妻と子供がまだ帰って来ないと爺やから連絡が入った
病院に問い合わせると時間通りに迎えが来て帰ったと言われ
胸がざわつく

「誰が迎えに行ったんだ」

「工藤です」

「連絡つかないのか」

「電話に出ません、それに・・・」

「なんだ」

「数名の使用人が同時に居なくなりました」

「なんだと(怒)」

慌てて家に戻りその使用人たちの部屋を探すと脅迫状が出て来た

”奥様と跡取り息子を返して欲しければ3日以内に1億用意しろ
警察に知らせたら、命の保証は出来ない”

「旦那様警察に連絡しましょう」

「だめだ、もしかしたらまだ仲間がこの家にいるかもしれない
誰も信用するな、いいか!」

やっと生まれた男の子なんだ
大島家の跡取りなんだ、失うわけにはいかない
それにあいつも・・・

「かしこまりました」

「くそう・・・とりあえず他の使用人には退院が長引いたと言っておけ
麻里子にもだ、いいな」

「はい」

「引き渡しの場所が書かれていないから
必ず誰かがまた手紙を置きに来るはずだ
怪しい動きの奴を見逃すな」

「かしこまりました」

取りあえず次の日の朝一番で1億円用意したのに何も言ってこない犯人

家に戻りもう一度犯人達の部屋を探すと
昨日なかった紙が置いてあった

やっぱり仲間がいたのか・・・

”お金を車のトランクに乗せ鍵を付けておけ
何もしなければ朝には二人を返してやる”

仲間が運転して行くのか
1億で二人の命が助かるなら安いものだ
退職金代わりにあいつらにくれてやる



寝ずに朝を迎え戻って来るのを待っていた

太陽は真上に登りそして沈んでいく・・

「どういう事だ、何故戻ってこない(汗)」

「旦那様警察に連絡しましょう」

それから警察に連絡して捜索が始まった

車の足取りを追ったが途中で乗り捨てられ
何処へ向かったかわからずじまい

使用人たちも何の痕跡も残していない完全犯罪のように見えた時
一本の電話がかかって来た

「奥様はまだ帰られていないと聞いたのですが」

「お前は誰だ、妻と息子をどうしたんだ」

犯人の中にも気が咎めていた奴もいたようで

「奥様は息子さんを連れて逃げ出されました
もしかしたらどこかで・・・」

「何処だ、どこで捕えてたんだ」

「別荘でございます」


それだけ言うと電話は切れた

警察に別荘の住所を言い大捜索が始まった
が、すでに時は遅かった

警察犬が二人を見つけた時
あいつはすでに息絶えていて
優希も衰弱していたが病院へ運ばれ何とか生きていると
連絡が入りすぐに駆けつけた

あいつの身体はボロボロで見つかった時上半身裸だったらしい
襲われたのかとも思ったが
優希があいつの服の包まれていたから
優希の為にあいつは・・・・


くそー絶対に犯人を逃がしはしない
どんなにお金をかけても見つけ出してやる

そしてあいつが命に代えて守ってくれた優希を
俺が守らなくては

跡取りの男だから狙われた・・・
だったら生まれたのは女だった事にすればいいんだ
幸い事件の事はまだマスコミに知られていない

あいつは優希を産んで亡くなった事にした

そして優希の名前を優子と公表し
麻里子の妹として育てることになった