12月に入り、冬季トレーニングが始まると
陽菜の仕事は極端に減って暇になる

まず練習が始まると一斉に外周を走りに行く
陽菜は戻ってきた順番を毎日ノートに書いていくんだけど
大体30分はかかるからその間は暇でしかたがない

「にゃーんにゃん」

後ろから抱き着かれビックリ(汗)

「あっちゃん(汗)クラブはどうしたんですか?」

「今日はおやすみー(笑)
週2日になっちゃった」

そう言えば何のクラブに入ってるんだろう
聞いたことなかった(бвб)

「優子もさ、わざわざ遠くの大学に行く事ないじゃんね」

「とお・・・く?」

「え、聞いてないの」

「はい・・・・」

大学に行くのは知ってたけど
そいえばどこに行くのかは聞いてない

あっちゃんには言ってるんだ・・・当たり前か・・・

「私から言ってもいいのかな・・・
ま、いっか福島大学に行くんだって」

「福島県ですか?」

「うん、遠いでしょ、で寮に入るから
向うへ行ったらなかなか会えなくなるし寂しいよね」

寮・・・・
卒業したらもう会えないんだ・・・・
合宿とか大会とか覗きに来てくれるって勝手に思ってた

だって秋元先輩が卒業しても行くからって言ってたから
という事は秋元先輩は東京の大学なのかな


いろんなことが頭を巡っていたら


「しゃー!今日もいっちばーん(-∀-`) 」

「はぁはぁ・・くそーあと少しだったのに」

優子先輩が一番に戻ってきた

だめ、しっかりしなきゃ
名前をノートに書いていく


「あれ、あっちゃんどうしたの?」

「どうしたのじゃないだろ
引退したのに練習してるバカたちを見に来てるんだよ」

「酷いなぁー(笑)
先に帰りたかったらあっちゃんも自転車に乗ってくれば?」

「あ、そうかそういう方法もあったか(∵)」

「え、今気づいたの(;´-∀-)」

「だって優子の後ろに乗ってる方が楽なんだもん」

「そりゃそうでしょ(笑)」

二人の会話を聞きながら続々門の中に入って来る名前を書く

「ふぅ・・ふぅ・・しんどーい」

「佐江おっそー」

「優子達が速すぎなんだよ
長距離走でもいけるんじゃない」

「これぐらいじゃ無理だよ(笑)」

「いやいや、うちの長距離選手より早いですから」

「あ・・・・たまたまだよ、ねえ才加(;´-∀-)」

「あ、あぁ・・・調子よかっただけだよな(汗)」


今日で三回目だけど全部一着と二着・・・


全員が戻ってくると陽菜の仕事


首から下げた笛の出番


「まだ帰んないの〜(∵)」

「終わるまで帰んないよ(-∀-`)」

「チェッ・・・たかみなに迎えに来てもらおーと」


そう言って校舎に入っていくあっちゃん

「たかみなもこれから大変だな(笑)」


優子先輩が遠くへ行っちゃうからじゃん・・・・

そう言いたかったけどそんなこと言う権利、陽菜にないもん


練習が終わり着替えて出てくると外は真っ暗

最寄り駅で降りて二人で歩いてると


「暗くなるの早いよね」

「そうですね・・・」

「どうかした?」

「秋元先輩はどこの大学へ行かれるんですか?」

「私は日体大、佐江も一緒でもう決まったよ」

そうだったんだ、知らなかった
でも・・・・・

「・・・・・」

「えーと優子は・・・・・」

「福島大学」


「聞いたの?」

「あっちゃんにさっき・・・・」

「そっか、さや姉は関西に戻って
大阪体育大学に行くみたい」

「みなさん同じ大学に行くんだと思ってました」

「初めはそうだったんだけど
二人共短距離でスカウトが来てさ
優子はだいぶ悩んだみたいだけど
オリンピックを目指すならそこがいいって言われて
推薦の願書は終わってたから一般入試だけどそこに決めたみたい」

「オリンピック・・・・東京でありますもんね」

「ああ、二年後だね」


オリンピックかー・・・凄いなぁー
陽菜なんかに手が届くわけないじゃん・・・・
憧れは憧れで終わるんだ・・・・


「一般入試は年明けだから勉強しなきゃなのに
いつしてるんだか、まあ優子は頭がいいから心配してないけど」

「そうですね・・・」

お守り作ったら持っててくれるかな
もしかしたら勉強の為に試験終わったらクラブに来ないかも・・・

一週間後からテスト週間でクラブは休みになるから

それまでに作らなきゃ

でも勉強もしなきゃいけないし・・・

明後日土曜日で練習は午前中だから帰りに材料買いに行くとして

うぅぅ・・・・時間がなーい(汗)


分かれ道が来て

「お疲れ様でした(бвб)」

「お疲れ様、また明日ね」

「はい」


秋元先輩は大きくて怖そうなのに
面倒見が良くて一人一人の事をよく見て下さってていい人で好き

でも優子先輩が一番好き(бвб) 


トントン

「きゃぁぁぁぁ!!」

「おれだ、俺(汗)」

いきなり肩を触られて叫ぶと俺と言われて振り返る

「もう・・・脅かさないでよ」

「こっちがびっくりしたよ」

「なに?ストーカー」

「何馬鹿な事言ってるんだ
駅からずっと後ろ歩いてたんだけど
先輩?と話してるから気をきかせて声かけずにいたんだよ」

「暗いんだからいきなり触らないでよね(怒)」

「すまんすまん、
まさかそんなに驚くとは思っても見なかったから(汗)」


家に帰ると

「あら、二人が一緒だなんて珍しいわね(笑)」

「パパ最低なんだよ
いきなり体触ってきて驚かすんだから(怒)」

「肩叩いただけだろ(汗)」

「暗くなるの早いし帰り道危ないから気をつけないと
今日はパパだったからいいけど痴漢とかだったら大変だわ」

「お前が駅まで迎えに行ってやれよ」

「あなた最近残業ないんだから時間合わせて帰ってくればいいでしょ」

「パパはやだ(бвб)」

「危ないよりマシでしょ」

「むぅ・・・もうすぐテスト前でクラブ休みだから大丈夫だもん」

「足音とかに気をつけて急いで帰ってきなさいよ」

「はーい」


パパと二人とかありえないもんね