いつまでもいつでも

（大島さんが居なくなった）

〈コンビニへでも行ったんじゃないの〉

（荷物も無くなってる）

〈先生に聞いてみたら〉

そっか、そうだよね

みーちゃんにＬＩＮＥしたらそれなりの返事が帰って来て
先生に聞きに行く

「大島さん家族に不幸があったみたいで
さっき帰って行ったわよ、小嶋さん聞いてないの？」

「お風呂入ってたので知りませんでした」

「そうなの？食事が終わったら帰るって聞いてたんだけど」

そんな前から帰ることになってたなんて・・・
じゃーあのキスは何だったの？

本当に代金の替わり？

それはそれでありがたいけど・・・
キスはもう慣れちゃってたしね

今日は一人部屋かー
なんか寂しいかも

そうだ、大島さんの家族だから篠田さんも帰らなきゃだよね
あっちゃん達三人で大丈夫かな(汗)

ＬＩＮＥを送るとすぐ既読が付き

（麻里ちゃんならいるよ）

なんで？お嫁に行ったから関係ない？
そんな事無いよね

電話をかけ代わってもらう

（大島さんさっき帰ったんですけど
篠田さんは帰らなくても大丈夫なんですか）

〈・・・・篠田は朝に戻ればいいから〉

少し間が開いた後の返事

（迷惑かけてすみません）

〈三人共いい子達で篠田も楽しいから迷惑なんかじゃないよ
心配せずゆっくり帰っておいで〉

（ありがとうございます）

明日帰るから夜いてくれるなら安心（бвб）　

やっぱりお礼はお弁当だな！


て思ってたのに

月曜日、朝のホームルーム

「急ですが大島さんは学校を辞めました
挨拶も出来ずみんなにごめんなさいって言っといてくださいと
言付かっています」

・・・うそ・・・なんで？
もしかして家のお金使いすぎて夜逃げ？

そんなわけないか

「なんで辞めたんですか〜(ΘωΘ) 」

「一身上の都合としか先生は聞いていません」

身内に不幸があったって帰ったんだから
お父さんが亡くなってお金なくなったとか？

それなら保険金とかあるよね？

まさか、うちみたいに親が逃げた？

それでもいきなり来なくなるなんておかしすぎる・・・

「陽菜、最後の日の部屋で何か言ってなかったの？」

「お風呂入ってる間にいなくなってたから
何も聞いてない」

「冷たい態度取られて自殺とか・・・してないよね(汗)」

「変な事言わないでよ(汗)一瞬だけですぐ戻ったでしょ」

自殺して入院とかしてたらどうしよう

でも篠田さんも普通だったし・・・やっぱり家の都合なのかな


それから一週間
いつもと変わらない日常
ただ優子だけがいない・・・

なんだろう、こう、心にぽっかり穴が開いたというか
何か物足りないというか・・・
ヘラッとしたあの笑顔が頭から離れない

何で最後あんな顔しちゃったんだろう・・・
最後だってわかってたら陽菜、優子に・・優子だったら・・・・

ないない！あり得ない(汗)と思う・・・たぶん・・・



それからさらに三日後篠田さんから荷物が届いた

送り主の住所が無く名前だけしか書いていないそれに・・

「ねえ、これ変だようちの住所も書いてないのに
どうやって送られてきたの
本当に宅急便屋さんだったの？」

「ハンコお願いしますって言われて押しただけで
ちゃんと見てなかったけど
そう言えば普通の服着てたかも(∵)」

「それ危ないやつじゃん(汗)」

「だって、お届け物ですって言われたら出ちゃうでしょ」

「そうだけど・・・」

「ねえ、何入ってるんだろう結構重いよ(∵)」

野菜とかかな？食べ物だったらいいのに

篠田さんの名前が書いてあるし大丈夫だよね・・・

みんなで覗き込み期待しながら箱を開けると

「・・・・・これって・・・本物？」

「どうだろう・・・
冗談好きな人そうだったからからかわれてるかもよ」

一枚取り出し電気に透かすと

「透かしも入ってるし本物っぽいよ
ねえ、どうするのこんな大金(汗)」

「返そうにも住所わからないし・・・」

「携帯は？」

「あれ以来繋がらない・・・て言うかたぶん解約されてる」

「にゃんにゃん、手紙が入ってる」

そこには”陽菜へ”と書かれていた

一人だけ隣の部屋へ行って封を開ける



’親愛なる小嶋陽菜様’

私・・・俺が男だってわかってもみんなに言わないでいてくれてありがとう
そのおかげでいい思い出が出来ました

男なのに女だと偽ってキスしたり胸を触ったりしたお詫びだと思って
俺からのプレゼントを受け取ってください

これは返さなくていいから心置きなく使って（笑）



ＰＳ.ホテルのバイトはやめた方がいいよ
見つかったらまた勘違いされちゃうからね（笑）



「これだけ？なんなの・・・あり得ない・・・」

「にゃんにゃん？」

陽菜の声にびっくりしたのか障子が開きあっちゃんが顔をのぞかせる

なんで涙が出て来るんだろう
何でこんなに苦しいんだろう

だってこれだともう二度と会えないみたいじゃん

「にゃんにゃん」

抱き付いて来る双子
心配そうにのぞき込んでくるあっちゃん

ダメ、しっかりしなきゃ
陽菜には養っていかないといけない妹達がいる
こんな事で・・・こんな事でめそめそしてられない

陽菜の気持ちなんて二の次なのだから