陽菜

どうしても納得いかなくて
急いでお弁当を食べ職員室へ

「宮澤先生朝の話なんだけど
ちゃんと教えてください
このままじゃちゃんと勉強できない」

「お前普段からしてないだろ(笑)」

「むぅ・・・もっと出来なくて大学いけなかったら
佐江ちゃんのせいだからね(怒)」

大きな声で押し問答していると

「小嶋ちょっと来い」

担任の才加が横から入って来て職員室から連れ出された

付いて行くと保健室のドアをノックし開ける

中を見渡すと

「柏木先生少しここ貸してもらっていいですか?」

「誰もいないからいいですよ」

後ろからついて来ていた佐江ちゃんも入って来て
重苦しい雰囲気になる

「小嶋は優子の事どう思ってるんだ?」

「陽菜は・・・いい人だと思う
見ず知らずの陽菜に大切な傘貸してくれたし・・・」

「あいつはいいやつだよ
孤独なはずなのにいつも明るくて
ひとまえでは笑ってて、みんなを笑顔にしてくれる」

「孤独って・・・親居ないの?」

「あっ!(汗)」

「才加(怒)」

「ねえ、誰にも言わないから教えてよ」

三人は部屋の隅に行きコソコソ相談してる

ゆきりんが陽菜の前の椅子に座り姿勢を正し口を開いた

「優子ちゃんはね、もう長くないのよ」

「・・・死ぬって言う事?」

「そう、急性骨髄性白血病、一度は治癒したんだけど
すぐ再発してね完全に治すには骨髄移植が必要なんだけど
ドナーが見つからなくて・・」

「家族とか姉弟だと合いやすいんですよね?」

「よく知ってるわね、でもねご両親は
大学一年生の時に事故で亡くなって
姉弟もいないのよ」

「佐江ちゃん親戚なんでしょ?ダメだったの?」

「佐江は合わなかったんだよ、
ゆきりんも才加も検査してくれたけど・・・
そんな簡単に見つかるわけないし・・」

「それにね、治療には莫大なお金がかかるの
両親の残してくれたお金もそんなに多くなかったみたいで」

「そんなぁ・・・友達とか親戚とかにカンパしてもらえばいいじゃん!」

「親戚は冷たいもんでさ、お金出してくれないんだよ」

「それとね本人に生きたいって言う気持ちがないのよ
面倒見る親もいないし兄妹もいないから
自分が死んでも悲しむ人がいないし
この世に未練なんて何もない
だからもう辛い治療は受けたくない!
このまま痛みを和らげる治療だけで死んでいきたいってね」

「っ・・・でもまた治療したらよくなるんでしょ?」

「そうね、でもおそらく治癒、再発の繰り返しになると思うの」

「でも、ドナーが現れるかもしれないじゃん」

「現れないかもしれない・・・」

「佐江たちでは優子の生きる源にはならなかった」

「好きな人でも出来ればまた違ってくると思うんだが・・・」

「才加はフラれたもんな(笑)」

「煩いぞ佐江(怒)」

「ふーん・・・(бвб) 」

「両親が亡くなってから優子は
大学に通いながらバイトをして生活費を稼いでたんだ
親の保険金とかあるのにそれは学費だけあてて
遊ぶ暇もない位働いて・・・
やっと就職が決まった矢先に病気がわかって・・・
就職をあきらめ入退院の繰り返し
佐江でも生きてるのが嫌になるよ」

「佐江ちゃん(汗)」

「でも佐江にはりんちゃんがいるから
絶対生きる事をあきらめないけどね!」

見つめあってイチャつきそうな二人をしりめに

「陽菜が・・・陽菜が生きる希望になる!」

「ん?なんか違うような気もするけど・・・
優子可愛い子が好きだからいいかもしれないな」

「小嶋さんはそれでいいの?」

コクッと頷くと

「佐江達も応援するから頑張ってくれよ
優子には生きてて欲しいからな!」

「絶対死なせないもん(бвб) 」

絶対死なせない自信が
何処から湧いて来るのかわかんないけど
陽菜なら出来る!そんな気がした
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