜ)

(いいもん見たな、教室ではいつもちょこまか動いてて
小動物みたいで可愛いよな、頭よしよししたくなる)

(そうそう、笑った時の笑窪も可愛いよな)

ガン!!

(うわっ!?あぶねえな(汗))

「うるさくて寝れねえ(怒)」

机を蹴り飛ばしうわさ好きの同級生をひと睨みすると

「小嶋ってさ大島と幼馴染だろ、紹介してくれよ」

「・・・・・」

無視してまた机に伏せる


産まれた時から一緒だった
小さいころは陽菜の方が小さくて色白でひょろひょろで・・・
女の子によく間違えられたりいじめられたりして泣いてたら
スーパーマンのようにどこからともなく表れて
いじめっ子をやっつけてくれてた優子

いつの間にか陽菜の方が大きくなって
声変わりもして・・・・

好きの意味が分かってきたとき好きと返せなくなり
いつの間にか名前でも呼べなくなっていた

それでもずーと好きと言い続けてくる優子
それに約束通り守り続けてくれてる優子

「陽菜帰ろう(-∀-`) 」

「んっ」

帰り道ほとんどしゃべらない俺の代わりにずーと話し続けている

「今日みーちゃんがさひどいこと言うんだよ」

カバンを胸に抱え俺の目の前に立ち下から見上げてくる

「ん?」

「陽菜が・・・名前呼んでくれなくなったのは
好きな子が出来たからでその子に悪いから
呼ばないんだって言うの・・・」

「・・・・・」

「でも、でもさ、朝も帰りも一緒だしお昼だって一緒に食べてるけど
女の子と一緒にいるとこ見たことないのに・・・
あっ・・・告白されてるところは見たことあるけど・・・」

「・・・・」

「全員断ったんだよね?」

グッと体を寄せてきて一段と上目づかいで見上げてくる

「ねえ、違うよね!好きな人なんていないよね(汗)」

「・・・・・いる(бвб)」

「えっ!?うそ・・・・」

「俺、嘘はつかない(бвб)」

だって優子が好きなんだから嘘じゃねえし・・・


途端に目をうるうるさせて振り返ると同時に走り出した優子

「ちょっ、待てよ(汗)」

足の速い優子と足の速くない俺・・・

くそー小さいくせに足はえーな(汗)

どんどん離されていく

ドン!!

「イテッ!」

すれ違いざまにぶつかって謝ろうとしたら

「チッどこ見てんだよ、あぁー肩外れちゃったよ
病院行くから金出せよ」

どこかのガラの悪い高校生に絡まれたけど
優子の方が心配で前を向こうとすると

「どこ見てんだよ、けが人はこっち!
ほら早く出せ、男女(笑)」

相手は二人・・・

仕方ないここはおとなしく出して早く優子を追いかけなきゃ

仕方なく財布を取り出した