陽菜
初めてのキスから半月あと少しで朝のお迎えも弁当も終わりかと思うと憂鬱だ
今は1日1日大事にしようと思って楽しみにしている弁当を受け取り
今日も自慢してやろうとふたを開けると
白ご飯の上に海苔でスキって書いてあり
ピンクのでんぷんでハートマークがあってビックリ
すぐふたを閉めた、
こんなの見せたら麻里子に何言われるかわからない
とりあえず優子の手を引き屋上へ、
ここなら誰も来ないからふたを開けて食べれるし
優子を見ると不安そうに陽菜を見つめていた
しまった、怒ってると思われてるよな
とりあえず恥ずかしい!と言うと
私の気持ちなのに、なんて可愛いことを言う
口を尖らせて拗ねているのがいじらしくて
「書かなくてもわかってるから!」
陽菜にしたらだいぶ恥ずかしいセリフ
するといきなり優子の顔が近づいてきて
頬にキスされた ビックリして固まってしまった俺
それに追い打ちをかけるように「陽菜好き」好きって・・・
理性が吹っ飛んで唇をふさぎ舌をねじ込んで優子の中を堪能する
「んん・・・んっ//」甘い吐息を漏らしながら少し抵抗するコリス
離れないように頭を押さえ片手は腰に回して離さない
だんだん抵抗しなくなってきてされるがままの優子を堪能していると
「ふぁっ・・」と言って力が抜けて行くのが分かってハッと我に返り手を離して
無意識に謝っていた
目がとろんとして色っぽい優子、力が入らないみたいで少し息も上がっている
倒れてしまいそうな体をギュッと抱き寄せ
大丈夫かと聞くと、うんと、か細い声で返事をする
早く弁当を食べないと昼休みが終わってしまうので食べるように促すと
無言で食べていた
教室に戻ると「ニャロはどこで何をしてたのかな 」なんてニヤニヤしながら
近寄ってくる麻里子
「オレ、嫌われたかも・・・」
「お前学校でやったのか 」
「うん・・・屋上で・・」
「マジか!ゆっぴー初めてだったんだろ 」
「うん、少し抵抗されたけど止まらなくて・・・」
「そうか、陽菜もとうとうゆっぴーと ・・・でっ、ゴム持ってたのか?」
「・・・なんでゴムする必要があるんだよ 」
「いやいや、妊娠すると困るじゃん 」
「舌入れたぐらいじゃ妊娠しないし 」
「えっいきなり舌だけでやったのか 」
「はぁ?麻里子バカ?
キスするのに舌以外何入れるんだよ・・・」
ポカンと口を開けたかと思ったら、ハア、てため息ついて自分の席に戻って行った
大切な優子のバージンを屋上なんかで奪うわけないじゃん
バカじゃねえの
ハア・・・そこまでいかないうちにオレ振られるのかな
帰りが怖い・・・
優子
あっちゃんに言われて気が付いた
初めて告白されて、初めて付き合って初めてのキス
女の子として見てくれてる陽菜にうれしくなる
陽菜は言葉は乱暴だけどすごく大切にしてくれてるのも分かる
私だって恋愛ドラマを見る、ハラハラドキドキしてそういう場面になると
お母さんと見ているのが恥ずかしくてトイレに言ったりお茶を入れに言ったり・・・
でも、ああいうのって大人になってからだって思ってたから
あっちゃんと篠田先輩が・・・衝撃だった
もしかして佐江も?まさかあの佐江が・・・考えるだけで顔がほてってくる
じゃー陽菜も・・・我慢してるのかなーそんなそぶり見せないし・・・
私が気が付かないだけなのかな
でも、どうしたらいいのかわからなくてあっちゃんに聞いたら
自分からキスしてみれば!て言われた
確かにいつも陽菜からしてくれるから今日は私からするぞー
なんて思ってたらさっそくチャンスが巡って来た
お昼休みいつものようにお弁当を渡すと嬉しそうにふたを開けたのにすぐふたを閉めて
「弁当持ってちょっと来い」連れて行かれたのは屋上で
どうしたんだろう、嫌いなおかずでも入ってたのかな おどおどしていると
ふたを開けて
「こんなの恥ずかしくてみんなに見せれないだろ 」
「何で?私の気持ちなのに・・・」
「バカ!だからってノリでスキ!何て書くなよ」
「えーダメなの 」
「ダメなの 」
「わかった・・・明日からはやめる・・・」
あまり口で言えないから気持ちを込めて書いたのに
下を向いていると
「書かなくてもわかってるから 」
なんて恥ずかしそうに言ってくれた陽菜
すごく嬉しくて気が付いたらほっぺにチュッてしてた
「うわっ 」
びっくりして目を大きく見開いて固まってる
「えへへ、陽菜スキ 」
するとお弁当を横に置いていきなり唇にキスしてきた
それはいつもと違う激しいキスで舌が入って来た
ビックリして離れようとしても頭を押さえられて動けない
「んっ・・・んん〜」変な声が漏れる だんだん力が入らなくなってきて
お腹の下あたりがキューてなって・・・
もうダメ、力が抜けて何も考えられない・・・
そう思った時
いきなり唇が離れて
「ごめん 」
「ハアッハアッ」
まだ力が入らない私を抱きしめて
「ごめんな、大丈夫か?」
やっとの思いで「うん」と一言だけ言えた
その後も優しく頭を撫でてくれて
「大丈夫か?弁当食えるか?」
「うん」なんか恥ずかしくてうんとしか言えないまま
お弁当を食べて教室に戻るとあっちゃん達が心配そうに
「なにかあった?」
て聞いてくれたけど首を横に振るしかできなかった
敦子
麻里子から優子のこと聞いてちょっと複雑・・・
優子は中学の頃は男の子みたいに
ボーイッシュで可愛くて陸上一筋で頑張ってた
純粋無垢とは優子の為にあるのかというくらい擦れてなくて・・・
同級生だけど妹のように守ってあげたいって思わせられる存在で
本当に大切に見守ってきた
高校に入ってから胸も大きくなってきて髪の毛も少し伸び女の子になって行く
姿を見るのも楽しかった
陽菜先輩と付き合うことになったときは騙されてるんじゃないか
やられて捨てられるんじゃないかと心配だったけど麻里子の親友だし
本気だということが分かったから協力してあげたいけど・・・
白い優子が他の色に染められちゃうのかと思うと姉としては複雑な思いもある
でも、いつかは通らなければいけない道だし今の陽菜先輩なら
大切にしてくれそうだから協力してあげる
「優子 」
「あっちゃんなに 」
大きい目をキラキラさせてこっちに走り寄ってくる
膝の上に乗せてぎゅーと抱きしめると
「アハ あっちゃんどうしたの 」
「陽菜先輩ってやさしい?」
「うん!すぐ怒るけど帰りも送ってくれるし・・・
」
「キスしてくれるし?」
「えっ何で知ってるの 」
「恋人だったら普通だよ 」
「そうだよね・・・でも、私、遊園地で初めてだったんだ 」
「えー先輩かわいそう!まだキスだけなの 」
「えーと・・・ギュッて抱きしめてくれるよ 」
「でっ?」
「でって・・・それだけ 」
「優子は恋愛ドラマとか見ないの?」
「見てるよ!」
「恋人ってキスだけじゃないでしょ 」
「・・・・・」
わー真っ赤になって可愛い
「でも、結婚する相手じゃないと・・・」
まじ!この子本気でそう思ってるの
「私、麻里子とは結婚なんてまだ考えてないけど」
「・・・えっ!篠田先輩と・・・・えっ 」
「当たり前じゃん、恋人だもん 」
「でも、まだ高校生だし・・・」
「それって男の人は生殺しだって麻里子が言ってたけど」
「じゃー陽菜も?・・・・」
「無理なら分かれてあげた方が先輩も自由に遊べるし
優子も悩むことないからいいんじゃない?友達として付き合えば」
「やだ・・・陽菜が他の人と付き合うなんてやだもん 」
あっ涙目になってきた
「じゃーもう少し先輩のこと考えてあげようよ!」
「うん・・・でも、どうしたらいいのかわかんない・・・」
「今日は優子からキスしてあげたら?一度もないんでしょ?」
「うんわかった!恥ずかしいけど頑張ってみる 」
膝の上から降りて自分の席に戻っていく
素直だからきっと自分からするはず、明日の先輩の話楽しみだなー
麻里子にメールしておこっーと
麻里子
「社長出勤だねあ、いつもの事か 」
「うるさい 」
「ゆっぴーも一緒だったみたいだけどなんかやってたのかな 」
いきさつを聞いて
「なるほど、ヒーローになり損ねたわけだ」
「・・・・・オレ、ついてない・・・」
自業自得だと思ったけど言わないでおいた
「くそー、オレもまだ触ったことのない優子の可愛いお尻を触りやがって
その場にいたらボコボコにしてやったのに 」
寝坊してよかったな、今頃警察のお世話になってたかもね
「ハアーさわりてー 」
「君も痴漢してみたら 」
「まじ、ボコるよ 」
「すいません・・・」
陽菜ってこんなかわいいやつだったっ
あれから2ケ月、キスだけってありえない
それだけ本気だっていうのは分かるし、ゆっぴーはいい子なんだけど・・・
幼すぎる!痴漢にあったぐらいで大泣きするんだから
陽菜に襲われたらどうなるんだろうか・・・ちょっと楽しみだ
敦子と相談して親友の為にひと肌脱ぎますか
優子
今日から陽菜が迎えに来てくれる・・・・はずなんだけど…遅いなー
さっきメールしたけど返事が返ってこないし・・・電話してみようかな
だいぶ鳴らして「ハイ 」
すごく怖い・・・
「もしもし、はるな?まだかな 」
「・・・・おわー ごっごめん、今起きた 」
「・・・・・」
「すまん、先に行って」
「うん・・・」ブチッて切られた・・・
「優子早くしないと遅刻するわよ!」
「わかってる、今から出るから 」
少し早足で駅に向かう
昨日より2台遅い電車、着いたら走らなくちゃ
と、思っていたら何かがお尻にあたってる・・鞄かな?
でも、ゆっくり上下してきた・・・
ちっ痴漢だ どうしよう
動くけど人が多いからそんなに移動できなくて手もついて来る
やだ!背が低いから誰もきずいてくれない はるな助けて
「おい、おっさん何やってんだよ 」
横から手を掴んで上にあげる
「たかみな 」
駅についてドアが開くとそのまま降りて駅員さんに引き渡した
「優子、大丈夫か 」
「ありがとう・・・ 」
涙が溢れてきてたかみなに抱き付いた
「今日はたまたま1台遅い電車に乗ってよかったよ 」
抱きしめて頭を撫でてくれて私が落ち着くまで隣にいてくれた
「ごめんね遅刻だね 」
「いいって、友達の方が大事やろ 」
駅の椅子に座っていると
「おい、!何やってんだよ 」
見上げると凄い顔をした陽菜が立っていた
「俺もう行くわ!」
そう言って頭をポンポンと叩いて行こうとするたかみなに
「お前、何触ってんだよ 」
「お前がいなかったから悪いんだろ、どうせ寝坊だろうけどな!」
「関係ねえだろ 」
「はるな、違うの、たかみなは助けてくれて・・・」
「はあ?」
「私が痴漢にあってたら助けてくれたの!」
「・・・・・くっ」
「じゃーな、今度優子を泣かせたら俺達黙ってないからな 」
「うるさい、早く行け」
振り返らずに階段を降りて行った
「ごめん・・・そばにいてやれなくて」
「ううん、私に隙があったから・・・」
また涙が出そうになるのをギュッと抱き寄せてくれて
「明日からは絶対守るから 」
「うん」
「だからさ・・・・モーニングコールしてくれよ 」
「えっ?」
「俺さー朝弱くてよ・・・ 」
「アハッ わかった、そしたら遅刻しないね 」
「おう!」
学校に着くと1時間目が終わりかけで、
陽菜が先生に怒られそうになってたから
事情を説明したら渋々許してくれた