襖から居間を覗くとテレビを見てケラケラ笑ってるお兄さん

「まだ早いけど大丈夫そうだから寝よ」

あっちゃんを奥へ行かせ襖の近くで横になる
何かあったら陽菜がみんなを守るからね

うつらうつらしてたんだと思う
玄関のチャイムの音にビックリして飛び起きた

少ししてもう一度鳴る

「おい、誰か来たみたいだから出ろ
俺がいることは言うなよ」

そう言ってトイレに隠れた

「はい・・・」

「篠田です」

「篠田さん?どうしたんですか」

「遅くにごめんね、近くを通ったんだけど
電気点いてたからまだ起きてるんだと思って
久しぶりに顔を見たくなって寄ってみたの」


久しぶりって・・・この前会ったのに


「もう寝ようとしてた所なので・・・・」

「開けてくれないの?」

「えーと・・・・みんな寝てますよ」

「寝顔見たらすぐ帰るから」

開けないのも変に思われるから鍵を開けドアを開ける

「あれ、陽菜ちゃんお酒飲むんだっけ?」

「え?」


指さされてテーブルを見ると
ビールの缶が二本とおつまみが乗っていた

もう、隠れるなら全部持って行ってよ


「なんか寝付けなくて一人で飲んでました」

振り向いてそう言うと人差し指を唇にあてて、しーて言うデスチャー
片方の指で男物の靴を指さす

ホント間抜けなチンピラさん・・・・

コクンと頷くと

「飲みたい時は付き合ってあげるのに連絡してよ〜
ほら飲もう、新しいビール無いの?」

そう言って上がり込んできた

「えーと・・・これしか買ってないので」

「お、一本は新しいじゃんこれ貰うね」

プシュッて音を立てて開けた缶をぐびぐび飲みだし


「プハッ―美味い(*`ω´) 」

「ふふ、オヤジみたい(бвб) 」

「ゆっぴーにもよく言われる
あ〜お酒飲んじゃったから車運転できないなー
泊めてもらおうかな」

「え?それは・・・布団もないし(汗)」

「夏なんだからごろ寝でいいよ」

「でも・・・」

「ほら、明日も仕事なんだから寝よう」

居間の電気を消し隣の部屋へ

するとスマホを出し何やら打ち込むと
陽菜のスマホが震えた

”声を出さない方がいいからこれで話そう、
何があったか教えてくれる?”

(ダメです、これ以上迷惑はかけれませんだから・・・
帰って下さい)

”篠田は陽菜ちゃん達の事本当の妹みたいに思ってるんだよ
それに将来本当の妹になるんだし何でも言って”

(断ったので・・・・他人のままです)


”理由は今隠れてる男?”

コクンと頷くと

”まさか不倫・・・じゃないよね”

思いっきり首を横に振る

”よかった・・・・もしかして脅されてるの?”

脅されてるというか・・・
闇金に手を出した報いを娘たちが受けてる?

そんな事は言えないから

(違いますからもう帰って下さい)

”理由を聞くまで帰らないよ(*`ω´)”

(言いません)

そんな押し問答を繰り返していると

「ん・・・にゃんにゃんおしっこ」

双子の一人が起きてトイレにいこうとしてる

「だめ!今は我慢して」

「なんで?漏れちゃうよ・・・あれ?麻里ちゃん?」

「篠田がついて行ってあげる」

「ちょっと待って(汗)」

だいぶ時間あったんだからほかに隠れてるよね?

先に立ってトイレのドアを開けると・・・・

「にゃんにゃんこの人誰?」

便器の上に座り後ろにもたれ口を開いて寝てる

最悪・・・

「もしもーし(*`ω´) 」

男の肩をトントンと叩き起こすと
篠田さんを見て驚く男

「お兄さんがそこで寝てたらトイレできないから
退いて貰える?」

「お、おう・・・」

バツが悪そうに外に出てきて陽菜の耳元で

「あいつ帰らせろ」

「勝手に泊まってるから無理(бвб)」

「変な事したらすぐ兄貴に連絡するぞ
おっさんがどうなっても知らないからな」

「・・・・なるほどそういうわけか(*`ω´)」

こいつ馬鹿なんだろうな、自分でばらしてるし・・・

「お兄ちゃん帰った方がいいと思うよ」

「お前が帰れよ(怒)」

「どうなっても知らないよ」

「ふん、女のお前らが二人でかかって来たって
俺に敵うわけないだろ」

「そうだね・・・」

そう言って腕時計を見てる篠田さん

「ここは大人しく寝ようか陽菜ちゃん」

「なかなか話が分かるおばさんだな」

何か今ピクッてなった気がするんだけど・・

「・・・・・・きみいくつ?」

「23だ」

「ふーん・・・・坊やがお酒飲んでたらダメだよ(笑)」

「うるせえババア」

「アハハハあとが楽しみだね
さあ寝よう寝よう」

陽菜達の背中を押し部屋へ入って行く

”お父さんが捕まってるの?”

(捕まってるというか・・・
明日銀行にお金をおろしに行くだけです)

仕方なく借金の事を伝えると

それから陽菜のスマホは震える事は無かったけど
篠田さんは誰かにメールしていた

こんな時でも睡魔は襲ってくるみたいで
上まぶたが必死で降りてこようとしてる

「寝ていいよ」

その言葉を最後に意識を手放した