陽菜


共演者の人達はみんな冷たい目で優ちゃんを見ている
こんな奴に何が出来るんだって言う目でね

だって麻里ちゃんは主役、その代わりがどこの誰かもわからない
制服を着た小さなダサい女の子

誰だってそう思うよね

でも優ちゃんは・・・・・


「よしもういい」


台本にしたら10ページもいってないと思う


「ふぅ〜・・・・皆さんご迷惑をおかけしました
凄くいい経験になり・・・」

「今からタテを教えるから朝までに覚えろ」

「え、あのうどういう意味ですか?」

「うだうだ言ってる暇はないさっさと着替えて練習に入れ」

「着替えてって言われても何も持ってませんし」

「陽菜の着替えがあるから貸してあげる」

「にゃんにゃんのは大きいよ(汗)」

「下はショートパンツだし大丈夫」

「他のみんなは朝8時に集合して
もう一度通しのリハをするからそのつもりで」

「監督、俺残ります相手がいた方がいいだろうし」

「俺も」「私も」


みんなこの舞台にかける思いは一緒


「陽菜も!」

「小嶋さんはタテ無いでしょ」

「陽菜は優ちゃんの癒しだから、ねぇ優ちゃん」

「いや・・・どうだろう(;´-∀-)」

「むぅ・・・叩かれたいの(怒)」

「居て下さい(;´-∀-)」

「ほら(бвб) 」


「まず基礎を教えるから出来る様になったらみんなを呼びますね」


タテの先生がそう言うとみんな楽屋へ戻って行った


「小嶋さんも・・・」

「だから、陽菜は癒しなの!」



それからスポンジのように吸収していく優ちゃんに驚きを隠せない先生


「何かされてるんですか?」

「いえ・・・・・・えーと子供の頃に少しだけ」


元々麻里ちゃんより運動神経よかったし
誰よりも早く子役を始めたのも優ちゃんだった

なのにあの日突然いなくなって・・・

今まで何をしてたんだろう



みんな何時までしてたんだろうか
気が付いたら陽菜は寝ていて体にはブランケットがかけられ
横には優ちゃんが寝ていた


「起きた?大島さんさっき寝た所だからもう少し寝かせてあげて」

「うん・・・陽菜いつ楽屋に戻って来たんだろう?」

「男性が運んでくれるって言うのに私が運びますって言って
体の小さな大島さんが陽菜を抱かえてここまで運んでくれたのよ」

「全然気づかなかった・・・」

「爆睡してたものね(笑)」

「だって眠かったんだもん」

「椅子に座ったまま凄い体勢でね寝たわよ(笑)」

「優ちゃんどうだった?」

「一通りこなしてたけどどうかしら
精密的には劣るかも」


仕方ないよね一夜漬けだもん


「シャワー浴びてくる?」

「うん」

「私は朝ご飯買ってくるわね」

「鍵どうしよう」

「大島さんがいるんだからかけなくていいんじゃない?」

「襲われたらどうするの(怒)」

「みんな疲れててそんな事出来ないわよ(笑)」

「そっか・・・そうだよね・・・あ、優ちゃん着替えないから
下着も買ってきてあげて」

「わかったわ」


シャワーを浴びて戻って来てもまだ熟睡中

「あ、こんな所に痣が出来てる」

ブランケットからはみ出した足に無数の痣


「頑張ったんだね」


頭を撫でてあげると微笑んだ気がした