「優ちゃん」


デッキへ出ると聞こえてきた声

私と同じ名前じゃん
と思いながらフェンスへ向かって歩いていると
腕を捕まれ振り返る


「にゃんにゃん・・・・・・」

「優子どうしたの・・・・・え、こじはる?」

「ち、違うよそっくりさんじゃないかな(;´-∀-)」

「はじめまして小嶋陽菜です(бвб)」

「ちょっとにゃんにゃん(;´-∀-)」

「うそ、ヤバイ本物じゃん」

「優ちゃんを借りていくね
それと今日は帰らないから二人で帰ってくれるかな」

「え?どういう事ですかえ!?」

「アハッ、冗談だよ(;´-∀-)
小嶋さんも冗談はやめて下さいよ腕を離してください」

「陽菜と優ちゃんは付き合ってるの
だから北海道にはもう戻らないから」

「にゃんにゃん(;´-∀-)」

「え、え、優子とこじはるが?うそ・・・・・」

「これでご飯食べてお土産でも買って帰ってじゃーね」


一番高価なお札を友達に差し出すにゃんにゃん

お金は後から私が返すとして


「時間までには戻るから(汗)ターミナルで待ってて
それとこの事は誰にも言わないで
絶対に言ったら駄目だからね」


念を押してその場から離れ話ができる場所を探す


「もう少し変装してきてよ」

「帽子とサングラスしてるし」

「そうだけど・・・・・」


オーラが違うしファッションも違うんだからすぐばれちゃうよ(汗)

でも・・・


「どうして空港だってわかったの」

「北海道だから飛行機で帰ると思ってたし
前におじさんがすごく田舎だって言ってたから
羽田から出発すると思って朝イチからずっと待ってた」


朝一から・・・


「成田からだったらどうしてたの」

「向こうにはマネージャーを行かせてる」


用意周到と言うか無茶苦茶だと言うか・・・・そうだ


「私北海道で彼氏が出来たの
だからにゃんにゃんとは付き合えない」

「陽菜は別れたつもりはないからそれって浮気
でも許してあげる、まあ本当にいたらの話だけど」

「い、いるもん(怒)」

「メールや電話だったら騙せるかもしれないけど
顔を見ながらは無理だよ、分かってるでしょ」

「うぅぅ・・・・・でも・・・
私はにゃんにゃんの足枷になりたくない」

「どうして足枷になるの?
優ちゃんがいた方がもっと頑張れるのに」

「私高校生だよ、バイトしたっておこずかい程度で
生活の足しになんてなんないし
結局は養ってもらわないといけないでしょ」

「それでいいじゃん、陽菜が働くから
優ちゃんは美味しいご飯を作って待っててくれるだけでいい
家の事をしてくれるだけでいい
で、働くようになったらそのお金をためて老後の貯えにしよう」

「老後って・・・・にゃんにゃんはそれでいいの?
子供とか欲しくないの?」

「優ちゃんがいればそれでいいし
子供が欲しいなら養子を迎えるとか方法は色々あるよ」

「どうして私なの(涙)」

「どうしてって・・・・・声をかけて来たのは優ちゃんでしょ」

「そうだけど・・・・」

「それに陽菜の心の中に入って来たのは優ちゃんだけなの
優ちゃんは違ったの?見た目だけで声をかけてきたから
歳いった陽菜はいらないの?」

「そんな事あるはずないでしょ
離れてたって毎日にゃんにゃんの事が頭から離れないし・・・
忘れようって努力しても目を閉じるとにゃんにゃんの顔が浮かんできて・・
雑誌やテレビで見る度に泣きそうになったり・・・
でも、でも私のせいでにゃんにゃんがモデルを辞めるのはもっとヤダ
パリコレはにゃんにゃんの夢だったでしょ
前にすごくいい顔して語ってくれたじゃん
それを潰したら私が私を許せないもん(涙)」

「もういいから」


そう言って優しく抱きしめてくれるにゃんにゃん


「陽菜欲張りなの
だから優ちゃんも夢も両方手に入れる」


「そんな事出来ないよ(泣)」

「出来る!今までだってバレないでやって来たでしょ」

「そうだけど・・・・有名になったら狙われることが増えるって・・・」

「マネージャーと陽菜のどっちを信じるの」

「うぅ・・・・・」

「今までのように遊びに行ったり
買い物したりとか出来ないけど・・・・
家にいる時は今までの陽菜だし
優ちゃんがいないと陽菜死んじゃうかもよ」

「極端すぎ」

「そんな事無い、家では流動食しか食べてないし
外でだって何食べても美味しくなくて
殆ど食べないからどんどん体重落ちてるし」

「え、痩せたのってトレーニングとかしてるからじゃないの?」

「そんなのしなくても痩せるもん」

「ダメだよ倒れちゃうよ(汗)」

「栄養はサプリメントで取ってるから大丈夫だと思う」

「ちゃん食べなきゃダメだよ(汗)」

「優ちゃんが作ってよ、優ちゃんの作る物しか食べたくない!」

「そんな事言ったって・・・・転校しちゃったし・・」

「またすればいいじゃん」

「そんな都合よく出来ないよ」

「じゃー陽菜が北海道へ行く」

「えぇぇぇ・・・どうしてそうなるかな(汗)」

「そうだよ、それが一番いい方法じゃん
北海道を拠点にして仕事のある時だけ東京に出てくる
そうしたら絶対にバレないよ」

「絶対にバレルよ
網走ににゃんにゃんがいたらおかしいでしょ」

「・・・・網走に住んでるんだ」

「あっ(汗)」

「網走なんて行った事無いから楽しみ(бвб) 
やっぱりさおじさんと一緒に住むのはまずいから
部屋借りなくちゃね、あ、マンションてある?
無かったら一軒家でもいっか」


勝手に話を進めていくにゃんにゃん


「だったらいったん私は帰るね、部屋も探さなきゃだし
手続きとかも色々とありそうだから」


帰っちゃえば網走ってわかってても広いんだから探せるわけないよね
なんとか帰してもらうように必死になってるのに


「優ちゃんが帰るなら陽菜も着いて行く」

「仕事があるでしょ(汗)」

「キャンセルさせる(бвб)」


「・・・・・ほらそれがもうダメじゃん」

「え?」

「私のせいでにゃんにゃんが仕事を放棄する
それが許せないって言ってるの!」

「・・・・・じゃー春休みの間ここにいてよ」

「それは・・・・・」


だめだ、どう言っても鼬ごっこになっちゃう


でも、こんなにもにゃんにゃんが私の事を想ってくれてたなんて
嬉しくて泣きそう


「わかった」

「(бвб) 」

「今日仕事は?」

「休み」


仕事をドタキャンしてなくてよかった


「明日は?」

「一応・・・・ある・・・」

「何時から?」

「夕方から」

「そっか・・・飛行機空席あるかな」

「え!?」

「とりあえずお父さんに報告しなきゃだし
一度帰りたいからにゃんにゃんも一緒に行こう」

「いいの?」

「で、明日朝イチの飛行機で東京に戻ってこよう」

「優ちゃんも?」

「うん、宿題とか持って来てないから取りに行かなきゃ(笑)」

「じゃー飛行機空いてるか聞いてくる」

「待って(汗)今はスマホで見れるから
それに明日の便も確認しなきゃ」

「優ちゃん好き〜(бвб) 」


そう言って抱き付いてくるにゃんにゃん


結局年下の私が折れるんだ