いつまでもいつでも

全然甘いボールじゃ無かったしなめてなんかもいなかった

陽菜渾身の球を振りぬかれ早い打球でレフト前に持って行かれた

助かったのは打球が早すぎて一人しか帰れなかったって言う事
それにレフトがなめてたのか前を守ってたからね

もし上を抜かれてたらヤバかった(汗)

悔しい・・・悔しいけど何でか口角が上がっちゃう

優子を見るとガッツポーズしながら泣いてるし・・・

一瞬目があったけどすぐそらし前を向いてキャッチャーにを指示する

よし、切り替えよう、もう誰にも打たさないんだから
例え優子にだって次は絶対に・・・

相手もエースを出して来たからうちも打てなくなる

そりゃーレギュラーでやっとだったもんね
あんた達にはまだ無理かも・・・

このままじゃ負けちゃうじゃん・・・
陽菜負けるのは好きじゃないのに・・・誰か打ってよ(怒)

陽菜が投げて負けるなんてあり得ないし(怒)

最後のバッターはピッチャーの替わりに打ってる
ＤＰの子

もう我慢できない・・・

「監督！打たせてください」

「小嶋か・・・そうだなよし頼んだぞ」

これでも大学の時は５番を打ってたんだから

今でも腰を回すために軽くバッティングをしてるから
新人の子達よりは打てる自信はある

素振りをしてバッターボックスに立つと左から凄い視線を感じる

眼だけ動かしてみると優子が凄い眼力で睨んでいた
まるでこっちに打って来いとでも言うように・・・

残念、陽菜は大きいのしか狙ってないからそっちにはいかないよ(бвб)　

三球目甘く入って来たチェンジアップをセンターへはこぶ

ボールは大きな弧を描きネットの向こうへ落ちた

ゆっくりベースを一周、サードベースを回るとき
じっと陽菜を見つめる優子・・・

何思ってるの？

どうせ私なんか？やっぱり無理？それとも・・・

一緒にプレーして見たかったなー今のままじゃ無理だけどね

もっと前に出て目立たないと

ヒットを打って泣いてるようじゃまだまだだもんね

優子

世界陸上は調子もよくて自己ベストも更新できたのに・・・

世界って凄いね(汗)

私もまだまだ頑張らないと！

やっとの事で取れた一つの銅メダル

野呂姉はよくやったよ！ て褒めてくれた(´-∀-)

これが今、私に出来る精一杯だから仕方ないんだけど・・・

後ひと踏ん張りしていればもう一つメダルが取れたのに・・・

陽菜も一生懸命応援してくれたのに・・・

自分が情けない

もっと練習しなくちゃ、オリンピックではメダル取れないよね？

多分最初で最後のオリンピックだと思うから後悔しないように
一年間頑張ろう！

陽菜にはまた我慢させちゃうけど、あと一年だけだから
許してね陽菜！


でも、その前に、日本に帰ったらもう一つの難問が待ち受けてるんだよね

大丈夫かな(汗)5日後に出発って言ってたし・・・

やっぱりやめとこうかな・・・て言ったら


「みーが前の日、陽菜に言ってあげるから任せといて！ 」

なーんて胸をたたいて言ってたけど大丈夫かな(汗)

あの陽菜だよ！？・・・心配しかない・・・・

陽菜

中国に一足先に行って来るから！と言われて

「はあ！？意味分かんねえし一緒に行くに決まってるだろ（怒） 」

「練習するし今回は優希もいないし一人になるよ！」

て言われたけど、朝から晩までするわけない！と思ってついて行ったら
ほら見ろ、観光する時間あるじゃねえか

危なかったぜ、 信じて前日とかに来てたら優子と
中国を満喫できなかったからな(бвб)　

しかし・・・万里の何チャラは歩いて登る必要があるのか？
ヘリで城まで行けばすぐなのに・・・凡人の考えることは分からねえー

まりあつは二日前に同じホテルに来て観光行って夜は一緒に食事をした

「空気悪いから目がしょぼしょぼする 」

初日のあっちゃんの言葉に次の日の朝にはコンシェルジュに
ゴーグルのようなサングラスを用意させていた

わいわいと楽しく迎えた世界陸上！

しかし・・・

世界の壁は厚く、５０００ｍで自己ベストいわゆる日本新を出すも
3位で銅メダル

10000mでも日本新を出したがメダルに一歩とどかず4位だった

でも日本人トップだったからオリンピックは間違いないと野呂ちゃんが言ってた

俺は・・・仕方ないんだろうけど優子の負ける姿はあんまり見たくなかった
本人はあんまり順位は気にしてないみたいでベストを出せて満足らしい

しかーし！これでオリンピックまで大きい大会はほとんどないから
ゆっくりできる時間が増えるんじゃないのか？

受験もあるけど優子は頭がいいから俺みたいにしなくてもいいだろうし

何より夏休みが終わるまでまだ2週間あるからなー

練習は新学期が始まってからでもいいよな！？

野呂ちゃんに掛け合ってやる

優子とどこ行こうかなー

たっぷり癒してやらねえとな♪

二・三回素振りをしてバッターボックスに入り
礼をして構えピッチャーの方を向く

フォアボールは嫌なはずだから初球絶対にストライクを取りに来るはず
それも直球で

狙うは初球！

キッとピッチャーを睨むと周りの音が聞こえなくなり
小嶋さんの投球フォームがスローに見え
何故か向かってくるボールもスローに見えた

これなら打てる！

そのボールをジャストミート

ボールはサードの横を抜けて行く

ファーストを必死に走り抜けると凄い歓声が耳に入って来た

『ナイスミート』

『優子いいぞ♪』

うそ・・・小嶋さんから私・・・

ヒットを打てて打点まであげちゃった

ベースの上に立ちベンチに向かってガッツポーズ

あれ？前が見えない・・・・私泣いてる？

嬉しい時でも涙って出るんだ・・・初めてかも

リストバンドで涙をぬぐってたら小嶋さんと目があった

と思ったらすぐ前を向きキャッチャーに何か指示してる

そうだよね私なんかにヒットを打たれるなんて
配球ミスだよね・・・・

せっかく教えて貰えてたのにもう教えて貰えないかも・・・

恩を仇で返すってこういうことを言うんだよね？

私嫌われちゃったかも・・・

っ・・・また涙が出てきちゃった

今度はうれし涙じゃないけどね(泣)

みんなにはうれし涙だと思われてるみたいで良かった

「佐江！続け〜」

「おう！任せとけ」

なーんて言ってたけど三球三振

多分小嶋さん本気出したんだろうなー
私の時はなめてくれてたのかもね

チェンジになってベンチに戻ると
先輩方に頭をべちべち叩かれた(汗)

「あれくらいで泣くなよ」

「すいません」

「いいじゃないのー、大エース様から打ったんだからねぇ優子」

「はい・・・」

監督が

「秋元ピッチャーに入れ外野には横山」

「はい！」

「こっちもエース投入ですか？」

野呂さんが言うと

「せっかくのチャンス勝ちに行かなきゃな」

その期待に応え５回６回とパーフェクトに抑える才加

やっぱすごいや、私の誇れる同期(´-∀-)

もちろんこっちもパーフェクトに抑えられ気が付けば

最終回裏の攻撃もツーアウトになっていた