秋があっという間に通り過ぎ
コートが必要な季節に突入していた


「ハロウィンが終わったらあっという間に
クリスマスの飾りつけだよね」

「だね」


いつものみーちゃんと渋谷に冬用のコートを買いに来ている

「まだ続いてんの」

「なにが?」

「何がじゃないよ、
誰のせいでそんなふうになったのか忘れたの」

「誰のせいでもないよ、自分で選んだんだから」

「はぁ・・・まあ、中身が変わったわけじゃないからいいんだけどさ」

「人間中身だもんね」

「そうそう、綺麗な物には棘があるんだから
いい加減にしとかないとまた刺されるよ」

「わかってる」

分かってるけど・・・

あの日抱かれてやっぱり好きなんだと思った
一番好きで、私はこの人しか好きになれないと思った
だから求められたら拒めない


でもね、小嶋さんは違うじゃん
誰でもいいんだよ、欲求さえ満たされれば
そう思っていても離れられない私の弱さ

また刺されないと離れられないんだ




でもその棘にすぐに刺さる事になった


「ねえ、あれ小嶋さんだよね」

「え、どこ」

みーちゃんが指さす方を見ると
普段着でもカッコ可愛い小嶋さんがいてその横には

「あれって・・・淳君とか言う子じゃない?」


そう、忘れもしないあの時の笑顔

今だって私といる時には見せない笑顔で
話しながら歩いてるんだもん

「なーんだ、より戻ったんだ」

「もしかしたら今偶然会ったのかもよ(汗)」

「みーちゃんがそんな事言ってくれるなんて珍しい
明日雨降るよ(笑)」

「よし!今日はみーちゃんが奢ってあげるから
ぜーんぶ飲んで忘れよう」

「うぅ・・みーちゃん好き」

「知ってる(ΘωΘ)」


結局コートを買わずに飲みに行った




月曜日



(今日早く終われそうなんだけど)

夕方、誘いのLINEが来る
これはそういう事をしたい時の言葉

《もう、終わりにしましょう》

(どう言う事)

《言葉通りです》


「大島さんちょっといいかな」


LINEじゃなく声をかけられた
これだけだと仕事の用事って思うでしょ、でも


「今手が離せないので」

「・・・・・手があいたら言って」

「急ぎのようなら他の人に言って下さい」


二人の会話に周りがざわつく


はぁ・・・この会社も辞めないといけないのかな
みんないい人達でずっと働いていたかったのに・・・


「北原、手が空いてますけど」

「・・・じゃーお願いしようかな」

「はい」

北原さんが私の肩をポンとたたき
課長のデスクへ行った

それを見てまたみんな自分の仕事に戻る

ひと段落ついて周りを見ると
小嶋さんの姿が見えなかったから
今のうちにと思い

「お先に失礼します」

戻ってくる前に家へ帰った




(どう言う事なの、説明して)

電車の中でLINEが来た

《課長もその方がいいんじゃないですか》

(意味わかんない)

《これ以上強要するなら会社辞めます》

既読は付いたけどそれ以上LINEは来なかった


良かった、会社は失わずに済みそう
でもまた、大切な人を失うんだ・・・・