優子

談話室のいつもの場所に座り窓の外を見ていると
携帯が振るえた

(今電話出来る?)

珍しい・・・なんだろ?


「どうしたの、急用?」

「優子さ、学生に傘貸してあげた?」

「あ・・・うん、佐江の高校の生徒だと思ったけど・・・
ごめんせっかくもらったやつだけど
私、もう使う事ないと思うからその子に返さなくて
いいよって言ってあげて」

「そんなこと言うなよ(怒)」

「ごめん・・・でもその子に使ってもらった方が
傘も喜ぶと思うし・・・」

「その子なんだけど、才加のクラスの子でさ
直接会って返したいってきかないんだよ(汗)」

「でも・・・やっぱり断って
あげたんだから返さなくていいよって・・・」

「わかった、明日行くからさなんか欲しいものあるか?」

「チーズケーキ・・・チーズケーキが食べたい」

「わかった買って行くから、あんまり無理するなよ」

「アハッありがとうじゃーね」


そろそろ病室に帰らなきゃだから今日は見れないや・・・

携帯をなおし病室へ戻る

「あら、冴えない顔してるわね見れなかったの?」

「うん・・・朝も見れなかったから今日は気が重いや(汗)」

「そんなに好きなら駅の入り口に立ってて
声かければいいのに」

「こんな奴に声かけられたら逃げちゃうよ(苦笑)」

「スエットにニット帽でも優子ちゃんは可愛いわよ」

「そんなこと言ってくれるのしのぶさんだけだよ(笑)」

「そんな事ないよ、患者だけじゃなく看護師にも
モテモテじゃないか」

「なんでだろうね?私のどこがいいんだろう・・・」

「優子ちゃんは病棟のアイドルだからね、ワハハハ!」

豪快に笑うしのぶさんは隣のベットの患者さん

病人なのに痩せない不思議な人(笑)
お母さんのように世話を焼いてくれる大好きな人だ

私が入院した時にはすでにいて・・・

乳がんで二度目の入院らしい・・・

いつも明るくて私の癒しなんだ♪