あれからもうすぐ2度目の誕生日を迎える優ちゃん


犬の年齢で4歳という事は人間の歳に置き換えたら
陽菜と同じくらい

少しは大きくなってるのかなー・・・・・
来年には陽菜の歳を追い越してそして十年後には・・・・


「クゥ〜ン・・・・・」

「なんでもないよ、心配しないで」

犬の優ちゃんも大好き
いつも陽菜を見ていて気持ちの変化に敏感で
辛い時や悲しいときは心配そうに寄り添ってくれる

でも
人間の優ちゃんを知っちゃったらやっぱり・・・

「もうすぐ優ちゃんの誕生日なんだよ」

「ワン?」

「何食べたい?」

「ワンワン♪」


嬉しそうに答えてくれるけど全然わかんなくて・・・・
そう言えばチーズケーキ美味しいって言ってたよね

「と言っても犬用のケーキになっちゃうけど」


「ワン!ワン!」


違うよって言ってるように感じるけど
何がいいのかはわからない


「ごめんね、わかんないや・・・・・」

「クゥ〜ン・・・・」


犬なのに表情が豊か・・・・に見えるのは陽菜だけみたいなんだけど
何故かわかっちゃう、今だってすごくつらそうで・・・


「優ちゃん・・・・そんな顔しないで」


涙を隠すために抱きしめたのに
上を見上げ陽菜の頬を流れる涙を舌で拭ってくれる


こんなに優しくて優ちゃん以上に陽菜を愛してくれる人は
現れないと思う


「ずっと一緒にいようね」

「ワン♪」


あたり前ぜ!て言ってるような気がした



優ちゃんの誕生日前日の日曜日
ゆっくり寝ていたら玄関のチャイムが鳴り起こされた

むぅ・・・・まだ9時前じゃん
昨日寝たの遅かったのに(怒)

不機嫌になりながらインターホンのカメラを見ると


「お母さん?」


こんな朝早く何も言わずに来るなんて嫌な予感しかしないんだけど・・・・

案の定、お見合い写真を持ってきて早く孫の顔を見せろ!なんていうから
ついいるって言っちゃった

だって優ちゃん以外と結婚なんて考えられないから・・・・犬だけど・・・

今年中に連れてこいというお母さんを追い出し
一息つく

「買い物行こうか」

「ワン」


明日の誕生日のお買い物
今日中に犬用のチーズケーキを作って冷やしておきたいから

散歩がてら近くのスーパーへ行きいつもの場所に軽く繋ぎ
一人で中へ
繋がなくてもおとなしく待ってるんだけど
一度大騒ぎになったからそれからはくるくる巻いて
繋いでるようにみせるようにしてる


お肉どうしようかな〜

少し奮発していいお肉を買うことにした
もちろん人間が食べるやつ

「ミンチ肉か・・・・・・」

そう言えばハンバーグ好きだったよね
中にチーズを沢山入れてあげたら喜んでたのを思い出した


「キャッ・・・・泥棒!(汗)」


声の方を向くとどう見ても女性のカバンを持ち
ドアから逃げて行く犯人らしき男性


「待て!」


その後ろからお店の人が追いかけて出ていく

それに気づいた優ちゃんが起き上がりすばやく駆け出す

もちろん巻いてるだけだからリードはすぐ外れそれを引っ張りながら
追いかけてるから陽菜も荷物をそこにおいて飛び出した