陽菜

何この雨・・・
朝晴れてたし天気予報も晴れ時々曇りて言ってたのに・・・(怒)

「天気予報の嘘つき」

「ほんとだよ傘持ってこなかったし置き傘もこの前使っちゃったのに(怒)」

隣でプンプン怒ってるみーちゃん

「でもいいや、陽菜傘持ってるから入れてよね」

「・・・この傘は使わないもん」

「いや、私達濡れちゃうから
知ってる?傘はさすためにあるんだよ」

「むぅ・・・知ってるし」

「ほら早く開いて!」

「ヤダ!」

校舎の玄関で押し問答していたら

「あら、今日の天気予報で傘持ってきてるなんて偉いわね
それとも置き傘があったのかしら?」

「柏木先生・・・」

保健医の柏木先生は社会の宮澤先生と付き合ってる・・・らしい

陽菜的にはどうでもいいから・・・

「あら・・・その傘小嶋さんの?」

「陽菜の・・・じゃないけど今は陽菜の」

「そう・・・同じような傘知ってるから、ごめんなさいね」

「それってどこで見たんですか?」

ぐいっと歩み寄ると

「ちょっ、ちょっ、どうしたの(汗)」

「この傘の持ち主探してるんです(бвб)」

「・・・貸してみて」

傘を開き中を見るかしわげちゃん

「やっぱり・・・」

「やっぱりって、この傘の持ち主さん知ってるの?
10月17日誕生日の人知ってるの?」

「知ってるも何も・・・宮澤先生の大切な人!・・・かな」

「ええっ!!?」

うそ・・・まさかかしわげちゃんはカモフラージュで
この傘の持ち主さんと結婚とか(汗)

「といっても、佐江ちゃんのいとこで私もよく知っててね
すごく可愛くていい子なの」

「その人に合わせてください!」

「それは・・・」

「この傘を直接返してお礼を言いたいんです」

「でもね・・・」

「お願いします」

人に頭を下げたことのない陽菜が
何度も何度も頭を下げお願いしていると

「ちょっと待ってて、宮澤先生に聞いてくるから」

「陽菜も行ってもいいですか?」

「ごめんなさい、ここで待っててくれるかしら」

「っ・・・わかりました・・・」

校舎の奥へ歩いて行く先生の背中をじっと眺めていた