「え、出れないんですか?」

「ごめんね、相手役の斎藤君が
自分の連れてきた子を使いたいって言い出してさ」


相手は子役からの成り上がり若手俳優で
誰も何も言えないようだ


「小嶋さん・・・・・」

「仕方ないよ・・・・また頑張るから」


無理して笑ってるのがよく分かる
多分、今まで何度もこうして我慢してきたんだ

そんなの、そんなの・・・・


私は許さない!


「ありえない!」

「優ちゃん?」

「これは陽菜のCMだ!」

「はあ?お前誰?何偉そうに言っちゃってくれてんの?
誰かこのガキ追い出してくれない(笑)」

「出ていくのはそっちだ!」

「どうして俺が出ていかなきゃいけないの?
てかお前誰?」

「誰でもいいでしょ、ところであなた契約書ちゃんと読んだの?
ほらここ、読んでみて」

「正当な理由なき解雇は契約違反により多額の賠償金が発生す・・・
り、理由はこのCMにこいつはあってないからだ(汗)」

「企画書には清潔感がある中に色気が見える下着と書いてある
その子の方がどう見てもこれに当てはまらないと思うけど」


「酷い!こんなのやってらんない私帰る(怒)」

「ま、待てよ(汗)」


連れて来た女の子は
そう吐き捨て帰っていってしまいそれを追いかけていってしまった斉藤さん


「モデルがいなくなってしまったじゃないかどうするんだ(汗)」

「今から代替えのモデルを(汗)」

「だめだ、今からなんて間に合わない」

「しかし斉藤くん並みのモデルは今ここには(汗)」


「私がやります」


「え?」

「男、いないほうが下着にスポットが浴びていいと思います」

「優ちゃん?」

「しかし企画書が・・・」

「企画書はそのままで大丈夫です」

「しかし、あれは男と女の絡みがメインでだな」

「大丈夫ですから一度カメラテストをしてください」

「うむ・・・・・・・リハーサルとして試してもいいだろう
とりあえず代替えモデルは探すだけ探しておいてくれ」

「わかりました」

「優ちゃんの下着はどうするの」

「小嶋さんの着替えが何着かあるでしょ
それ見せてくださいなんとか合わせます」


こんなことするつもりじゃなかった
でも陽菜のあの顔を見たら言わずにはいられなかった

陽菜が喜んでくれるなら・・・
陽菜が笑ってくれるなら
私は何にだってなれるんだ


(モデルさん入ります)


「ゆう・・・・ちゃんなの?」


(さっきの子か?)

(違う子連れてきたんじゃないの?)

(全然ちがうじゃん)

(これはこれでありなんじゃない?)


「それじゃーカメラテストを行います」


ふかふかのベッドに真っ白なシーツ
その真ん中に寝転ぶ二人


「にゃんにゃんに言ってないことがあるんだ」

「ん?」

「綺麗になったね・・・・陽菜」

「つっ・・・・・いきなりそんな顔して言わないでよね(汗)」

「この髪も・・・この瞳も・・・この唇も・・・・全部綺麗」

「ゆう・・・・こ・・・」

「ただいま陽菜」

「おかえり、優ちゃん(бвб)」



もちろんみんなには聞こえない小さな声でのやり取り


「カッッット!!」


(やばい、俺今持っていかれてた)
(私も息するの忘れてた)
(ずっと見ていたい)


「オッケーこれ使わせてもらうよ」

「え、カメラテストじゃないんですか?」

「もう一度やれと言っても無理だろうからな」


よかった・・・・早く着替えたい(汗)


「優ちゃんこのまま写メ撮ろう」

「ムリムリムリ」


逃げ足だけは早いから
急いで控室へ行き服を着替える



このときまだ私は気づいていなかったんだ

幼い頃の約束が動き出したことに