大学一年の夏合宿中の二日目の夜

監督に呼ばれ大学近くのスナックに連れて行かれた

五人行った中で一年生は私だけで・・・
後はキャプテンと副キャプテン
次期キャプテンと次期副キャプテン

あんまり・・いや全然目立たなくてレギュラーでもない私が
何故その中に入っていたのかわからなくて
先輩方の中にいるのも不思議で仕方がなかった

店に入ると


「おっそーい」


中で待っていたのは私と入れ替わりで卒業されて
実業団で活躍されている先輩でオフになったから
先生(監督)に会いに来たらしいと帰ってから
キャプテンに教えてもらった


「小嶋さんお久しぶりです」


「凄い活躍ぶりですね」



高校時代の私は自分の事だけで精一杯で
先生に言われるままに入った大学

どの大学が強いとかどんな選手がいるとか
全く知らなくて・・・

ましてや自分が大学に行ってソフトをするだなんて
思ってもいなくて

この大学に行けと言われたとき勇気を振り絞って
もうソフトはやりません!て言ったのに
何かと言いくるめられそれ以上断る事が出来ずに
なんとなく受けてなんとなく入って後悔した

だって凄く強いんだもん(汗)

小嶋さんと言われる人が2年生の時全国優勝していて
2年生でエースで5番だったんだよって

全然しゃべらない私に次期キャプテンの野呂さんが教えてくれた


「その子新人?」


私の方を指さし監督に聞いてるから


「一年生の大島優子です」


挨拶したら


「ふーん・・・」


オドオドする私を睨みつけ


「高校どこ?」

「○○高校です(汗)」

「ふーん・・・ねえ、私の事怖いの?」

「いえ・・・・(汗)」


「すいません優子大人しくて
いつもこんなんなんです」


副キャプテンがフォローしてくれた


「なんでつれて来たの」


「こいつ歌は上手いんだ、おい大島一曲歌え」


「で、でも・・・(汗)」

「監督に歌えって言われたらすぐにハイって返事して
歌わなきゃダメじゃん(怒)」

「はい、すいません(汗)」


怖いよー・・・


まだ二十歳になってないしお酒なんて飲んだことないのに
これなら飲めるでしょってママさんにコークハイを頼んで
私に飲めと言う小嶋さん・・・

ごくごくと二口飲んで十八番の歌を入れてもらった

曲が始まるとひたすら画面だけを見て熱唱し
歌い終えると下を向きながら頭を下げ
席に戻った


「へえー上手いじゃん」

「ありがとうございます(汗)」


「せっかくこんないい環境でソフトをさせてもらってるんだから
自分なんかって思ってないで精一杯努力して汗にまみれて
みんなで泣いて笑って悔いのない四年間を迎えなよ
今しかできないんだから

社会人なんて理不尽な事ばっかりで・・・・・・・・・」


そこからは頬を赤くしてあきらかに酔っているであろう
小嶋さんの愚痴が始まり気が済むまで
私達は聞き役に回り帰る事が出来なかった



これが私と小嶋さんとの初めての出会いだった









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