花に言われて部屋に戻りずっと考えていた
なんで陽菜が優しくしたら優子の心がボロボロになるの?
陽菜はひいきなんてしない、みんなと平等に付き合ってるつもりなのに
来るもの拒まず去るもの追わず?
陽菜は昔っからずっとこのスタンスでやって来た
それがいちんばん楽だったから
でも優子は違う、もし陽菜の前から去って行こうとしてるなら
全力で止める、たとえ他の誰かを犠牲にしたとしても・・・
だって優子が好きだからそばに居たいから・・・
いくら考えても答えは出なくて優子に聞くしかないと思った
後はタイミングだけ、それは新幹線の中でやって来た
平日の昼間という事で空いてる新幹線の中一番前が開いていたから
そこに座り陽菜の思っていることを全部・・・
ううん、好きだとはまだ言ってないけど
それを覗くすべての疑問をぶつけたら
観念したのかゆっくりポツンポツンと話し始めた
スナックで初めてあった時に、何故か心ひかれた事
合宿の時陽菜が名前を憶えていたのが凄く嬉しかった事
自分だけバッティングを教えて貰えて調子に乗っていた事
陽菜の言葉があったから四年間頑張ってこれて
キャプテンにまでなれて感謝してもしきれなかった事
そして今のクラブチームで一緒に出来るのが嬉しかったのに
上手く言葉に出来なくて佐江に先を越されてしまった事
佐江と付き合ってるのを知っていながらそばに居たくて・・・
二人の邪魔をしているのが心苦しかった事
二人が仲良くするのを見るのが辛くて帰るたびに後悔して泣いていた事
もうこれ以上二人の邪魔をしない様に栃木に帰ろうとしている事
「ちょっと待って・・・途中から話がおかしくなってるんだけど」
「ズズッ・・・おかしくなんてないですけどズズ・・」
泣きながら順を追って話してくれてるんだけど・・・おかしいよね?
「佐江と付き合ってるってどう言う事?」
「その言葉のままですけど・・・ズズ・・」
「誰が言ったの?」
「だって仲いいしいっつも車の後ろでイチャイチャしてるし
膝枕だってしてるし寝てるのを愛おしそうな目で見てるじゃないですか」
「イチャイチャしてないし(怒)佐江が勝手に引っ付いてきてるだけじゃん」
「でも、手をつないだり腕くんだり・・」
「陽菜からした事は一度もないんだけど」
「でも、お揃いのTシャツ着て来たり・・・」
「あれは佐江が欲しいって言うから買ってあげたら
にゃんにゃんも!て言って勝手にレジに出して・・
まさか次の日に着させられるなんて思ってもいなかったんだから」
「じゃー行ってらっしゃいのキスはどう説明するんですか!(怒)」
「起きてたの・・・?」
「ワンルームであんなに話ししてたら起きますよ・・・」
「だってチューしなきゃいかないって駄々捏ねるから
頬に軽くならいいかと思って・・・」
「ほ、ほ?」
「そう、頬」
「ほっぺたの頬?」
「それ以外どこにあるの(笑)」
「うそ・・・」
「ウソじゃないし」
「じゃー私・・・間接キスじゃ・・・」
「あ、そう言えばあの時優子、陽菜の寝込み襲ったよね」
「うえ?襲ってなんて・・・(汗)」
「唇にキスしたじゃん」
「お、起きてたんですか(汗)」
「名前呼ばれたら起きるし」
「うそ・・・・」
慌てる優子に笑っちゃいそうになったけど
ここははっきりしとかなきゃね