「・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」


帰りの新幹線の中
三人がけの椅子を向かい合わせにして座ってる

いつも明るい先輩たちなのに
誰一人話さずスマホを見たり
本を読んだりしていて

優子先輩に至ってはずーと窓の外を見ている

この重い空気に耐えられない陽菜は
トイレに行くふりをしてその場から離れた


「ふぅ・・・・どうしたら良いんだろう」


それというのもリレーで優勝できなかったから


優子先輩は最高のスタートを切り
ダントツ1位でバトンリレーをしたのに
最後の最後にバトンリレーに失敗して
結果は3位

都道府県総合順位でも2位で
最後のリレーに優勝していれば総合も1位だったみたい

それがショックだったのか優子先輩の顔から笑顔が消えちゃって
先輩たちも掛ける言葉が見つからないようで困っていた


そろそろ戻らないと変だよね

鏡で暗くならないように顔を確認してから車両に戻ると


「いいかげんにしろよ」

「うるさいな放っておいてよ」

「優子ちゃんは頑張ったんやから良いやん」

「優勝しなくちゃ意味ないんだよ」

「それだったら佐江達は意味なかったってことか(怒)」

「そういうことじゃないんだよ」

「どういう事だよ、はっきり言わないとわかんないだろ」


何故か言い合いをしてる先輩たち
声もどんどん大きくなっていってるから
急いで戻り

「あ、あのう」

「陽菜ちゃんからも言ってやってよ(怒)」

「向こうまで声が聞こえてました(汗)」

「あ、ごめん・・・」

みんなこっちを見ていたから急いで席に座る

「こうやってこのメンバーで居るのも最後なんだから
喧嘩はよそうよ」

さすがキャプテン、話をまとめてるのに

「寝る」

そう言って椅子を倒し顔にタオルを置いて寝てしまった

また険悪な雰囲気になるのかなって思っていると

「陽菜ちゃんはテスト終わったんだよね」

「はい」


宮澤先輩が明るい声で話しかけてきてくれた


「佐江達四人は受けてない分
明後日まとめて受けるんだよひどくない」

「テスト勉強されたんですか?」

「二日間一緒だったけどしてる所見た?」

そう言えば見てない・・・

「いいえ」

「才加と優子は賢いけど佐江とさや姉は大変だよ」

「なんでうちまで入れんねん
危ないのは佐江だけやろ」

「でも一学期の期末ぎりだって言ってたじゃん」

「あれは赤点ギリじゃなくて平均点ギリ!て意味で言ってたんや」

「うそ・・・じゃー佐江だけヤバいの(汗)」

「今日帰ったらすぐ勉強しろよな」

「才加〜出そうな所教えてよ(涙)」

「そんなのわかるわけないだろ」

「優子先輩なら・・・・」

「え?」

「教えて貰ったところ結構出ました(бвб) 」

「・・・・・・だって怒ってるもん」

「大丈夫です、優しいですから(бвб) 」

「それは陽菜ちゃんにだけ〜」

「そんな事ないです!優子先輩はみんなに優しいです!
今は・・・少しだけ元気がないですけど
明日になればきっといつもの優子先輩に戻ってます」

「だってさ、優子起きてるんだろ」

「・・・・・・明日」

「ん?」

「お昼休みに教えてやる」

タオルをかけたまま答える優子先輩

それを見て笑いをこらえてる三人の先輩

「どこでやるん?うちも行く」

「なんだよ、結局聞くんじゃんか」

「ええやん、佐江だけずるいわ」

「佐江達は心友だからな」


さっきまで喧嘩してたのにね(笑)

東京駅についてそれぞれの電車に乗り換える

もちろん陽菜は秋元先輩と同じ電車なんだけど


「2年生も意地悪してるわけじゃないと思うんだ」

いきなり2年生の話をされて焦る


「私達の一つ上の先輩がものすごく厳しい先輩で
1年生達、今の2年生ね
可愛そうなくらい怒られてて
大会に出れるメンバーも少なかったから可哀想だったんだ
だから自分達が3年生になった時
クラブ以外では優しくしようってみんなで決めたんだけど
それに納得がいかなくて、
自分たちが厳しくしなきゃって思ったのかも
根は優しい子達だからこれからもサポートして行ってあげて欲しい」

「はい」

「実力では1年生の方が上かもしれないけど
先輩だからさ、その辺を上手くしていって欲しいと思うんだ」

「はい」

「私達は引退するけど
家も近いし何かあったら相談に乗るから
いつでも言ってきてね」

「はい、その時はお願いします」

「LINEはグループのを見ればわかるけど
携帯番号聞いてもいいかな」

「あ、アドレスと携帯番号
私からLINEします」

スマホを取り出しすぐ送る

「きたきた、家に着いたら私のも送るから」

「はい」


優子先輩意外の先輩とアドレス交換・・・・
キャプテンだし家も近いし・・・
これからの相談も乗ってくれるって言ってたし・・・

変じゃないよね?