陽菜


やっと優ちゃんが見に来てくれた

これを逃すともう逢えないかもしれないから考えるよりも先に
体が動いていた


大胆な行動だったけど意外に騒がれずにすみ一安心

それに帰ったら優ちゃんがいる
そう思うだけで顔の緩みが止まらない


「どうしたの、今日は機嫌がいいじゃん」

「ちょっといいことがあって(бвб)」

「パリコレに出るって言う噂あるんだけどホントなの?」


「さぁ?陽菜はまだ聞いてないからわかんない」

「いつも今くらい笑ってればもっと友達できるのに」

「上辺だけの友達なんていらないから」


モデル界で友達は数人しか居ない
今話してるのはその数少ない友達の一人

それでも不自由に思ったことなんてない

仕事を必死にしてきて遊ぶ暇なんてなかったから




マネージャーが待つ駐車場へ行き車に乗り込む

一分一秒でも早く帰って優ちゃんを抱きしめたい

なのにこんな時に限って道路は渋滞

それに・・・・


「道違うよ」

「事務所に用事があるから先に寄ってから送るね」

「え〜じゃー電車で帰るからおろして」

「社長がこじはるに話があるみたいなの」

「マネージャーが聞いておいてよ」

「直接話したいらしいのよ」

「むぅ・・・・どれくらい掛かりそう」

「話はすぐ済むと思うわよ」

「終わったらすぐ送ってね」

「はいはい」


渋滞のせいで事務所まで1時間かかり
話は5分

それも、パリコレ決まったから食生活や
周りの環境にも気をつけるように!だって


そんなのメールか電話でも良かったのに(怒)


事務所から陽菜のマンションまでまた1時間


やっと部屋の前まで来てインターホンを鳴らす
だってドアを開けてもらってお帰りって言ってもらいたいじゃん


「・・・・・・・・・」


おかしいな、トイレにでも入ってるのかな

もう一度鳴らすけど返事がないから仕方なく自分の鍵で開ける


「ただいま・・・・優ちゃん?」


中は真っ暗で
してくるはずのご飯のいい匂いがしなくて
何より玄関には陽菜の靴しかない


買い忘れたものを買いに行ったとか?

リビングへいき電気を付けると机の上には・・・・・

朝の残骸と、散らかったままの部屋

スマホを取り出しみーちゃんにLINEを送る

既読は付いてるのに返事がなかなか来ないから
スタンプ攻撃をしていると

(優子からの伝言)

やっときた

(北海道で彼氏ができたから陽菜の気持ちには答えられません
もう連絡してこないで、さようなら)

(と言うことだから私にも連絡してこないでねバイバイ)

なにこれ・・・


それが送られてきてすぐ電話をしたけど繋がることがなく
LINEも既読がつかなくなった


これって・・・・ブロックされたってこと?

あの時彼氏が出来たなんて一言も言ってなかったし
彼氏が出来たのなら女友達だけで東京へは来ないよね


そう言えばあれだけのために事務所へ戻ったのもおかしい

またなの?

まだ帰って間もないマネージャーに電話をかける


「もしもしどうかした?」

「今度は何を言ったの」

「え?なんのこと」

「しらばっくれないで!」

「・・・・・・こじはるはパリコレに向けてのことだけ考えてればいいのよ」

「これ以上陽菜の邪魔をするなら
モデル辞める」

「何を言ってるかわかってるの」

「わかってる、でも優ちゃんがそばに居ないのに
有名なモデルになったって意味ないし
もう頑張れない!」


「落ち着いて・・・今そっちへ戻るから部屋で待ってて」

「今日中に見つからなかったら本当に辞めるから」


それだけ言って電話を切った