才加と佐江はとにかく目立つ
背は高いし
才加は美形、佐江はボーイッシュで
一般性からもモテモテ

そんな中にちんちくりんの私が入ってると違う意味で目立つわけで・・・

陰口もけっこうたたかれているみたい

才加は二年でチームのエース佐江はセカンドのレギュラー
私は洗濯係・・・・後輩だって変に思うよね(笑)

私だってなんで仲良くなれたのか不思議だもん


唯一の短大生だった香菜は膝を悪くして
今マネージャーをしている

有華は持ち前の強肩でセンターを
先輩から奪い取った

三人もレギュラーがいる同期は私の誇りなんだ(-∀-`)


練習の後は練習試合

練習試合は全員がベンチに入れて全員出れるチャンスがあるから
頑張らなくっちゃ

一年生は交代でバット引きやファールボールを取りに行くけど
私は二年生だからベンチで応援

もちろん合間にダッシュしたりバットを振ったり
みんないつ呼ばれてもいいように準備してるんだよ

相手チームのピッチャーは小嶋さんだった

私服を着てたらソフトをやってるなんて全然わかんない
話し声も鼻に抜ける甘い声だし・・・

目のまえで先輩や同期をバッタバッタと打ち取っている
人とは到底同じ人物だと思えなかった


5回の表の攻撃その試合初のフォアボールで
ノーアウトからランナーが出た

3回に初ヒットでランナーが出たけどツーアウトからで
点には結びつかなかったからこのチャンスに何とか
一点欲しい所、次のバッターは・・・


「大島!」

「は、はひ(汗)」

いきなり監督に名前を呼ばれ飛び上がった

「タイム!代打大島」

うえ?嘘でしょ・・・え、えぇ(汗)

「優子頑張れ!」

「任せたぞ」

「優子しっかり」

みんなから声をかけられてるけど
動揺と焦りとで上手く返事が出来ない

とりあえずバットを持ちヘルメットをかぶりながら
ベンチから出ていくと

「しっかり送ってこい」

監督に声をかけられた

そっか・・・

「はい!!」

小さくて力のない私だけどバントだけには自信があった

みんながバッティングしている中、端っこに置いてあるマシンで
ひたすらバントをしていたから

高校・・・いや中学の時から得意だったから
磨きをかけるのはこれしかない!と思って
黙々としていたのを監督は見ていてくれたのかもしれない

やっててよかった・・・これも小嶋さんの言葉のおかげです
ありがとうございました

一礼してバッターボックスに入りピッチャーを見ると
一瞬小嶋さんが笑ったような気がしたけど

もう一度見ると怖い顔をして私を睨んでいた

そうだよね敵だもんね笑うはずないじゃんバカだな私・・・

顔を引き締めバントの構えをする

もちろん簡単にさせてくれるはずもなく
初球アウトコースにきわどいボールが来たから
見逃すとストライクと言われた

やばい(汗)

監督を見るともう一度送りバントのサイン

次こそは・・・

キッとピッチャーを睨み構えると
小嶋さんの手を離れたボールが
私の顔めがけて飛んできた

ダメだ逃げても間に合わないとっさにバットを前に持ってきて
ボールにあてると良いところに転がり
ランナーはセカンドに進んだ

当の私は尻もちをついてしまい悠々アウトだったんだけど
ベンチに帰ると

「ナイスバンド」

「よく当てれたな」

「あれあたってたら病院もんだぜ凄いよ」

みんなが褒めてくれて恥ずかしくなった

結局あとの二人が三振に打ち取られ点は入らなかったんだけど

でも私の初デビューは成功だった・・・よね?